六話 実戦訓練
「ねえ、ウェル・・・やっぱり緊張する」
「大丈夫だ、メリー、何回もやってれば慣れるさ。それに、俺も居るからな」
「ウェルは、Aランクのハンターだもんね。そんなこと、最近まで知らなかったんだけど、やっぱりすごいね・・・」
ハンターには、ランクというものがある
上から、”特別枠”のSからハンターのスタート時の階級のEまで。
スタートのEランクから、何か一つでも依頼をこなせばDランクのハンターに昇格できる
Cランクが一番多く、その次にBランクが多い
そして、Aランクは、皆叩き上げのエリートばかりで構成されていて、やはり、数は少ない。
俺は、そのランク内のAランクハンターに属している
ところで、俺たちがなぜ、町から”外”へと繋ぐ門に居るかというと
事は、3日前にさかのぼる
半年間、訓練や勉強を頑張った結果
メリーは14歳になり、実戦訓練を受けれることになったのだ。
実戦訓練の年齢制限として、14歳からでしか訓練は禁止されている。
そして、訓練の護衛のハンターは二人と原則決まっている。
勿論、正式採用は16歳になってからなのだが
メリーの訓練に際し、俺自ら護衛を買って出た。
もう一人は、ギルドから派遣されてくるはずだ。
「あぁそうだ、メリー」
「どうしたの?」
「探索科学者って、略称とかできたらしいな。知ってたか?」
「うん。キャリナー、でしょ。元の名前は呼びにくかったし、私は、いいと思うよ。」
「じゃあ、キャリナーの鉄則は?」
「魔物の一部を持ち帰ること・原則ハンターと一緒に行動すること、そして第一に」
「「生きて帰ること」」
「あぁ、そうだ・・・」
そんなことを話していたら、そろそろ、門が開くようだ。
訓練支援の為のハンターの残りの一人も到着した。
どうやら、若手の男で、剣使いのBランクハンターらしい。
「ウェルさんとメリーさんですね。支援の為、パーティーに同行します。スノーモービルは二人分しかありませんので、ウェルさんの後ろにメリーさんは乗ってください。」
「あぁ、わかった。よろしく」
そして、俺は最終チェックを始めた
「メリー、バッグの準備は?」
「オーケー」
「靴の準備は?」
「オーケー」
「防弾コートに不備は無いか?」
「大丈夫」
「銃の手入れは?」
「カンペキ」
「・・・メリー」
「何?」
「魔物に襲われたら、躊躇なく銃を撃て」
「わかってるよ、そのくらい」
「外は、冷気に茹だった、恐ろしい地獄の釜さ・・・なめてかかると、すぐに命を持ってかれる。そうなった奴を、俺は何回も見てきた・・・」
「・・・」
「だから、メリー」
「うん」
「俺から離れるなよ」
「・・・わかった!」
そして、門が開かれた
遅くなりました。すっかり体調も良くなったので、これからはいつも通り毎週土曜更新で行きます。よろしくお願いします。