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  作者: 灰
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ゴミ箱

くだらない人生です。これを小説にしようものなら一文で終わるのでしょう。すでにそれは小説にもならず、人生でもないのです。

私は人並みの優しさもなく、知恵もなく、勇気も根性もありませんでした。


私は田舎で生まれました。山に囲まれ緑が豊かな場所でした。

私の幼い頃はあまり泣かない、手のかからない子供だったと聞きました。

2歳の頃私は父の実家がある、北海道に3ヶ月ほど滞在しました。ある朝、私は目が覚めいつものように母を探しました。しかしその日は母が出かけていたらしく祖母と二人で留守番をすることになっていました。私はそのことを知らず少しの時間探していたらしいのですが、すぐに諦め母はいないよと祖母に報告し、何事もないように過ごしたらしく祖母は不気味だったと語ってくれました。

今思うと、この頃から私は何にも興味がなかったのでしょう。この三ヶ月間父とは会ってなく、三ヶ月間後迎えに来た父を忘れていたらしいのでなんとも親不孝な子供だとおもいます。


そして私は幼稚園に通いました。

初めての赤の他人との関わりの中で最初は誰とも親しくなれませんでした。

しかし、少しするとなれたのかクラスでも一番人気だった子と幸運にも仲良くなれました。その子の名前はk君という名前でした。

その子は背が高く、足も早く、面白いのでとても色んな人と仲がよかったのです。

私はその子のおこぼれをもらうために必死に仲良くなりました。

今思うと私とは真逆なk君を実は嫌っていたのだと思います。しかし、その頃の私は心のもやもやを自覚しながらも、私はk君の事が友達としてとても好きだと思いこんでました。

しばらくして、k君と私のグループにもう一人の子が入ってきました。

その子はm君といいます。m君はk君みたいな人気者とは違いクラスでもおとなしい方で天然パーマでした。私は今ではこの子について何も覚えていません。

この三人組になって行動していたのを覚えています。私の人格の少しを形成するに事になった一つのエピソードがあります。

バレンタインです。

バレンタインの日、クラスの女の子達はk君にチョコを渡すためk君を追いかけ回しました。k君は、やはりモテるので俺を捕まえたらチョコ貰ってやるなどと言い、チョコ鬼ごっこなるものを始めました。k君がお前も一緒に逃げろと言って手を引っ張って来たので参加をしました。私はまるで自分がk君と同じ存在だと思い込みながら一緒に逃げました。

しかし私がk君と違う道に逃げると静寂だけが私を捕まえました。それはとても惨めに思えました。この時、初めて自分は誰なのかと思いました。


そしてそのまま私は小学生になりました。

私は幼稚園の顔なじみがたくさんいる小学校に新入しました。

しかし少したつと、私は一人になっていました。それもそのはず私は今までk君と言う人間ブランドのおこぼれを貰っていただけで実際に私と仲がいい人間などいませんでした。

いくら幼稚園の顔なじみばかりと言っても、いずれは消えてしまいました。k君とも心の底から相性がよく、仲が自然と仲良くなった訳では無いので自然と周りの人間と同じように遊ばなくなりました。

私はそのうちいじめられるようになりました。

きっかけは思い出せません。

けど特にないのだと思います。最初は上級生でした。

記憶にあるのは、謝れと言われ私は笑いながら雨が降った後の水溜りに頭を突っ込みながら雨水を飲み、土下座をしていました。

私はこれを自分の特技だと思ってました。

たったこれだけの事で私は上級生に見逃してもらえるのだと思ったらとても気が楽でした。

少し上級生の機嫌が悪くなれば、自分から雨水に頭を突っ込み、雨が降っていなければ、穴を掘りその顔を埋めてもらえば笑って許してもらえるです。

当時の私はこの行動こそ正しく、上手い世渡りの術だと思ってました。自分は、大人だから謝れるという屈折した正しさをこの時持ちました。詰まる所、道化でした。



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