033 ツールドKANSAI HS その3
『ツールド・KANSAI・HS』の解説がグダグダになってしまったので、
話を2020年に戻して、アラタ達が考えた、京阪電車を含む関西私鉄の
再建計画を見ていこう。
アラタ達の作戦は、関西の私鉄のローカル線部分をロボ電で繋いで、
関西中をぐるっと回れるようにして、通勤通学の乗客よりも、
旅行者の利用を増やす事だった。
しかも、電動アシスト自転車などを、折りたたまずに自由に持ち込める
車両を増設して、各地の観光地を楽に回れるようにするのだ。
そしてサイクリングをする観光客と、車との接触事故をなくすために、
自転車専用道路増設と、緊急時のサポートや、電車では登れない道を
併走できるように、小型のモノレールも用意したことだ。
また、自転車産業が集積している、堺市に敬意をはらい、
ツールド・KANNSAIのレースのスタートとゴールを
堺市役所前にしたのだった。
最初は、スタートの堺市役所前から、南海高野線に沿って
(高野線は泉北高速鉄道が分離する中百舌鳥駅まで6線、
そこから橋本まで複々線の4線(その内、2線がロボ電で、
モノレールは道路の方に設置))、橋本まで進む。
橋本からは、近鉄吉野線を延長させた路線で繋ぎ、
そのまま近鉄の橿原線、京都線を経由して、改線されて、巨椋池跡地を
真っ直ぐ進んできた京阪の宇治線まで繋げる。(大和八木までは、
高架の複々線だが、そこから宇治までは高架の6線に改良
(内2線はロボ電))
そこから、ロボ電が天ヶ瀬ダム付近をトンネルでぬけ、石山寺に続く。
(天ヶ瀬ダム付近の登りの自転車道路の併走はモノレールに任せる)
石山寺からは、琵琶湖の東側を海岸沿いにぐるっと回る新線が出来ていて、
琵琶湖の西側は路線改良で、もう少し内陸を走るNR西の湖西線の代わりに
琵琶湖の湖岸を走るルートになっていた。
坂本からはトンネルで、比叡山をぬけて
(自転車の併走はモノレールが創られていて比叡山を越える)
叡山電鉄の八瀬比叡山口駅に繋げる。
そして、出町柳からは、拡張された(真ん中に20mの自転車道と
両側に5mのモノレール線が出来ている)今出川通り平行して、
嵐電北野線の北野白梅駅に繋げる。
嵐山駅からは、地下鉄として天龍寺、嵐山公園を抜け
嵯峨野観光鉄道に繋がり、さらに延長されて亀岡、妙見山まで繋げる。
この辺りは、トンネルも少しあるが、アルプスの登山鉄道のような
感じになる。(妙見山の自転車併走は、モノレール)
そして、トンネルで能勢電鉄の妙見口に繋げて、川口から宝塚に進む。
宝塚からは、これまた新線で、神戸有馬鉄道の有馬温泉に繋げて、
北神急行のトンネルを使って神戸へ(自転車の併走はモノレール)
神戸からは、阪神電車に繋げて、梅田方面へ。
阪神電車は、福島辺りから、地下に入り梅田に行くが、
ロボ電路線は斜め南に向かい、拡張された四つ橋筋の地下の
市営地下鉄四つ橋線の横を通って、岸里玉出で、
再び南海高野線に戻るルートになっていた。
自転車をサポートするモノレールは、神戸からは、拡張され、
自転車専用道路が付いた、国道43号や四つ橋筋を
走れるようになっていた。
先程述べたように増線されたうちの、複線部分は全て
『ロボ電』専用路線で、なんと架線が存在していなかった。
ロボ電は、水素を利用した、燃料電池から電力を得て、
モーターを回す仕組みだからだ。
スタンダードの『ロボ電ホテル』は、20mの長さで、スピードを
重視せず、自転車を持ち込みやすくするため、路面電車と同じ
小径車輪の低床式(700mm)になっていて、標準軌(1435mm)の
軌道の上に高さ4000mmの車体が載っていた。
(スタンダードでは2段式個室が8、トイレ4、シャワー室2、
4人掛けテーブル×2、8台の自転車積み込みOK、
デラックスは、個室4、トイレ2、バスルーム2、4人用ソファー、
4台の自転車積み込みOK)
そして、河内長野や、橋本、五条、吉野口、西ノ京、西大寺、宇治、
石山寺、草津、近江八幡、彦根、高島、近江舞子、雄琴、坂本、出町柳、
嵐山、亀岡、妙見口、宝塚、有馬、などに、『ロボ電ホテル』が
100~500台は駐車できる、スペースを創る計画にした。
そして、高校生向けの『ツールド・関西・HS』レース意外にもう一つ、
『ツールド・KANNSAI・WS』を行うようにお願いすることにした。
これは、ヨーロッパのレースと違い、駅伝方式で、バトンを繋ぐ
(専用のバトンがあり、自転車のフレームにくっ付ける)
ユニークなレースだった。
コースも、かなり変更され、最初に和歌山に向かい、そこから、
橋本から彦根までは同じだが、そこから敦賀に抜け、舞鶴、
宮津(天橋立)から、京都丹後鉄道沿いに、福知山から、加古川、
山陽電鉄沿いに、明石、神戸からは
HSコースに合流するルートだった。
また、自転車専用道路に創られた小型モノレール軌道だが、
難波から橋本までは、南海電車、橋本から宇治の手前までが、
近畿日本鉄道。
宇治の手前から琵琶湖を1周し、比叡山を越えて、出町柳までが、
京阪電車。
出町柳から、宝塚までが、阪急電車。
宝塚から六甲山を越え、神戸から、梅田方面、そして、
四つ橋筋の上を走って難波までが、阪神電車の管理と決め、
それぞれ500台ずつ(各鉄道会社の車体色に塗る)のモノレールと
2~4ヶ所の整備工場を置くことにした。
これらの企画をまとめると、魔法陣から、それぞれの関係者に
会うために、過去に飛ぶのだった。
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<< 晩年の小林一三邸 >>
「君たちは?」
「はい、京都大学の鉄道研究会の、日本新と、その付き添いの
神夜月です。
今日は、今太閤と呼ばれている、一三先生に鉄道の話を
聞かせて貰えると、事前に約束をさせていただき・・」
「お、そうだったか、最近物忘れが激しくてね・・」
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「なるほど、大手私鉄の路線を繋げて、ぐるっと一周できるように
するのか、面白いな、しかし南海さんは、狭軌だぞ?」
「いえ、それは、変更すると、この前、南海の社長さんが言ってました。」
「そうなのか、なら大丈夫だな。」
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<< 京阪電車のその後 >>
京阪本線は、今までの萱島まで、複々線どころか、6線の高架に
増線改良されていた。
(さらに上部には、6線のロボ電用線路が出来ていた)
そして、新しい私市線が、なんと萱島から、複々線で伸びていて、
私市から京阪奈学術都市を通って、NR西の木津駅に繋がっていた。
さらに、本線の方は、寝屋川市駅からもあまり北に上がらず、
枚方と交野の間を6線高架で走るようになっていた。
(その分、淀川沿いには、複々線になった、大阪市営地下鉄谷町線が
枚方まで延びていた)
枚方からは、石清水八幡神宮の右手を抜けて、久御山方面から、
淀駅に向かう路線に変更されていて、久御山の少し北側からは、
宇治川を渡らず、分岐した新しい京阪宇治線がまっ直ぐ東に延びていた。
本線は複々線に減っていたが、新宇治線は複々線に増えていた。
(本線、私市線、宇治線で増えた複線には、架線が無く、
『ロボ電』用路線であることが、理解できた。
その証拠に地下の出町柳駅から、地上の叡山電鉄に繋がる路線と、
地下のまま左に曲がって、今出川通の地下を通って、
嵐電北野線に繋がる路線が出来ていたが、ここにも架線が無かった)
新宇治線は、宇治で終点にはならず、高速道路の京治バイパスと
同じようにトンネルが幾つか掘られていて、石山寺まで繋がっていた。
(この部分も架線はなく、ロボ電専用路線と思われる)
石山寺線も、複々線になっていて、新幹線とNR東海道線を越えると、
琵琶湖の東回り線が分岐していた。複々線の琵琶湖の東周り線は、
自転車専用道路に並行していて、かなり湖に近く、適度な距離に
『ロボ電ホテル』がそのまま泊まれる駅が用意されてあった。
琵琶湖の西側では、新幹線並みに整えられたNR西の湖西線が少し内陸に移り、
それを埋めるように、京阪電車琵琶湖を1周路線が建設されていた。
坂本からは、今まで通り、大津に向かう路線(複々線高架に改良済み)
とは別に、比叡山を抜いて、京都の叡山電鉄の八瀬比叡山口駅に至る、
トンネルが出来上がっていた。
そして、改良された叡山電鉄を通り、出町柳付近で、
地下に潜るところまでが、京阪電鉄の守備範囲だった。
<< 阪急電車のその後 >>
阪急電車の京都線は、6線に増線されていて、十三を過ぎても、しばらく
宝塚線と平行し、山陽新幹線と交差する手前で地下に潜り、新大阪駅の地下に
2面4線の駅が出来ていた。
その後も、暫く新幹線の地下を走ってから、従来の阪急京都線になっていた。
また天神橋筋6丁目から、大阪メトロ堺筋線に入る、阪急千里線は
淡路駅辺りから地下に潜って、新幹線をパスするので、巨大な淡路駅は
存在していなかった。
また阪急京都線は桂駅からは、阪急嵐山線と分離するが、
どちらも複々線になっていた。
(増線された複線は『ロボ電』用らしく、架線はない)
そして、終点だった京都河原町からも、ロボ電用線路だけは延びていて、
八坂神社を抜けて、京阪京津線の山科駅まで繋がっていた。
阪急神戸線と宝塚線は、どちらも、6線に増線されていて(4線はロボ電用)
京都線と併せて、18線もの線路が淀川を渡って、十三まで走る姿は、圧巻だった。
宝塚線は、できるだけ真っ直ぐに、改良されて、石橋阪大駅まで、
6線高架で進み、複々線の箕面線が分岐しても、
川西能勢口駅までは、6線だった。
そして、川西能勢口駅には、能勢電鉄妙見線が北に延びているのだが、
その線も複々線に増線された上に、妙見口から来たロボ電専用路線は、
梅田に向かう短絡線が出来ていた。
川西能勢口駅から宝塚方面の路線は、少し南のNR西の福知山線の
辺りを複々線、高架で創られていた。
(NRの福知山線は、山陽新幹線の下を走り、伊丹市から、
斜めに宝塚に向かっていた)
さらに、宝塚からも複々線(2線はロボ電用)で、有馬方面まで
新線が出来ていて、神戸有馬鉄道の有馬温泉駅で繋がっていた。
阪急神戸線は、路線の位置はほとんど、変わっていなかったが、
複々線で高架化された上に、3階部分にロボ電専用路線が、
これまた複々線で走り、三ノ宮で、六甲山をトンネルで抜けてきた、
神戸有馬鉄道の新線のロボ電線用路線と繋がっているだけでなく、
東京の田園調布と並ぶ、関西の高級住宅街の芦屋地区には、
邸宅群の一軒ずつに繋がるように、ロボ電路線が枝分かれしていた。