6-3 黒歴史
「前の勇者様は小さい女の子が好きだったんですの?」
夕食はユイナさんの独壇場となった。
「やつか?
やつはメンクイではあったが小さい子から年上まで何でもOKって感じだったぞ。
ナターシャはボンキュッボンって感じのナイスバディだったしな。
とにかくひたすらスケベだった」
そういえばいろいろな話が伝わってるけど、勇者一行の外見とかまったく伝わってなかったよな。
「勇者様はどんな感じの人だったんでしょう?
こちらのシモン様と似た感じだったりします?」
ヒルダが俺のほうをチラチラ見ながら質問を。
「いやいや、ぜんぜん似とらん。
前の勇者は野性味溢れる男だったぞ。
今の方がどちらかといえばイケメンかもしれんな。
まぁどっちも女好きってとこはよく似てそうだがな」
いらんお世話だ。
「いい加減でスケベで乱暴者でどうしようないヤツだったぞ。
だがのぉ、あれだけいい男は他にいなかったのぉ。
ヤツとの旅は楽しかった……」
ユイナさんは昔の思い出にふけるように遠い目でそう言った。
「まぁなんにせよ、こんな辺鄙なところまでよく来てくれた。
いろいろあるだろうが、ゆっくりしていっておくれ」
「また時間を作っていただいて、いろいろお話を聞かせてください」
「あぁいいぞ。このばばあはいつもヒマしてるからのぉ。
そしてこんな残念なやつでも、わしのかわいい孫じゃ。
ライナのこと、よろしく頼むわ」
「残念?」
「あぁ、本当に残念でしょうがない。
もういい歳だっていうのに、働きもせずになんかくだらん文章書いては同人誌とかいって回し読みとかしてるばかりで。
そのうえ、なにやらヒロインの衣装を作ってはそのセリフを口ずさんでみたり」
「うわぁ、おばあちゃん!
その話はなしで」
「ちょっと読ませてもらったこともあるが、なんか女の子同士で乳繰り合ってるような話ばかりでどこが面白いのやら」
「ライナさん、後ほどその本を」
ヒルダが妙なところで反応したぞ。
「あんまり生活がひどいので、ちょっとなにか仕事をさせようと、ムリに世界樹の森へ行かせたら、お主たちと出会って戻って。それからはもう、お主たちのことばかりを。
途端に夢見る少女に変わりやがったからのぉ」
ライナが恥ずかしげにうつ向いたままピクピク震えてる。
過去の黒歴史を親戚の前で暴露された記憶があるから、今の状況の辛さはわからんでもない。
「まぁなんじゃ。
それでも少し何か思うところがあったんじゃろう。
それ以来、いろいろなと鍛錬をやり始めたようだから見捨てないでやってくれ」
もうライナはすっかり息してない。
このことは本人の前では蒸し返さないようにしてあげよう。
夕食が終わって俺たちは部屋に戻った。
ライナもいっしょに俺たちの部屋に来たが、
「すみません。いろいろとお話もあるでしょうけど、少しダメージが……
また明日ということでお願いします」
それがいいかもしれない……




