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元人工勇者による魔族国家の育成戦記  作者: チョコメモリー
連邦歴十一世紀第一章 『人工勇者』
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連邦歴十一世紀1 『第二の世界』

 突然だが俺は転生者だ。

 とはいっても前世の名前やら親の顔やら大事な記憶にだけ霧がかかったように思い出せない。それ以外の記憶ははっきりしているんだけどな。転生する三日前のパンの味も、自分が生まれ育った地も異常なほどにはっきり覚えている。なのに自分の存在や生活に根付いた人間の存在だけ記憶の中から抜けているんだ。


 前世の世界と今俺がいる世界の違いとしては魔素が満ちていて生物はそれを魔力に変えて魔法を行使出来る点だろう。漫画で見るようなレベルやスキル、ステータスがない不便な世界ではあるが才能や努力によっては個人が軍に勝るような夢のある世界だ。


 そんなこの世界の文明の歴史は結構長いにもかかわらずあまり発展していない。簡単な理由は三つだ。


 一は魔物がいること。

 自然発生や交配によって増える魔物は町に降りてきて被害を出すことがある。強さによっては国が滅ぶこともあったとか。


 二は知能が高い種族が複数存在していること。

 主な種族としては人族、獣人族、妖精(エルフ)族、小人(ドワーフ)族、鬼人族、竜人族、魔族だ。

 そのほかにも多種多様な種族がいるのだが、歴史の表舞台でよく活躍するのはこの七種族だろう。それらの違いは見た目や得意な魔法、寿命など様々だが、魔族とそれ以外の種族には明確な違いがある。それは交尾などの過程を経て繁殖する方法の他に、自然発生という形でも数を増やすことができるという点だ。それは他の種族より魔族が身体に巡る魔力回路の存在が生命維持において大きな役割を担っているというのが関係してくるのだが……今は関係のない話だろう。


 三の理由はそんな種族らが定期的に大きな戦争を繰り返し、荒廃と復興を繰り返してきたことにある。戦争の影響か、国としてまとまってきたのもここ千年前後の話だ。そのためこの世界は停滞しているのだ。


 そんな世界だ。


 授業はこれくらいで良いだろう。次にこの世界での俺の話をしよう。


 この世界の母によって授けられた「シル」という名を授けられた俺は魔族との戦いによって窮地に陥った人族の王国によって組織、作られた人工勇者と呼ばれる存在。


 勇者というのは神によって授けられた称号であり使命だ。

 その勇者は一人で魔王に対抗できる存在だが、人工勇者は国家事業として身寄りのない子供、つまり孤児を戦いに適した存在に鍛え、作り変えることによってできた存在。そんな人工勇者の中でも最も勇者に近いのがこの俺。つまり人工勇者最強。


 もちろんそんな実験まがいの行為を子供に行うということは人の心をなくしていくということだが、精神年齢が子供ではない俺でも魔族や盗賊を殺すことにためらうことが無くなるくらいには狂ってきている。


 「…………ん?」


 馬車に揺られ、目が覚める。


 魔族との戦争で俺は各地に派遣されていた。今回も魔族の幹部討伐の為に呼び出されていたのだ。

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