6-7 伝説のマントの行方
ルチアの操る龍の背に乗り、魔王の島へ上陸した勇者一行は龍の谷で邪竜王アイガナスと対面した。激戦の末、アイガナスを倒すことができたが、アイガナスが最後に使った周りの竜族の力を吸い取るワザは竜人族の血をひくルチアの力をも大きく削いでいた。
ルチアの様子は傍目でも苦しそうであったが、本人が問題ないと言い張り、またゆっくり休んでいる時間がないことも確かであったため、そのまま魔王城へ突入した。
悪夢の女王サミアとの戦いでルチアは死を覚悟したように相討ちとなる道を選んだ。ナターシャの回復魔法でその場で死に到ることはなんとか免れたが、もうそれ以上戦える状態ではなかった。
勇者シモンはそのマントでルチアを覆い、その場に残したまま、次の戦いの向かった。勇者のマントは体を覆うことで敵から身を隠し、また体を徐々に癒やす効果を持っている。
魔王との戦いが終わったらルチアを迎えに来るつもりで無事を祈ってその場を去ったのである。
しかし、次の闇の僧正サギアンの呪いで聖女ナターシャを失い、ついに魔王エンボスを滅ぼした瞬間、魔王エンボスの最後の力で魔王城は崩壊していき、賢者アリサの帰還魔法で脱出することがやっとであった。
もし、ルチアが無事ならば自ら龍を呼び戻ってくることができる。しかし、ルチアがいない今、魔王の島へ勇者たちは再び渡る手段がない。
ルチアの無事を信じて残った3人はしばらく最果ての村で待った。
しかし、数日待ってもルチアは戻ってこなかった。
3人は不死の王が魔王城を逃れたという話を聞き、不死の王を追うことにした。
☆☆☆
「ということなんじゃ」
ユイナさんの長い話が終わった。
「それからは何もルチアの情報はない」
「ということは、もし無事だったら、マントは最果ての村に。そうでなかったら、そのまま魔王の島にあると考えるのがよさそうですの」
「まぁそんなところじゃろう」
「魔王の島となると絶望的だが、最果ての村には行ってみる価値がありそうだな」
俺がそう考えを述べた。
「それがいいと思いますの。
ですから、これからの旅の順として、まず盾を求めてガダウェルの実家へ。それにあたっては、不死の王のいた世界樹の森まで送ってもらうと。
その後、また世界樹を通ってエルフ村へ戻ってきて、それから最果ての村目指して旅立つ。
そんな感じでよさそうですの」
「んと、世界樹を通ってとなると、シモンとアリサは大丈夫だと思うけど、ヒルダはあの場所へ行ったことないよね?」
ライナが疑問点を口にした。
「それが問題ですの。残念ながらヒルダさんはエルフ村に留守番になりそうですの」
アリサがそう言うとヒルダは残念そうに、
「しかたないですね。お留守番させていただきます」
「いや、それなら問題ないぞ」
ユイナさんがそれを聞いて何か考えがあるようだ。
「ライナはまだ未熟だから、行ったことのない人が混ざると世界樹を通れないが、わしなら皆まとめて連れていける」
「そうなんですね。
ムリでないようでしたら、ぜひお願いします」
俺から頭を下げて、ユイナさんにお願いする。
「あぁ問題ないぞ。
帰りはユイナで大丈夫じゃろうから、行きだけ送ってあとは1人で帰ることにしよう」
これからの計画が決まったようだ。