一話 商人とオオカミと少女
「やぁ、オオカミの旦那、夜でもいつも通り、刀も似合ってますよ。」
俺は仕事を終え、いつも世話になってる商人のところに来た
「どうでした?最近は酷いもんでしょう外はさ。まあ・・・旦那みたいなハンターだと、外に行かねえとまともに食ってけねえから、しかたないですね。」
各地に点在す街は皆、高い壁に覆われている
もっとも、気温は寒いし吹雪く、それに、外には化け物どもがうろついているのだから、当然ではあるが
「どうだい旦那、安くしときますぜ。あぁ、そうそう、今日は良い葉巻が入ったんですよ。一本、いかがです?」
「貰おう、いくらだ?」
「そういえば旦那、銃弾は足りてます?1ケース買ってくれたら、一本おまけしておきますよ」
「相変わらずだな、お前も」
俺とは昔なじみの商人だ、いつもと変わらない姿におれは笑みをこぼした
「貰おう、丁度ストックが無くなってたところだ」
「へい!毎度あり」
外では、目まぐるしく状況が変わる
一つ気を抜けば、命を落とすことも有り得る
やはり、変わらない風景は落ち着くものだ
「ところで旦那、その子は?」
「人族の子供だ、廃墟に一人で隠れてたのを拾ってきた。腹も空いてたみたいだからな」
「はぁ、そりゃあ良かった。明日から大雨ですからね。あっしらみたいなカエルには天国ですが。して、旦那服が入用でしょう?女物の」
「ああ、頼む」
「あいよ!安くしときますぜ、旦那」
ふと、この子の名前を聞いていないことを思い出した。
「お前、名前は?」
「・・・メリー」
「俺の名前は、ウェルだ、よろしくな。メリー、この町でアテはあるか?」
「・・・ない」
どうしたものか、困っていると
「オオカミの旦那のところで暮らせばいいんじゃないです?」
「おい、アミダ・・・」
「あっしは、家族を養わないといけないので。それに、旦那は独り身でしょ?下手に孤児院に入れるより、命の恩人の旦那のところに居た方がその子も幸せだと思いますぜ?ほい、お嬢ちゃん、サイズは少し大きいかもだけど似合うと思いますよ。」
そういうことで、メリーは、俺の家で暮らすことになった。
メリーをベッドに寝かし、俺はソファーに横たわる
「どうなることやら・・・」
とりあえず今日はもう休むことにして、ライトを消した
「おやすみな、メリー」