**1.風が揺らす森の光景 ― 異世界の“息づかい”洗礼**
目を開けると、空が高かった。
絵本でしか見たことのないような、青さの深い空。
千紗は倒れていた身体をゆっくり起こし、息を呑んだ。
――森。
でも、見たことのない森。
葉は光を宿しているように輝き、花々は風で音を紡いでいる。
そして横には、悠斗がいた。
車椅子ではなく、自分の脚で立っている。
「……ゆ、悠斗……?」
声は震え、涙が溢れそうになる。
悠斗は自分の手を見つめ、握ったり開いたりした。
動く。
不思議でもあり、怖くもあり、だけど――
「千紗。生きてる……俺たち。本当に、生きてるんだな」
その声は、今まで聞いたことがないほど、弱く、震えていた。
千紗は堪えきれず腕を伸ばし、彼に抱きついた。
「よかった……っ、本当に……!」
その瞬間、悠斗の胸の奥で、長い間封じ込めていた痛みが静かにほどけていった。
生きてまた、千紗と笑える。
そんな奇跡が、自分に許されていいのか。
でも千紗は全身で泣きながら、彼を抱きしめていた。
――許される。
そう思えた。
森の奥から、喉を鳴らす低い声が聞こえた。
奇妙な鼻息。
草を踏み潰す重い足音。
「千紗、後ろ……!」
振り返った瞬間、獣が姿を現した。
二メートルを超える狼のような魔物。
赤い目が二人を射抜く。
千紗の膝が震えた。
悠斗は咄嗟に彼女の前へ立った。
「来るなッ……!」
剣を握れば、自分の腕とは思えない力が湧き上がる。
胸の奥が熱い。
(千紗を……守る。
この世界でも、必ず。)
魔物が飛びかかった。
悠斗は地面を蹴り、剣を横に払う。
衝撃とともに魔物が弾き飛ばされ、木に激突した。
その光景を、千紗は信じられない気持ちで見つめていた。
「ゆ、悠斗……強い……」
悠斗自身も驚いていたが、何よりも千紗の震える肩を見て、気を緩めた。
その瞬間、別の魔物が影から飛び出した。
「千紗、危ない!!」
迫る爪。
千紗の目の前――
ぱんっ
透明な膜が弾けるように展開した。
魔物の爪が結界にぶつかり、火花を散らす。
千紗は自分の両手を見つめ、涙が零れた。
「守らなきゃ……!
悠斗を……もう、絶対に……失いたくない……!」
その気持ちが結界の力となり、光が強くなる。
魔物が押し返され、結界に弾かれて地面に転がった。
悠斗がその隙に切り込み、魔物を倒す。
結界が消えたと同時に、千紗はその場に座り込んだ。
「千紗!」
駆け寄ってきた悠斗に、千紗は必死で笑おうとした。
「……出たの。守りたいって思ったら……身体の奥から……」
悠斗はそっと千紗の頬に触れた。
その指は震えていた。
「ありがとう。千紗がいてくれなきゃ……俺、やばかった」
千紗の胸が熱くなる。
(悠斗を守れた……
たった一瞬でも……わたしが、悠斗を。)
涙がこぼれた。
森を抜ける直前、
二人はしばらく言葉を失って立ち尽くしていた。
風が吹き抜けるたび、葉が細かい音を立てる。
日本の森とは違う。色が深く、光がどこか柔らかい。
千紗はその光景に息を飲んだ。
木々の葉は翡翠のように透き通り、
幹は古い神殿の柱のように太い。
小さな光の粒が、風に舞い上がっては消えていく。
千紗は思わず呟く。
「……きれい……」
悠斗も目を細める。
「なんか……空気が軽い。深呼吸するのが気持ちいいな」
そう言って空を見上げると、
雲は羊毛みたいにふわふわと漂い、
太陽は日本より少しだけ大きく感じた。
まるで絵本の中に迷い込んだような世界だった。
この作品はAI70%、作者30%で書きました。
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