ある少女とチュートリアル
こんにちゃ。へいくです。
多分、よくわからんと思います。
入れなくてもいいんですけどね、でも入れたくなるんですよ、ここ。
病室を出た私が見たのは、異様な光景だった。
病室と同じようにボッロボロなのはともかくとして、壁も天井も残っているのに積まれているガラクタがある。天井とかが崩落してるならともかく、どうしてそんなものが無造作に置かれているのだろう。
まるでゲームの行き止まりみたい。
まぁそれはいいや。
とにかく、今の私にとって最大の問題は私の身体だ。寝ぼけて動かなかった身体がようやく動くようになったのはいい。寝る前にできた傷が治っているのも、いい。
だけど、おそらくその副作用だとは思うけど、全身が変な装甲に覆われているのだ。
あとは、視界に映る謎のUI。これに関してはもうゲームとしか言いようがない。なんというか、相当古いゲームだけど、ソウルライクというジャンルを生み出した某ゲームパブリッシャーのやつに似ている。
懐かしさを覚えつつ、私は試しに視線で武器を選択してみる。すると、右腕の装甲部が淡く紅色に光り、金属粉末が放出され、直剣に纏まる。うーん、私左利きなんだけどな、とか思った瞬間には左手に握られていた。
ついでにUI上も、右左の武器が入れ替わっている。思考を読んだらしい。すごいものだ。――じゃなくて。
「これそのものが一体なんなんだろうってこと」
ゲームみたいな兵器ではあるんだろう。でも、ゲームみたいというところが無償にひっかかる。それはまるで、この世界が「そういう世界」なんじゃないかってこと。
そして、逆にここまでお膳立てされてしまっていると次の展開もすぐに分かる。要するにここまでが操作のチュートリアルで、戦闘のチュートリアルはここからなのだ、ということ。
物音がした。
明らかに敵意を持ったそれは、近づいてきている。
私は、戦うのだろうか。私が……?
生まれてきてからこんなものを持ったことすらないのに。
振るイメージすら湧かないというのに。
それでも。
やるしかない、そうこの世界は言っているのだろうか。
通路の先、階段がある方向からそれは姿を見せた。
巨大な蠍といえばいいのだろうか。
それもやはり、私の装甲と同じような金属光沢がある。
よくわからないが、要するに私と同じ技術系統のものだろう。
私は直剣を構え――
そこで、視界が壊れた。
私が「死」を自覚するまで、そこから少しも、かからなかった。
――――――
Image Broken
Image Crashed
Image Activate
Image Destinated
――――――
私は、また目を覚ました。また? うん、たぶんまた。
何回か見た夢の、その続きかも。
なぜかはわからないけれど、そう思った。
私は、起き上がろうとして、頭を打ちながらそう思った。
「いてて……」
なんだかまだ朦朧としている意識を誤魔化しながら立ち上がる。ぽてぽてとよろめきながら部屋を歩く。
とてとて、とてとて。
腕を広げて、久しぶりの空気を味わう。
「相変わらず、おいしくないや」
【久しぶり】も【相変わらず】もわからないけど、なんだか私はそう思った。
――ここからが、ちゃんと物語の始まり、さ。
物語と言うには些か不十分だし、不公平ではあるけどね。
それでも、それでも僕は。
完成するのを、待っているのさ――
私は部屋を出る。
部屋と廊下の境目を越えると、何やら謎の光沢を持つ金属が現れた。
そこには、異様な光景。光景というよりはおかしいのは空気の方だけど。ほこり一つないのに、空気が重い。まぁいっか。
私は勝手に展開された直剣を右手に持って、廊下を進む。
はぁ。私は左利きだけど……。まぁ別に振り慣れてないものならどっちで振っても同じか。ド素人だし。
そして、それは現れた。巨大な蠍、スコーピオンが。
そういうわけで、怪しい地の文と、ループしてる少女でした。
本当に?




