021 京成線と東武線の大改革
「ふふ、次の駅の周りには、お母さんが沢山住んでいらっしゃるのですか」
なぜかルナが嬉しそうに、アラタに問いかけてくる。
「どうして、そう思うんだい?」アラタが尋ねると
「え、だって、車内アナウンスで『次は、市川ママの駅』って
言ってましたよ。」
「ああ、それは、聞き違い、いや違うな、漢字の間違いかな、
ママは『真間』って言う漢字で表されているんだよ」
「そうだったんですか、勘違いしてました」アラタと結婚して、
子供を産んで、自分もママと呼ばれたいなと思っていたルナは、
顔を赤くしながら、恥ずかしそうに答えた。
「それにしても、凄い迫力ですね。洗濯物が吹き飛ばされそうですよ」
マーレが車窓から、流れる風景を見ながら感想を述べる。
今日は、アラタ、ルナ、マーレの3人で、京成電車に乗って、
成田山への観光に来ていた。
「うん、確かに、すごいな、百里国際空港に向かう、北総線の方は
京成スカイライナーなどが200km走行できるように改善したけど、
京成本線の方は頭から飛んでいたよ」
京成本線の線路脇ギリギリまで、民家が密集して建っていて、
そこを京成電車が猛スピードで走っているのだ。
そのため、窓の外に干してある洗濯物が風圧で、
揺れて、飛ばされそうになっていた。
「これは、少し危ないかも知れませんね」
「じゃあ京成電車も改善しましょうよ。
ルナ様の力で、線路の両側に道路をつくって、
民家との距離を開けて安全にして、線路も増やして
6線にしちゃいましょう」
「そうね」とルナが両手を上げるのを、止めるようにアラタが
「ちょっとまってくれないか、ルナ」と呼び止めた。
「???」疑問を浮かべるルナに、
アラタがスマホの地図画面を見せながら説明する。
「京成電車は、こんな感じで、上野公園の地下ホームを拠点にして、
日暮里から町屋を通ってくるルートと、僕らが今日乗った、押上から、
地上に上がってきた線路が、さっき通った青砥で合流して、
今は成田方面に向かっているんだけど、上野方面に関しては、
少し遠回りしているように感じないかい。
一方で、北千住方面からやって来た東武伊勢崎線も、
荒川沿いをグネグネ進んで、隅田川を越えて浅草に至るんだけど、
こっちも少し遠回りな、気がするんだ。
つまり何が言いたいかというと、お互いに遠回りしている
この2つの路線の一部をルナの能力で、入れ替えることが
できないのかなって思ったんだ。」
「なるほど、具体的にはどんな感じで入れ替えるのですか」
「そうだね、北から下りてきた東武伊勢崎線を西新井あたりから、
真っ直ぐ下に降りてもらって、町屋まで繋げて、そこから
入れ替えた京成線の路線で、上野に向かうんだ。
つまり、東武線の起点は、上野になる。
また、東武伊勢崎線の各駅停車と直通している東京メトロの日比谷線も、
常磐線の各駅線の千代田線と入れ替わってもらって、
町屋から、地下に潜ってもらう。
(逆に千代田線は、北千住から、日比谷線と入れ替わって
上野に向かってもらう)
そして、代わりに押上から、浅草に向かっている東武線の線路を、
京成線が使わせてもらうように、入れ替えることって、できるかな」
「なるほど、東武伊勢崎線の各駅路線を走る、日比谷線と、
常磐線の各駅線路を走る千代田線も入れ替えるってことですね。」
「そうなんだ、それに東武線の準急などが相互運転している半蔵門線もね。
でも、そんなに大規模に入れ替えることって、できるのかな?」
(半蔵門線に乗り入れていた東武の準急などは、
町屋からの元の千代田線の真下に新しく地下鉄の快速線をつくって、
そこを走ることになった)
「ところで、東武線の北千住から南に下る、鐘ヶ淵や、堀切などはどうしま
「そこは、浅草で止まっている、銀座線を、北千住まで延伸することで
解決できると思ってるんだが、それも大丈夫かな」
(隅田川を地下で渡った銀座線は、旧東武線の代わりに、東京スカイツリー
ー曳舟―東向島―鐘ヶ淵―堀切―牛田―北千住まで延伸され、
曳舟から亀戸に向かう路線は、将来のロボ電用に、ゆりかもめのような
自動運転車両が走ることになった)
「ああ、それぐらいの入れ替えは問題ないですね。
そもそも、ルナさまが行っている、路線変更は、それが創られる時代、
いえ、その計画が決まる時代にまでもどって、それを設計する人の意識を
少し、変更させてもらっていますから、
はじめからそうなっていた事になるんですよ」
「そ、そうなんだ、設計する人の意識を変更しちゃうんだ・・。」
アラタが、冷や汗を流す。
「アラタさま、怖がらないでください。ルナさまの能力は、
催眠術をかけて、意識をコントロールするのではなく、
こっちにした方が、『みんな幸せになるかな?』っていう考えを
自らが考えついたようなふうに導くだけですからね」
マーレの説明に、それも、マインドコントロールじゃないのだろうか?
と思いながらも、それ以上触れずに、また、スマホの地図をみせながら、
説明を続けた。
「それと、この部分を見てもらえば、解りやすいんだけど、
京成線の市川あたりの線路の位置と、総武線の距離が近くて、
少しもったいない気がするんだ。」
「もったいない?」
「うん、市川駅や本八幡駅の近に住んでいる人にとっては、
2路線を使えて便利なんだけど、そこから、北や南に少し離れた所に
住んでいる人たちにとっては、自転車やバスでそれらの駅に
向かわなきゃいけないだろ?その時間が長くて大変だと思うんだ。
これは、昔は東京湾の海岸線が総武線の少し前あたりにあって、
海岸線沿いに干拓地を創ってその地域に、当時はまだ煙を吐いていた、
蒸気機関車が、貨物満載を走り、煙のでない、京成電車が、
海岸沿いの集落を繋いで、縫うように開通したため、
2路線がこんなに近づいちゃったんだ。
当時としては、それでよかったんだけど、今だと、
鉄道空白地帯が、京成の北と、総武線の南の方にできてしまって、
凄くもったいなく感じるんだ。
なので、ここの2路線を、もう少し離れて走らせる事って、できるかな?」
「ま、まかせてください。強力なマインドコントロール術を使って、
なんとしてもそうさせますから」
「いや、そこまでしなくても・・」
その後も、いろいろと話し合った結果、
京成線の上野―町屋間は、東武線と入れ替わってもらったうえで
複々線にする事になった。
そして、町屋からは、千代田線も新東武伊勢崎線に、
繋がってもらい複々々々線、つまり8線になって、
東武動物公園まで、北上してもらうのだ。
そして、東武動物公園からは、伊勢崎線と日光・宇都宮線に
それぞれ複々線で分岐していく。
また、町屋から地下に潜って千代田線を通る線も、複々線にして、
地下鉄も快速運転ができるようにした。
(日比谷線に直通していた車両が各駅停車で、
半蔵門線に直通していた車両が、快速運行するイメージ)
そして、東武浅草線と入れ替わった京成線は、押上からそのまま地下に潜って
都営浅草線に繋がっている路線はそのままで、
浅草止まりのメトロの銀座線の真下に複線の快速線をつくったのだった。
(この快速線は、後に渋谷で、東急線に繋がる)
さらに浅草止まりだった銀座線は、隅田川を地下で渡り、
元の東武スカイツリー線を通って、北千住まで繋がったのだ。
また、元半蔵門線は、押上げから京成線本線に繋がった。
また、元の東武のターミナルだった浅草駅の地下には、
4面8線で、10両編成に対応する巨大ターミナルができあがり、
その内4線が、都営浅草線と、銀座線の快速線につながっていて、
元の銀座線と合わせて、6線が隅田川を地下で渡り、
押上で、合流してきた半蔵門線と合わせて8線が京成本線となった。
そして、8線に増えた京成線は、立砂で、北総線から百里国際空港に向かう
複々線が分れるが、本線は8線のままで、船橋付近で、総武線を跨がないで、
そのまま北側を京成津田沼まで進み、そこからは、複々線どおしに分れて、
成田と千葉に向かうようになった。
まとめると、東武線の各駅停車が千代田線に、常磐線の各駅停車が日比谷線に、
京成の北総線経由、百里国際空港方面の各駅停車が、都営浅草線、
京成本線の各駅停車が、半蔵門線と、銀座線の快速線(船橋から別れて千葉方面)
になった。
線路の位置も、京成線本線が500m程上側を、逆に総武線は500m程下側に
移動したため、鉄道空白地帯が少し減った。
そして、京成千葉線は、船橋付近で元の京成本線のように総武線をまたぎ、
かなり南下して、ちょうど京葉線と総武線の間ぐらいを
複々線で千葉に向かうようになった。(元の船橋付近のS字カーブも解消した)
また、京成千葉駅は、少し南に下がった所にでき、そこから千原線に接続されて、
その千原線は、小湊鐵道の海士有木駅まで延伸された。
また、NR船橋駅の北側に沿うようにして『東武船橋駅』のある、
東武野田線は、90°曲がらずにそのまま総武線をオーバークロスして、
少し離れたところで、京成線もまたぎ、そのまま南下して、
京葉線の新習志野駅まで、路線を延ばしていた。
さらに、柏までの複線ではなく、柏から、野田、春日部を経由して
大宮までの全線が複々線になっていて、6両編成ながらも、
快速運転が頻繁に行われるようになった。




