013 ○○ドンキー以上にびっくりな家族の話
美味しいものに目のない、女性陣は、先日近くに開店した、
○○ドンキーの300gハンバーグにハマり、その創業が、
アラタの両親が助っ人の医師をやっている盛岡にあると聞き、
急に盛岡観光に行くことに決まった。
GWには、ホタルとの事を、キチンと両親に話すと、言ったものの
いざとなると、少し躊躇していたアラタの
「いや、なんで俺も?」という発言に、ルナとマーレから、
「「義理のお母様にも話しをしておきたいですし」」という返答と、
ホタルからは、
「お兄ちゃん、父さんと、母さんに、キチンと話すのは、夫の責任だよ」
と言われ、ついでに田沢湖まで足を伸ばせば、秋田新幹線にも乗れるよ
という餌に釣られたアラタは、東北新幹線の福島駅で、
ひたすら時間待ちをしていた。
「これは新幹線ですよね。超特急ですよね。なぜ、こんなに
待たされるのですか」とマーレがイライラしながら呟く
(女の子には、イライラする時期が月に一度在るって聞いたけど、
マーレはアンドロイドだよな?アンドロイドにも、そんな日があるのかな)
「アラタさま?何か変な事をお考えではないですか」
「・・すみません。で、なぜこんなに待たされるのかと言うと、
ここは山形新幹線との分離、結合地点で、全部端っこのレールで
行われるんだよ。
つまり、山形から来た新幹線は、本線を平面交差で、横切って、
こっちに来るんだよ。
そして、東京に向かう時も、また平面交差で、本線を横切る、
つまり2回も本線を横切らなければ、ならないんだ。
だから、どこかでの遅れがあった場合、こうやって遅れが
連鎖してしまうことがあるんだよ」
これは、何年も前から、問題になっていたが、新たな連絡線を
造る予算の関係で問題先送りになっていて、
ようやく1年後から改良工事が行われるのだが、
用地回収の遅れから、2026年以降の完成予定になっていて、
2022年では、このような問題が時々発生していた。
「はあ、そうですか、せっかく日本国内では最速の320km走行しても、
これでは意味がないじゃないですか!それに大宮までのあのノロノロ運転は
何でしたの、130kmでチンタラ走ってるんじゃ宝の持ち腐れですわ」
(以前は110kmだったのが130kmにスピードアップしたんだけど、
チンタラって・・、あれ?でも最速が320kmなら、
半分以下だからチンタラでいいのか)
「アラタさま、また何か変な事を考えていませんか?」
「いえ、何も・・・。それで、あの区間の事を説明すると、
上野―大宮間は、建設時に騒音問題で、地元の反対があって、
速度が規制されているんだ。
その後の車体の改良で、騒音は少なくなっているんだけど、
一度決まった約束はそう簡単に変えられないんだよ。
まあ、複線の区間に、北陸新幹線、上越新幹線、東北新幹線など
多数の路線が走っているから、パンク状態なんだけど、確かに、
マーレが言うように、もう少し早く走れれば、いいかもな」
今回のアラタの隣の席は、行きの盛岡までと、ハンバーグを食べてから
夕方の田沢湖までと、次の日の車の助手席と、盛岡からの帰りの新幹線と
いうように、アラタの隣の席がローテーションになっていて、
最初のマーレがいろいろと話してくるのだが、アラタも最初は
初めて体験する320km走行(子供の頃に乗ったときは覚えていなかった)に
気が取られて、あやふやな受け答えしかしなかったからか、
マーレの機嫌が悪いのだ。
懐かしい、冷凍ミカンを見つけて購入し、皮を剥いて、
一房ずつ食べさせてあげると、多少マーレの機嫌が直り、その後は、
新幹線も遅れを取り戻すように爆走して盛岡に到着した。
そして、レトロな○○ドンキー発祥の店で、プロトタイプのハンバーグを食べ、
再び、新幹線(今度は秋田新幹線)に乗り、田沢湖のホテルへ
今日は父親が夜勤勤務なので、ゆっくり会えないとの事で、
次の日のランチで合流することになった。
次の日は、マーレがポケットから出した車で、田沢湖一周や小岩井牧場などを
楽しんでから、両親の部屋へ、4人で押しかけたのだった。
*********************************
「大丈夫か、アラタ」絶句して、しばらく動けず、言葉もないアラタに
オヤジの日本仁が声をかける
「あ、ああ、ちょっと衝撃すぎて、まだ頭が回らないんだが」
まず、ルナ達に、記憶を操作して、ルナやマーレ、そして妹のホタルと、
肉体関係を持ったように入力された事を謝られ、どうか嫌いにならないでと、
涙ながらに懇願された事。
さらに、アラタが母だと思っていた人は、母ではなく、
その妹だったという事実だった。
「で、アラタはホタルの事どう思ってるの」父親の仁の妻である
愛が聞いてくる
「えーと、今まで通り『母さん』でいいかな」アラタの問に、
ジンの妻の愛が頷く
「ホタルの事は、その可愛いと思っているし、肉体関係が
まだ無かったとしても、真剣に考えて答えを出すつもりだよ」
「ふふ、やっぱりアラタもジンの息子ね、姉さんの子とは思えないわ」
「その・・僕の生みの親の女性は元気なの」
「ええ、元気よ、今度遊びにいらっしゃいって」
なんと、アラタの母は、プレアデスの女王で、まだ王女の頃に
地球にお忍びで遊びに来て、映画『ローマの休日』のごとく
ベガ大使館を抜け出して観光している途中で、父に出会い、
父の部屋に押しかけて来たのだという。
誰かと違い、しびれ薬は入れられなかったが、波長が合ったのか、
意気投合して、その日の夜には、そう言う関係になって、しまったのだそうだ。
そのまま、父のアパートで同棲生活をするようになり、そうして生まれたのが、
アラタなのだが、アラタが一歳の頃に急用が出来て、プレアデスに帰還。
そのとき、アラタのお世話役として(アラタはプレアデスの王族の血も引くため)
双子の妹の愛が、入れ替わりに地球に来たのだという。
なので正確には、アラタが母だと思っていた人は、叔母にあたるのだった。
そして、よくある話だが、母の双子の妹の愛と父が相思相愛になり、
生まれたのが、ホタルなのだという。
つまり、ホタルは、妹ではなく従兄弟になるのだった。
「確か、日本の法律では、従兄弟なら結婚できるのですよね」
「あら、ベガのアンドロイドちゃんも、情報通ね」
「いえ、プレアデスの王族が、先につばを付け・・いえ、
アラタさまを生んでいたとは、確か、アラタさまの出生時から、
監視をしていたはずなのですが・・」今度はルナが疑問を声にする。
「ああ、あの監視ドローン?トリックデータを流せるのは、
ベガだけじゃ無いわよ、プレアデスのドローンも凄いのよ」
銀河同盟を組んでいるはずの、ベガとプレアデスがギクシャクしてきた。
「やめないか、愛、ベガのお嬢さん、えっとルナさんって言ったね。
彼女は、今までのベガの女性のように精子だけ搾り取って逃げ出す人とは、
ちょっと違うようだよ。アラタの変わった趣味を一生懸命サポートして
くれているし、ホタルもなついているようだ。
ルナさん、君たちの任務は済んだんだろう?
できれば、アラタを傷つけないで、帰星してくれないかな。」
「そうね、言い過ぎたわ、ごめんなさい。
元ベガの男性遺伝子を持つ人もどんどん少なくなっていると聞くわ、
早く、精子が無くても、病気がクリアできるように祈ってるわ」
「こちらこそすみません。ただ、私は、アラタさまの事を傷つけるつもりは、
毛頭ございません。ホタルさんがアラタさまと、ご結婚されるのも・・。」
ぎゅっと手を握ると
「ホタルさんとアラタさまの結婚を祝福いたします」とうつむきながら答えた。
床には、ポタポタと涙が落ちた。
「あなた・・。アラタの事が、本当に好きなのね・・。
わかったわ、ルナさん、あなたもアラタと結婚しなさい」
「な、母さん!、2人と結婚するのは、どうかと思う・・」
「なに? アラタ! 泣いている女の子の願いを叶えないの?
あなたは、苦しんでいる人が居たら、すぐ前に出て助けたでしょう?
ルナちゃんを助けてあげないの?」
「でも、日本の法律で」
「じゃあ、過去に戻って法律を変えて来なさい。
だいたいルナちゃんは、ベガ星人でしょう?
地球人じゃないから、日本の法律なんて関係無いわよ」
(いや、俺は地球人なんだが)と思ったアラタだったが、
こうなった時の母(叔母?)の強さは何度も経験済みなので、父親を見た。
父は、悟りきったような目をして頷くし、ホタルも、
「じゃあ、マーレさんもベガ製のアンドロイドだから、
地球人じゃないですし、3人でウエディングドレスを着ましょう」と
ハイテンションになっていた。
覚悟を決めたアラタは、
「ルナ、マーレ、ホタル、これからもよろしく。
ただ、経済的に自立するまで、もう少し待っててもらえないか」と
提案すると、3人は、優しく微笑みながら頷いてくれた。
「じゃあ、婚約と言う事にしましょう」母の仕切りで、
話がまとまり、アラタは、順番に彼女たちを抱きしめたのだった。




