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謎の小包で人気クリエイターになりました。

作者: 朋樹

「あの小包、開けてみない?」妻の一言で、今までにない程に身体中に脂汗をかいた。


俺には素敵な妻がいて、子供も今度、3人目が生まれる。今の生活に不満は無い、あの小包を除けば。綺麗な布にくるまって、荷造りをするやり方で紐が結ばれている。持つと見た目より少し重く感じる。匂いはあまりしない。本当に不気味でしょうがない。


しかし、この小包が自分を幸せへと導いたと言っても過言ではない。25歳までフリーターだった。バイトしている時以外は、何も考えない、何もしない。ただただ自堕落なフリーターだった。一応、イラストを描いていたので、イラストレーターを名乗ってた時期もあったが、仕事を受けているうちに創作に対する情熱も消え失せた。


ある日、両親が自宅のマンションに来た。「毎月の援助をする代わり、この小包を預けて欲しい。」困惑した。中身が気になったので、開けようとしたら直ぐに止められる。


「絶対に中を覗くな、呪われるぞ。」


その時の両親のしかめっ面は今も忘れていない。いや、どうしてそんな呪物を俺に託すんだ。あの時はその言葉が喉から出かけたが飲み込んだ。すぐに両親は帰ったが、小さくなっていく背中を見て、複雑な感情になってしまった。


小包が来てからは変わってしまった。ただ単に中身が気になって、眠れなかった。その知的好奇心は、いつもならヤラない想像をしてしまう。想像は一度アタマにこびりついたら、紙などの媒体にに書き起こさないと、取れず、安眠もできない。とにかく文章を書いた。イラストも描きまくった。描いたコピー用紙の枚数はもう分からないが、少なくとも使い切ったのは分かった。小包は自分の創造性に天啓をくれた。それは情熱とは違う、恐怖という名の劇薬と表現した方が近しいものを感じる。副作用が怖い。


時には媒体を変える時もあった。イラストだけでは、表現しきれない部分が多かった。親からの援助もあり、PCのスペックは、ゲーミング用の中で比較的に高め。3D、ゲームや音楽などの全く別の分野に挑戦した時も支障は無かった。不眠症で疲れが溜まってバイト辞めたが。


制作した作品はSNSに載せたら、瞬く間に拡散された。たまに思わぬところで、ミーム化もした。これは完全にバズった。今じゃマルチクリエイターとして、ひっきりなしに仕事が来る。その仕事の中の関係で、今の妻とも出会った。


この幸せの対価である呪いとはどんなものか。子包を開けようとする手を見たら、酔っ払いみたいな震え方をしていた。そこに、妻の手が支える。


「大丈夫」あぁ、そうだ。俺たちはこんなにも幸せなんだ。どんな呪いでも家族となら、きっと乗り越えられるはずだ。


二人で箱を開けた。


……?中身はメッセージボトルだ。その周りには、緩衝材の代わりなのか、丸めた新聞紙でいっぱいだった。重しなのか、新聞紙の中にも川で拾ったような石が入っていた。


「この手紙を読んでいることは、私たちの息子である貴方は小包の中身を見たということでしょう。あなたに預けたのは、とある短編小説を読んだのがきっかけでした。あらすじを説明すると、無名の画家が謎の青年に謎の小包を託されることで、才能を開花させる少々不思議な話です。私たちは、一か八か賭けて、あれをやろうとしたのです。この小包を預けた時のあなたはとても無気力で、いつ死んでもおかしく」


ここで手紙を読むのをやめた。すぐに小包全てを分別して捨てた。俺は冷静だ。


「君の両親…凄いね。」妻はまだ困惑気味だ。


そういえば、ここ数年は両親と会ってない。いつか顔を見に行こう。でも、しばらくは両親の顔を見たくない。


力と共に、小包の天啓も抜けていく。こんなん呪いだよ、ある意味。それでも、親の心を想像しようと、再び別の天啓が湧いてくる。あぁ俺はこれからもクリエイターでいてもいいらしい。

この小説の作者です。

眠いです。

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