表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三分で読めるやつ【ショートショート集】  作者: 青色豆乳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

星飼い

 自分が星飼(ほしか)いに選ばれたとき、私はよろこんだ。やはり、神として生まれたならば、自分の星を育成してこそ一柱前(いちにんまえ)といわれているからだ。

 最近は、そういうのは古い、さまざまな神の在り方があるべき、という意見もあるのは知っている。でも、私は古い神の目も気にする方だった。


 私はわくわくしながら、大神様から自分の星をもらった。


 もらった星は普通だった。


 私は現実を受け入れ、その星をより良くするよう努力することにした。

 神の間では、最新の育星理論というのが流行っていた。「抱えて一緒に回ると、均整がとれる」とか、「音楽を聞かせると文明が芽ばえる」とか。

 私はその通りに全部やった。星はたまにチカチカと光るだけだった。


 個性的な星を育てたい。すてきな生き物をはぐぐみ、この寂しい宇宙をいろどるような星になれば、みんなにうらやまれるだろう。そんな神になりたい。


 他の星と交流させることもおすすめだと聞いた。星飼いの集まりに行ってみた。他の星は、衛星ごっこや重力鬼ごっこで遊んだりしている。公転したら、一緒に回ろうねと約束している星もあった。

 そんな中、私の星は沈黙している。私は星がこんなに話すと知らなかった。「うちの子はちょっとゆっくりなんです」と笑ってごまかしながら、冷や汗をかいた。私は私の星の声を聞いたことがない。


 こんなことで、この星はひとり立ちできるのだろうか? 育星期間が終われば、私の元を飛び立たないといけないのに。

 

 交流会から帰ってきてから、私はいっそう育星に力を入れた。少しの歪みも気になって、真球になるよう、星を磨いた。全てのことが良くない気がして、色を変えてみたり、水に沈めたり、高温に当ててみたり、いろいろやった。


「光れ、話せ、何か反応して……」と、私は毎日星に語りかけた。

 それが星のためだと信じていた。……そう信じたかった。

 しかし、星は沈黙し、わずかな光さえ見せなくなった。

 

 ある日、ぱきり、と星にひびが入った。私は星を病院につれて行った。


「構いすぎです」 

 医者は言った。

「これからどうすればいいんですか?」

「触らずようすを見てくださいね、――では次の方」

 医者は全くあてにならない。他の病院に行ったりもしたが、改善する方法はみつからない。

 

 最近、特別な水のことを知った。

 私は星に特別な水をかけた。じゅっと音がして、嫌な臭いがするけむりがあがった。これは好転反応のはずだ。悪いものが早く私の星から消えて、まともな星になってくれることを祈った。


 そして、旅立ちの日が来た。飛べない星は回収されるので、回収神が立ち会う。

 私の星は、その頃には汚い土くれになっていた。昨日の夜、私が激高(げっこう)して投げたせいで、いびつだった。 

「これは完全な廃星だな」 

 回収神が事務的に事実をつげた。

「そんなわけない!」

 私は叫び、軌道にのせようと星をかかげた。その時だった。

「あっ、ああっ――」

 星は、私の神力を恐ろしい勢いで吸いはじめた。私の腕が干からびはじめ、全身へ広がっていく。喉が、舌の水分がうばわれて、悲鳴すら上げられなくなる。

「やめるんだ!」

 回収神が星にむかって叫ぶ。でも星は止まらない。

 赤熱したエネルギー体になり、ついには光そのものとなって白く輝きはじめる。 


「恒星だったのか……。珍しいな。育星中に気がつかなかったのか?」

 回収神が私に聞いたが、神力を失いすぎた私は神の形を失いかけていた。


 私の星は主星のまわる軌道には乗らず、独りで飛び立った。振りかえることなく、ものすごい速さで。


「――大嫌い」

 最後に聞いたのは、私の星の声だった。

お読みいただきありがとうございました。もしよろしければ、下より評価・ブクマ等いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ