白いワンピース
出会わなければ、すべてはそこから始まった。
山奥の一軒の古びたお屋敷。
そこには、かわいい少女と執事が住んであるという。
私は、この夏思い出したくもない体験をしてしまう・・・
私の名前は「紫音-しおん-」ごく普通の中学生。
待ちに待った夏休みがやってくる。
今年は福引きで当てた、旅行券を使い
旅行に行くことになっている。
弟の「奏多-かなた-」は楽しみでしょうがない。
ついに、旅行の日がやってきた。
電車、レンタカーで宿泊先の旅館についた。
そこは、海もあり、山にはアスレチックもあって、
1日楽しめる場所だった。
でも、旅館の女将さんは、「朝の山には行ってはいけないよ。」
と行くなら昼からにした方がいいですよ。
昔から、朝の山に入ったものは二度と帰ってこない。
と言い伝えがあり、山奥のお屋敷に近づいてはいけない。
とも言われている。と教えてくださった。
私も弟も、どうしてなのかわからず、その日は海水浴を
楽しんだ。
次の日の朝私たちは、昼間に山のアスレチックを楽しんでいた。
その時、誰かに視られている気がして、辺りを見渡すと
奥の木の横に白いワンピースのかわいい少女が立っていた。
私は、旅館に泊まっている子かなと思い、一緒に遊ぼうよ。
と声をかけると、「私と遊んでくれるの。うれしい。」
と声がした。そのため、弟にこの子も一緒に遊んであげて
と、伝えたら弟は「お姉ちゃん、誰?どこにもいないよ」
と。私はえっと思い辺りを見渡すも誰もいなくて、怖くなり旅館に戻ることにした。
その事を女将さんに話すと「話をしてしまったんだね。もう手遅れだ。明日の朝お迎えがくるよ。」と言われてしまった。
私たちは、わからずその日は過ぎていった。
次の日の朝、私は女将さんの話がほんとうだということを痛感してしまう。
朝目が覚め、部屋の窓から外を見ると昨日いた白いワンピースの少女が男の人と立っており、手招きをしているのだ。
私は気になり、外に出るとその男が、「昨日は声をかけていただきありがとう。私はこの娘の執事です。お礼がしたくお屋敷に案内したい。」と。
私は両親に聞かないとと伝えると、「その必要はない。あなたは、選ばれたのだから。」と言われたからと思うと、
瞼が重くなり立ってられなくなりその場に倒れた。
次に目が開くと私は、どこかのお屋敷の牢獄に捕らえられていた。辺りを見渡すと私だけではなく、たくさんの女の子が捕らえられていた。
1日たつにつれて、その人数は減っていった。
牢獄には1ヶ所扉があり、そこから1人ずつ出ていく。
たまに、叫び声が聞こえることもあり、私は恐怖だった。
そして、ついに私が行く番になってしまった。
顔を布で隠した人が私をひっぱり、扉の前まで誘導し、私にも布を被せた。
ギーっと扉が開く音がし、私は誘導されていく。
そして、椅子に座らされ、被せられていた布が外される。
私は目を開けた。その瞬間ゾっとした。
目の前には白いワンピースの口辺りが真っ赤になった少女が
いるのだ。
私に向かってニカっと笑い、「私にすべてを頂戴。」
「血も肉もすべて」そう言って去っていった。
私は恐怖のあまり、泣き叫んでいた。
手足は固定され動けずどうすることも出来なかった。
その時、手と足に痛みが走った。
頭は動かすことが出来たため見ると、太い針が血管にささり、血が徐々に抜かれているのだ。
私はどうすることも出来ず、されるがまま意識が遠のいていく。
これで終わりなんだと感じていた。
意識を失いかけたとき、あの少女が、「私と一緒にいるなら助けてあげる」と言ってきたのだ。
私は助かりたいからわかったと伝えるとうれしそうに、
「そう。じゃあ頂きます。」と言い私の唇を奪った。
その瞬間、私は普通の人間じゃなくなった。
私は、死を司るものの鎌になったのだ。
少女は、「私の鎌よ、おゆき。そして新しい獲物を」
と言い私は家族のもとに戻った。
外見は人だが中身は死人。
今は、狩るのが仕事。
もしかしたら、あなたの前にも現れるかもしれない。
少女と鎌が・・・・・・。
私は死人なのだ・・・・・。