表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/6

1.ヒロインなんですが誰も攻略しにきません

 


 私の生まれた日、空からは美しいアイリスの花が降ったそう。

 それは王国建国の立役者と云われる女神さまからの祝福。

 祝福を受けたヒロイン、アイリス誕生シーンのエピローグ。


 生まれたてで記憶なんてないけれど、『花の祝福≪フルール・ド・グレイス≫』のオープニングシーン……見たかったなぁ、なんて思うのです。


 『花の祝福≪フルール・ド・グレイス≫』


 ソレイユ王国建国の立役者である女神「フルール」の祝福を受けた乙女〈アイリス〉が生まれる。


 アイリスが生まれた日、この国の空から色とりどりの美しい花の雨が降った。その花はアイリス。天から降る花の雨は女神さまの祝福であるという言い伝えがあり、この不思議な現象が起こったのは建国以来初めて。フルール様が生まれた日から二度目のことだった。


 女神の祝福を受けたアイリスは健やかに成長していき、王立魔法学園に入学する。

 そこで素敵な男性達と恋愛をしていく、といった王道乙女ゲーム。


 攻略難易度がやさしめのヒロイン乙女ゲームで、正直デフォルトがすでに逆ハーレムのようなものだった。アイリスにはみんな優しくて、恋敵なんてものもいない。ただただ恋愛ストーリーや魔法等のアクションを楽しむもので、乙女ゲーム初心者の方はまずこれ、と言われるようなゲーム。


 乙女ゲーム大好きなのんちゃんから「乙女ゲームやる人の義務教育だから、これ。やんな」と押し付けられるようにして渡され、見事どっぷりと沼につからされてしまったのである。


 そんな大好きだった乙女ゲームフルグレのヒロインに転生できるなんて、私は本当になんて幸運なんだろう……!








 ……と思っていたのですが。


「……やっぱりだれもこない」


 魔法学園に入学して早3か月。

 たしかゲームだと廊下や学食、校庭、庭、演武場、図書館、音楽室等々で遭遇、そこから仲が深まっていくはずで、しかもこの時期だと夏の長期休暇に入る前にデートに誘って良いかのお誘いがすでにあってもおかしくない時期。

 この初夏の汗ばんでくる季節にわざわざ庭のベンチでじっと座って待ってみるも、攻略対象が現れる様子は全くない。

 普通に学園生活しているだけで遭遇するはずなのだけど、今のところ入学式であいさつをしてくれていたソレイユ王国の王子のローランを席からしか見ていない。

 アイリス自ら会いに行く、といったこともなかったはずで。もしかして、私フルグレの世界に転生したわけじゃなかった……?。いや、でもそれにしては設定が合致しすぎているから、そんなこともないはずなんだけど。自ら会いに行っても良いものなのかもわからない。どうしたものか……。


「うわぁ!」


 考えに耽っていたら、目の前で男の子が大きな紙の束と一緒に思い切り転んだ。


「大丈夫? ケガしてない?」

「は、はい……すみません」


 男の子は体制を立て直してぺこぺこと頭を下げ、バラバラになって紙を慌ててまとめ始めた。

 それを手伝うと、またすみませんすみません!とぺこぺことお辞儀をする。

 かわいらしい様子に思わずくすりと笑ってしまった。この世界のキャラクターはみんな優しいけど、この子もそのようだ。

 土を払いながら集め終わって、トントンと集めた紙を整えて彼に紙の束を渡した。


「はい、どうぞ」

「ありがとうございます!あの……もしやアイリス様でしょうか?」

「えぇ、そうよ。えっと、あなたは……」

「あ、すみません! 失礼いたしました、僕はセネシオと申します」

「そう、セネシオね。すごい紙の量ね。一人でどこまで持っていくの?」

「生徒会室へなんです」


 ……ん?生活会室?

 生徒会室といえば、生徒会長を務めるローランを筆頭に攻略対象が3人ほどいるはずの言わばフルグレの聖域。何度か生徒会室の前の廊下を歩いてみたりもしたけど、用事もないのに入れる空間でもなくすぐ諦めたのだけれど。

 セネシオはまさに女神様がくださった手助けなのでは? としか思えない。

 私はセネシオの肩をがっつり掴んでにっこりとほほ笑んだ。


「すごい量だし、私も手伝うわ。半分持つわね」

「ありがとうございます! さすがフルール様の祝福を受けたアイリス様はお優しいですね」

 

 セネシオに憧れと尊敬のつまった輝いた瞳で見られると、よこしまな目的のある私としてはとても申し訳ない気持ちになる。しかし、そんなことは些末なこと。

 ようやく攻略対象のキャラクターに会えるはずなのだから。


 私はセネシオと歓談をしながらウキウキと生徒会室まで歩を進めた。


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ