001 月は新を観ていた
毎日の満員電車での通勤の中で、「こうなったらいいのにな」という願望を描いてみました。矛盾点もあると思いますが、温かく見守ってもらえると助かります。
「ルナ様、またアラタさんを覗き見しているんですか、そんなことしなくても、
あと2年もすれば、地球で会えるじゃないですか」と、黒髪の美女メイド
(若い頃のハリウッド女優のジェニファー・コネリーに似ている)が、
少し呆れた感じで言いながら、ルナと呼ばれている黒髪だが、
西洋風の顔立ちの、
(こちらはハリウッド女優の若い頃のアン・ハサウェイに似ている)
美女の前に紅茶を置いた。
「ありがとう」と、モニターから目を離し、
そのティーカップを持つ、黒髪の美女は
「ええ、だって気になるんだもの・・」と恥ずかしそうに呟いた。
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ベガ星の第2王女、神夜月は、自室の隅にある
通信システムから、1400光年離れた、太陽系の地球と呼ばれる第3惑星の、
日本という国の、とある青年、
日本新の様子を覗き見していたのだ。
地球より、遙かに進んだベガ星の科学力は、地球人から見ると、
その原理が分からず、魔法にしか見えないレベルに達していた。
そんなベガ星人たちは、同じく地球より進んでいて、
しかもレプタリアン種族のように攻撃的ではない種族である、
『プレアデス星人』や『シリウス星人』などと銀河同盟を結んでいた。
その銀河同盟は、地球では『月』と呼ばれている衛星の裏側に秘密基地を
持っており、その基地から、さらに地球の静止衛星軌道上に
地球人には見えない、衛星を配置して観測しているのだ。
なぜ秘密裏に観測しているかというと、まだ他の惑星への進出ができない
種族の進歩を邪魔しないように見守ると同時に、核戦争などで、
その種族が自滅してしまうのを防ぐためでもあり、
また、悪質レプタリアン種族などが、不法に介入して、
その種族を食料や奴隷にしないように
監視する目的のためでもあったのだ。
これは特に珍しい事ではなく、地球意外でも、いくつかの星で
実施されている、まだ宇宙に本格的に進出できていない種族に対する、
保護観察システムであった。
そのシステムに便乗して、ルナは個人的にもっとよく、
新を見たいと思い、
ベガの現女王である、母の神夜姫にお願いして、
監視衛星にアクセスする許可だけでなく、
そこからさらに個人的に(王族専用の)、
小さなドローンのような地球人類には不可視の偵察機を下ろして、
アラタの様子を覗いているのだった。
なぜ、それほど特定の地球人のしかも男性に、
ベガ星の王女が執着しているのだろうか?
実はベガ星人は、元々、太陽系の地球の隣の金星に住んでいた人類で、
その金星が10億年前に火山の大爆発で住めなくなったときに、
それを予測して、事前に大船団を組んで、金星を脱出して、
ベガ星に移住した人々だったからだ。
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ベガ星に移住した頃は、男女の数はほぼ半々だったのだが、
遺伝子操作や素粒子レベルでの肉体変換技術の発達で、
徐々に肉体的に美しい女性に変身して生活する人が増えていった。
さらに科学が発展し、全ての病気を克服し、
肉体寿命も1000年を越えるようになり、
またクローン技術も発達すると、男女の営みを得てから、
子供を産んで育てるより、人工羊水が満たされたカプセル内で、
卵子と精子を結合させて人工的に自分の好きな体を創り出し、
そこに魂を移す方法が開発され、やがて精子の解析も行われて、
人工合成できるようになり、
男性の精子は必要がなくなっていったのだ。
またベガ星人の精神的な能力も遺伝子レベルで強化されていき、
ケガなども、ナノマシンでの再生する医療から、さらに進んで、
ソマチッドと呼ばれる半物質生命体に光エネルギーを吸収させて、
細胞を創り出す、ヒーリング能力を開発したのだ。
さらに、危険な能力としては、相手の精神に関与して、
相手が気づかないうちに支配してしまう能力など、
さまざまな超能力を手にしていった。
(この能力は王族のみの秘伝とされている)
そして、100万年前には、ついに
「我々は、神のレベルに到達した!永遠の命と若さを得たのだ」
という完全に慢心したような声明が、
その時代の女王から発せられたのだった。
そのような状況になり、ベガ星では、
いまだに性欲や支配欲が行動に出やすい
男性の肉体で生活している人々を、『野蛮人』であり、
自分たちより、下位にある人種として、
馬鹿にするような風潮が広がったため、
男性の肉体では住みにくい星となり、この時代に、
ほとんどの人が女性の肉体へと
変身していったのだった。
そうして、男性の肉体人口がベガ星全体で10万人までに
減ってしまった頃に、かつての故郷の金星のとなりの、
地球という惑星の大気が安定してきて、
住みやすい環境になっていて、銀河同盟から、
移住者募集の知らせが届いたのだった。
それを聞いた、残っていた10万人の男性たちは、
「このままベガ星で、馬鹿にされて生きるより、
新天地の地球で、男女が愛し合う世界に戻って、ゼロからやり直そう」
という合い言葉の下に、その移住に応募し、それに賛同した、
やはり10万人程の少数派の女性と共に地球に移り住み、
やがて地球で『ムー文明』を築いていったのだそうだ。
一方で「神になった」と宣言し、傲慢になっていた、
ほぼ全員が女性のベガ星人たちの間で、
数万年前から、原因不明の突然死が、起きるようになっていた。
それは、今まで元気だった人が、電源が切れるように突然動かなくなり、
苦しむ間もなく死んでしまうので「恐怖のシャットダウン病」と
呼ばれるようになっていった。
ベガが誇るスーパーAIも活用しながら、
ありとあらゆる検査や治療を行ったが、
原因が分からず、治療も進まなかった。
そんななかで、ある科学者が、
(もしかしたら、切り捨ててしまった男性の精子に
何か重要な因子があったのではないか?)と
考え100万年前に原始生活からもう一度やり直すために、
地球に移住していったグループの事を思い出し、
地球に男性の精子を採取しに行ったのだった。
その頃の地球では、昔の新天地を求めてアメリカ大陸に渡った
キリスト教徒たちのように、さまざまな星から多くの開拓民が飛来して、
いくつかの民族に分かれて、さまざまな文明を創っていた。
ベガの科学者達は、当時の地球にいる全ての民族の男性遺伝子
(精子に当るモノ)を採取したのだが、残念ながら
「シャットダウン病」に効果があったのは、
元のベガ星の男性の血を引いている者の精子だけだった。
ただ、『自分たちは、神になった、男性なんて下等な種族だ』と、
傲慢になっていた女性のベガ星人たちには、
今更、「シャットダウン病」の特効薬に
元ベガ男性の精子が必要だったとは、公には言えず、
女王が極秘に地球まで、
採取しにいく方策がとられるようになった。
しかし、地球でムー文明が栄えて居た頃までは、
比較的楽に、元ベガ男性の精子が手に入っていたのだが、
ムー大陸が沈んでしまい、各地に散ったムー人の子孫が減った現代では、
その血を受け継いでいるのは、日本人の一部の男性だけになり、
しだいに入手が困難になっていった。
そのため、元ベガ男性の遺伝子を集める仕事は、
女王直轄の重要事項になっていた。
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「聞いてマーレ、観察した結果、アラタさまは、
今日は、なんと妹のホタルさんの
高校卒業祝いとアラタさまの就職祝いを兼ねて、
ネズミのテーマパークに行くみたいなの!
これが『デート』と言うものなんでしょう?
だから、ここはぜひ、2人の行動や会話をよく見て聞いて、私が将来、
アラタさまとデートするときの参考にしようと思っているの」
マーレはこれ以上、ルナの時間が、のぞき見に取られないように、
「ルナ様、兄妹で出かけるのは、デートとは言いませんよ。」
と冷たく言った。
「え、そうなの?なんでマーレはそんなに詳しいのよ」
マーレは、ルナが生まれた200年前
(ベガ星人の寿命は1000年なので、地球では10分の1にして考えると
ルナは20歳ぐらい)に、ルナ専属のアンドロイドメイドとして
創られた個体で、ルナが地球に興味を持ち始めた頃から、
ルナ以上に地球について調べているのだ。
特に日本の漫画で知った、22世紀から、過去に戻って
依頼主の先祖の少年を助ける、
ネズミに耳をかじられた青たぬきロボット
(本当はネコだが、マーレはタヌキと勘違いしている)に
ライバル意識を持っており、エプロンに青たぬきと同様に、
アイテム入れポケットを取り付けていることを、
ルナは知らなかった。
「しかし、本当に地球人として暮らすのですか、
精子を搾り取るだけなら、夜中に牽引ビームで、
宇宙船に引き込んで、本人が知らぬ間に、
もらっちゃえばいいじゃないですか」
「それはいや!私は、マイおばあ様のように、無理矢理ベガに
連れて来て、酔わせて採取したり、ヒメ母様のように、
動けなくして、精子を採取するのではなく、
一般的な地球人たちのように、恋愛して、
そして結婚して一緒に暮らして、
合意の上で精子がほしいのよ」と、ルナはマーレの提案を即座に断った。
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今のルナの発言をもう少し詳しく説明すると、
日本の昔話にある『浦島太郎』という
『小亀を助けたら、竜宮城へ案内された』という話の
竜宮城はベガ星であり、
真実は、当時の神夜舞女王(カグヤ・マイ(ルナの祖母))が
浦島太郎をベガ星に連れて行き、酒を飲ませて泥酔させて、
精子を採取したという事らしい。
さらに、最初は楽しんでいた浦島太郎だが、竜宮城の女性たちが、
裏で男性を蔑む態度に嫌気がさして、地球に帰らせてもらったらしい。
そうして帰ってきたら300年ほどたっていて、玉手箱を開けると、
おじいさんになったという話は、煙が忘却薬で、
太郎のベガ星での記憶を消されてしまった事が、他人から見ると、
ボケ老人のように見えたと言う事らしい。
また、『竹取物語』に出てくる、『かぐや姫』は、
ルナの母親の神夜姫女王が、密かに地球に飛来して、
急速に美しい姫君に成長しながら、ベガの血を引く男性陣を見つけて、
マインドコントロール能力で、求婚を迫るように仕向けて、
その中のベガ星遺伝子を持つ5人の若者に無理難題を言い、
最後は結婚せずに、月から迎えが来て、月に帰る前に、
動けなくなったベガ系地球人から、
ちゃっかり精子を採取していたというのが真相らしい。
そのような状況なので、ルナは幼い頃から地球人の日本人男性に興味を持ち、
日本のアニメやマンガ、テレビドラマを見ていく内に、ベガ星には無い、
男女の恋愛感情を少しずつ理解できるようになり、いつしか、
自分も地球に住み、恋愛や結婚を体験してみたいと
思うようになったのだった。
ルナは、かぐや姫と呼ばれていた、自分の母と同様に
地球滞在許可をもらい、アラタが社会人になり、
自立した頃を見計らって、地球時間で、2年後を目安に、
地球に行く計画を立てているのだ。
母は、すぐに大人に変身して、5人の若者の精子を
採取して帰ってきたが、
ルナは最初から大人として地球に行き、
母よりももっと長く滞在して、
アラタと、恋愛結婚して、子供を産んでみたいと、
密かに思っていたのだ。
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ルナが自分の願望をマーレに話している時、突然、監視モニターから、
アラタの危険を知らせる、警告アラームが鳴り出した。
「何事なの!」ルナが監視モニターを見ると、駅のホームから、
線路に落ちそうになっていたベビーカーと赤ちゃんをアラタが押し返し、
その反動で逆にアラタが、入線してきた電車に
跳ね飛ばされる瞬間が映し出されていたのだった。
今度は、キチンと完結まで書き切る予定(100話ぐらいで完結するつもりです)で、00を付けてみました。週に1~2話のマイペースで進めるつもりなので、時々、覗きに来て頂ければ嬉しいです。




