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第七十一話 ◆ リュネスの朝
朝の光が、街路樹の葉を透かして石畳に落ちる。
夜露を含んだ道は、踏みしめるたびにわずかな湿り気を返した。
露店では布が広げられ、香辛料の瓶が陽を受けて淡く光る。
パン窯からは焼き立ての香りが流れ、通りを行く人々の足取りも軽い。
悠斗は街の中心を歩きながら、胸の奥で静かな実感を噛みしめていた。
ここは通過点ではない。
少なくとも今は、**腰を落ち着けて生きる場所**だ。
千紗は彼の隣で、袖口を押さえながら歩いている。
新調した神官衣は体に馴染み、歩くたびに布が柔らかく揺れた。
依頼は安定していた。
街道沿いの魔物討伐、隊商の護衛、採取の付き添い。
危険はあるが、無謀ではない。
戦闘を重ねるごとに、悠斗の動きは洗練されていった。
剣を振る前に、足が出る。
刃を返す前に、次の位置が分かる。
剣術スキルは、音もなく、確実に積み上がっていく。
「……前より、迷いがないね」
リーネが矢筒を背負い直しながら言った。
悠斗は短く息を吐く。
「……守る理由が……はっきりした」
千紗が小さく微笑む。
それだけで、十分だった。
この作品はAI40%、筆者60%で書きました。
原案100%筆者。
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