表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】白い結婚、最高です。  作者: 火野村志紀
18/84

18.王都

「マリー様がいたら、あの二人問答無用で屋敷から追い出されたんじゃないかなぁ……」


 ポワールがぼそっと呟くので、賛同するように頷きながら王都を歩く。

 私が仕事のために毎日通い続けた街よりも広くて、たくさんの人で賑わっていた。

 なんというか、活気がある。

 目いっぱい楽しみたいと思うのに、先ほどの出来事がしこりとなって私の心に残っていた。


 ソフィアとハロルド……

 ポワールに引き摺られるようにして屋敷から出て来てしまったが、帰ったらユリウスに謝らないと。

 それにポワールのことも心配。


「……ポワールさん、大丈夫ですか?」

「うん? 何が?」

「もしかしたら、本当にマリカード家から抗議が来たら……」


 ユリウスのことだ。ポワールのことをちゃんと守ってくれると思う。

 しかし厄介なことにはなりそうだ。

 マリカード伯爵夫妻の良心にかけたいところだけどさ。


「うーん。その時はその時かな!」


 私の不安を余所に、ポワールはあっけらかんとした口調で言った。

 なんちゅう肝の据わりようだ……


「それにうちって、こういう揉め事に慣れてるから大丈夫大丈夫」

「そうなんですか……?」

「それよりフレイ、何か欲しいのとかある? この王都だと何でも買えるよ~」

「何でもですか?」

「服でもアクセサリーでも本でも!」


 私は腕を組みながら、小さく唸った。

 自分で稼いだお金を好きに使えるのはとても嬉しい。しかし一晩考えても、その使い道が思いつかなかったのだ。


「じゃあ~何か食べたいのはある?」


 いつまでも悩み続ける私を見兼ねて、ポワールがアドバイスをくれた。

 食べたいもの。

 その言葉に導かれるように、一つの食べ物が私の脳裏に降臨した。

 あれを食べ物と表現していいものか分からない。ただ一度思い出したら、あの味が無性に恋しくなった。

 よし、お金の使い道が決まったぞ。


「……ポワールさん、連れて行って欲しい店があるんですけど──」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ