表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

無知の洗礼

「おい魔王、ビビちゃんが言ってたが試練の塔ってどこよ。」

「うわっ、急に現れていきなり何だよ心臓止まるかと思ったぞ、どうでも良いけどお前態度といい言葉使いといい雑になってきてるよなぁそれが素なんだな・・・。」


何か妙な音が聞こえるが気にせず聞く。

「それこそどうでも良いわよ、で?一番難しい試練の塔ってどこなの?」

時々妙な音が鳴る中。

「ここから北に向かって行けばわかるが・・・お前召喚されてから何か食ったか?」

「何でよ、あっちでは御茶と茶菓子出てたけど毒とか嫌で手を付けて無いわよ。」


「お前まだ天界うえの感覚で居るんだな、あっちじゃただの嗜好品だがこっちじゃ口にしとかないと死ぬぞ。」


「は?」

意味が分からなかった。


「あぁ固まっちまったな、よく聞けよ俺たち五人で堕天した時も飲まず食わずで武闘大会出てたんだが大会上位独占して喜んでたら皆突然倒れて力が出なくなって死にかけた、神と違って人間は栄養補給しないで力使うと栄養不足で死ぬんだよ、お前さっきから腹が鳴ってるぞ体の中心辺りに違和感ないか?飯食えって体が訴えてるんだよ。」


魔王に言われてから気付く、元人間だったのに私は空腹感を忘れていたのだ、思い出した途端に胃の辺りが激しく痛み出す。

「胃が・・・痛い・・・お腹減り過ぎ・・・。」

「食い物用意してやるから取り合えずこれでも食っとけ。」

そう言いながら魔王が果物を投げて寄越したのに飛びつき一気にお腹に収めた、その間に魔王が宰相を呼び食事の準備をさせるように言い付けて宰相が急ぎ部屋を出て行った。


「どうだ?少しは空腹感和らいだか?取り合えず飯の準備させるからそこの長椅子に座っておとなしく待っててくれ。」

胃の痛みは和らいだが体中から脱力感を感じて座り込む。

「くっ、これ以上借りは作りたくないが・・・済まない。」


「落ち着いたか?じゃあ飯の準備が出来るまでさっきの話聞かせて貰おうか、何のために試練の塔に行きたいんだ?」


「もしも次の戦の女神が現れたら女神の力が無くなる恐れが有る、女神の力がいつまで私の力として使えるのかわからない今レベル1だと不安が残る。」


「あぁなるほどな、堕天の紋が刻まれてるから神の力が無くなる恐れは拭えないか・・・だが何でこっちの試練の塔に向かう?試練の塔はこの星には色んな場所に有るんだがどうして魔属領の試練の塔を選んだんだ?」


「ビビちゃんがこっちの試練の塔が一番難しいと言っていた、難しいからこそ限界突破が望めると聞いてなならばそれを目指すのは戦の女神として当然の事だと思う。」


「なるほど・・・じゃあ戦神の加護スキルを自分にやってみたか?」

なるほどと思い。

「試して無いな、やってみる。」

「マテマテ!今そんな事したら確実に倒れるぞ!飯食って落ち着いて栄養補給終わってからじゃないと無理だから、それから亜空庫に時間凍結かけれるんだろう?食い物入れとかないと危ないぞ、他には・・・あ、おまえ金持ってる?世の中世知辛いから金が無いと色々苦労するぞ今のうちに何とかしといた方が良いぞ。」


「・・・お金かぁ・・・試練の塔で魔物倒せば素材として売れないの?」

「物によるな、魔石はそれなりに売れるし素材はそれこそ物によってマチマチだ、まぁあそこの試練の塔の素材ならかなりの値が付く魔物がゴロゴロ居るしな、ってかお前ってそのままの恰好で塔に挑む気?装備とかどうするんだ?いくらこの星最強つっても限度が有るぞ他のパーティーと遭遇したら頭悪いと思われる事請け合いだぞ。」


魔王の話が的確過ぎて自分が間抜けな事に気付かされると思って居ると宰相が入って来て。

「魔王様お食事の用意が整いました、お客様も御一緒に食事されるのでしょうどうぞこちらに。」

「おう、幹部用の食堂有るから飯食いに行こうぜ。」


魔王に言われて歩き出した。


「こっちが食堂だ、一応俺が普段食う分の倍位用意したけどお前の食事量が分からんから足りない様なら言ってくれよ、じゃぁそっちに座ってくれ。」


 促されてかなり豪華な料理が並ぶ7~8人がゆったり座れそうな円卓で魔王の正面に座らされた。


「悪いな俺は行儀作法とか面倒だし料理を決められた順に食うとか意味わからんので好きな物を好きな順に食いたいからな、ガンガン食わねぇと冷めるからな、好きなように食ってくれじゃあ取り合えずワインから行くか?」

「頂こう。」


ワインを喉に流し込み食事を始めた、だがどうだ空腹感が中々収まらなかった・・・そして魔王が待機していた女中に声を掛ける。

「おい、まだまだ足りなさそうだ空いた食器を片付けてもっと料理持って来い。」

次々と運ばれて来る料理を綺麗に平らげたのだった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「オーイ!アリシア起きろー!晩飯だぞー!いつまで寝てる気だ!」

魔王の声が頭に響く、念話を強い周波で送って来たのだろうが騒音のように響く声に目覚めゆっくりと目を開ける。


『お腹すいた。』

そう思いながら起き上がり拳を握り力を込めてみるといくらか回復している事に安堵してから魔王との会話を思い出し戦女神の戦神の加護スキルを試そうかと考える・・・

『あの賊らしき者達に戻せなかった戦神の加護スキル自分にも使えなかったらどうする?今使ってみるのは不安だ力が全回復してからの方が安心できるな・・・まずは食事がしたい。』


そう思って扉に向かおうとした時扉が勢い良く開き魔王が部屋に入って来た。

「おっ、起きてたか?ってか寝起きって顔だなぁどうだ?腹減ってるだろ?晩飯行こうぜ今度は肉料理を大量に用意してあるぞ。」


「それは有難い。」


そう答えると魔王が扉を出て歩き出しながら話し出す。

「しっかしお前の体の構造が不思議過ぎて笑うしか無いな、女神要素満載で人類とは思えん力の補給が光から食料に変わっただけって感じか?何せ胃がどんだけの量入るのか分からんし物凄い速さで消化してるんだか分らんし、堕天の紋が泣いてるぞ・・・アダマンタイトのナイフでさえ負ける肉体とかもう女神のままとしか思えねぇ。」


女としての教示に突き刺さる暴言を聞かされ『堪えろ私』と思いながら魔王に疑問を投げ掛ける。

「なぁ魔王、私の力は完全回復までどれだけ掛かると思う?」


「何言ってんだ俺が分かる訳無いだろ、分からないからの肉料理だぞ今王宮の兵士達は殆ど魔物狩りに駆り出されてる、野菜や果物を食わせてたらこの国の畑や果樹園が枯渇しちまうだろ。」


魔王に遠回しに『大喰らい』と言われてるのが分かり女としての教示が・・・。

「す、済まないな・・・。」


「ああ勘違いしてるようだから言っておくぞ、魔物を狩ってるのはビビだけで兵士は運搬要員とビビへの食事準備要員だから危険は無いからな、ビビが丁度神の時には無かった『女性の日』でイライラ発散中だ、いつもなら『訓練』と称した俺達への虐待が慣行される所だったがお前のおかげで大義名分が出来て助かったんだよ、今頃この国の危険度第一から第四までのダンジョンが魔物が居ない世界で一番安全なダンジョンになってるだろうし四~五日は帰って来ないだろうな。」


『女性の日』の言葉で固まる。

「そういうのも有ったなぁ・・・気が重くなるよ・・・。」

「まぁそう言って落ち込むな、ビビの獲物を兵士が運んでるのはビビが精神寄りの魔術が不得意だからだ、以前獲物のドラゴンを転移させて王城の右側が瓦礫にされてから自分以外の転移を禁止している、あいつは力寄りの魔術に特化してるしなぁ、それにビビは亜空庫の使い方も下手で行方不明になってる物も多いしな、普段は普通の空庫使ってるから時間が動いてる為肉が腐るからとっとと運ばせて処理させてるんだ・・・しかし・・・あいつ亜空庫貯金どんだけ溜まってる事やら・・・。」


魔王が苦笑いをしながら言い終えてから溜息を漏らしてたが気持ちを切り替えたように。

「料理が冷めちまうから急ごう、とにかくビビがドンドン獲物狩ってるから安心して食ってくれよ。」


そう言われて急ぎ足で食堂に向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ