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閑話 ヒルダとライナ

「シモン様、貴族の出身って聞いてたけど、こんなすごそうな家だって思ってなかったよ」


 客間に案内されたヒルダはソファーに腰掛けながらも、ため息をつく。


「そうね、もっと小さな町だと思ってたけど、ずいぶん大きな町じゃない」


 ライナも窓から外を眺めながらつぶやく。


「よくわからないけど、この部屋の家具とかもなんか高そうね」


「わりと古そうな感じね。けばけばしくないから私はわりとこういうの好きよ」


「よく考えてみたら、ライナさんもじゅうぶんお嬢様育ちなのよね。

 私だけが庶民なのか」


「つまんないこと言ってないの」


「別にひがんでるわけじゃないもん。

 孤児で教会に拾われたけど別につらい日々じゃなかったし、そのおかげでシモン様にめぐり合えたし」


「そう、教会の話を一度ゆっくり聞いてみたかったのよ」


「うん、いいよ」


「女の子ばかりなんだよね。その教会って」


「うんうん。

 あのね、ふたり1部屋なの」


「やっぱり同じ部屋の子といろいろエッチなことあったりするの?」


 少し恥ずかしそうにライナがヒルダに尋ねる。


「皆が皆そうってわけじゃないけど、やっぱりいろいろあるわよ」


「ヒルダはあった?」


 ライナはすっごく興味津々だ。


「えへへ、内緒だよ」


「うんうん、内緒にする」


「12歳の頃だったかな?

 2つ上の子といっしょの部屋になって最初はいろいろと意地悪なことされてたの」


「イヤだね、イジメとかもあるの?」


「イジメはやっぱりあったよ。私はされたことなかったし、その子のもイジメじゃなかったの」


「そうなんだ」


「うん、ある日ね。部屋に戻ったら私の服になんかしてたの見つけちゃってね、やめてって言ったの」


「うんうん」


 ライナがすっごく乗り出してきてる。


「わたしの下着に顔を押し付けたの。その子、見つかっちゃって泣き出しちゃったの」


「におい嗅いでたのね……」


「よくわかるね。さすがにマニアックなのは得意ね」


「それでどうなったの」


「わたしそのときはなんだかよくわからなかったから、逆にオロオロしちゃって」


「うんうん」


「その子、『ゴメンね、ゴメンね』って。わたしのことが好きだったけど、どうしていいかわからなくて逆に意地悪してたんだって」


「それからそれから」


「その子とはそれから仲良くなったんだけど、ある日、部屋で普通にお話してたら、急にキスされちゃった」


「キャー!」


「その子とはそれ以上は特になにもないまま、部屋が変わっちゃった」


「ごちそうさまでした。すっごくいいです」


「そう? まだいろいろと話あるのよ」


「聞かせて!」


 ふたりの話はずっと続くのだった。

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