6-1 ライナ
新連載開始しました。
「異世界帰りの勇者が戦国時代で無双する ~秀吉がいないなら代わりに俺が天下取る~」 http://ncode.syosetu.com/n4835el/
タイトルのとおりの内容です。歴史物は初めてですが、こちらもよろしくお願いします。
「エルフ村へ、ようこそ」
迎えに来てくれたライナに連れられて、俺たちはエルフ村に無事到着した。
「まさか、あんな方向から来る人がいるとは思いもしませんでしたよ。
森に侵入者があると警報が出たところへ、お祖母様がシモンたちだろうって言うので、私が迎えに参りました」
俺たちはライナの家に案内された。
「シモン様とアリサ様はお久しぶりです。そちらの方は初めてお会いすると思いますが」
「俺から紹介しよう。
彼女は旅の途中で仲間になった僧侶のヒルダだ。
こちらは、かねてから話してあったエルフの精霊使いのライナさんだ」
ヒルダとライナは相互に挨拶しあった。
「それで、わざわざエルフ村まで訪ねてきてくれたことは嬉しいけど、どのようなご用でししょうか、勇者様」
どうやら、ユイナさんからいろいろ聞いて俺が勇者であることは知っているようだな。
「そう言ってもらえると話が早い。
ライナ、俺たちの仲間となってくれないか?」
「私をですか?」
「そう、ライナ、キミに仲間になって欲しいんだ。
俺はあの世界樹の森でキミと出会ったのは、ただの偶然とかではないと思ってる。
俺のことを勇者と言ったからには、キミもいろいろ聞いているはずだ。
俺の仲間となって、キミの力を貸してほしい」
「ど、どうしてもって言うなら仲間になってあげなくもないんですからね」
なんか急に目をそらしたと思ったら、声がずいぶん上ずってるぞ。
すっごくムリしてしゃべってるのがわかるんだが。
「どうしてもだ」
「しかたないから、仲間になってあげます」
「嬉しいよ、ライナ」
「そんなこと言ったって……」
俺がそう言うと、なんか急に真っ赤になって、しどろもどろになってる。
うーん、反応がよくわからん。
「アリサさん、ヒルダさん!
そちらの部屋を使って休んでてください」
ヒルダは隣の部屋を指差して言うと、今度は俺に向かって
「シモン様は、ちょっと私とこちらへいらしてください」
俺の手を捕まえて、別の部屋へ引っ張っていく。
しかたなく、俺はそちらへついていくことにした。
アリサとヒルダも言われた部屋へ荷物を持って移動し始めたようだ。
案内された部屋はどうやらライナの私室のようだ。
ベッドがあるから寝室かな。
「そのままドアのほうを向いててください。
声をかけるまでこっちを向いちゃダメなんですからね」
言われたとおりにドアのほうを向いて俺は立つ。後ろからなんか服を脱ぐような物音ががするんだが、この状況ってもしかして……
「こちらを向いてください」
振り向くとそこには、予想通り何も服を身に着けてないライナの姿が。
ライナの裸身から目が離せない。
真っ白な肌、胸はちょっとさびしいが、プロポーションは悪くない。
とにかく美しい。
「覚悟はできています」
いや、俺は何がなんだかわからないんだが。
「ちょっと待ってくれないか、何がなんだか」
「勇者の仲間になることを私は承諾しました、どうぞ」
「いや、仲間ってのは別にそういうことじゃ……」
「違うんですか!」
なんか、ライナ泣きそうな顔になってる。
おいおい、600年前の勇者様はいったいエルフ族にどういうふうに思われてたんだよ。
それはおいといても、よく考えてみると、ぜんぜん違わないんじゃないのか。
今、急にこういうことになるとは想定してなかったけど、これから旅していくにあたって、そういうつもりがまったくなかったってことはないんだよな、実際。
というより、もうこの状況は引き返せないだろ。
「違わない」
俺は涙目になってるライナの肩に手を添えた。
「会っていきなりだったから俺も面食らっちまったけど、ライナのことはひと目見たときから気に入ってた。
エルフ村に来て何人かのエルフの女性ともすれ違ったけど、ライナが一番美しいよ。
ライナのことが欲しい」
うー、まるで考えてなかったからアドリブなんだが、支離滅裂だよな。
こうなることを想定していたらちゃんと台本考えてたのに。
「嬉しい」
ライナが目を閉じた。
ここからはもう言葉はいらないな。