5-5 エルフ村への道
12/24にクリスマスバージョンの話にするためには、どういうふうに進めていけばいいのか計算しながら書いていくのがめっちゃ面倒……
あ、とりあえず今の話の舞台は秋です。季節感はまったくありませんが。
トラバリーの街は宿を取るには混みすぎているということで、俺たちは街を抜け2時間ほど進んだ先にある小さな村で宿を取った。
宿の受付が獣人の男の人ってだけで、もう異国情緒たっぷりだ。
3人部屋はなかったが、体の大きな獣人でも泊まれる2人部屋が空いていたのでその部屋に泊まることにした。
確かにこのサイズのベッドが2つあれば十分だ。
俺たちは宿屋の部屋でいつものようにベッドに腰掛けた。
そしてあらためて、これからの旅のコースについてアリサから説明を受けた。
「エルフ村への真っ当なコースというと1つしかないの。
街道沿いに2ヶ月ほど北東に進んでいった先にあるドラヤーンの街は、エルフの人口が半分くらいを占めるの。
その街でエルフ村へ案内してくれる人を探して連れて行ってもらうってのが、文献で調べた唯一のコースなの」
「まだ2ヶ月もかかるのか」
「すっごく大回りなことに加えて、エルフ村の場所をすっごく行き過ぎてるの。
このコースはあまり取りたくないの」
「でも、唯一のコースって言ったよな。
なんか理由があるんだろ」
「そうなの。
エルフ村のまわりの森はエルフ以外を惑わせる魔法がかかってるの。
エルフの案内人がいないと行き着けないの」
「じゃ、他の街でエルフの案内人を探すってわけか」
「それもちょっとできなさそうなの。
エルフは排他的なうえに保守的で、たとえ他の街でエルフを見つけてもまず案内とかしてくれないって話なの」
「ダメじゃん。
じゃどうするの」
「できるだけ近くまで街道通って行ってから、強行突破するの」
「強行突破とかできるの?」
「お兄様がいればできると思うの」
「あ、勇者の兜の効果ですね」
「ヒルダさん大正解なの」
「そうか、この兜は精神攻撃を防ぐんだっけ。
森の惑わせる魔法も精神攻撃の一種か」
「そういうことなの。
アリサとヒルダさんは、魔法にやられちゃうと思うから、目をつぶってお兄様にずっとひっぱっていってもらうの」
「すっごいしんどそうだな。
途中で敵とかに襲われたらどうするんだ?」
「森には危険な敵はいないらしいの。
そういう敵も魔法にやられちゃうから」
「じゃエルフしかいないのか。
エルフに見つからなければ大丈夫か」
「きっと見つかるの。
いえ、見つけてもらわないと困るの」
「見つかってもいいのか?」
「別にしのびこむのが目的じゃないから、見つけてもらってちゃんと理由話せばいいと思うの」
「そう言われればそうか」
「ということで、このあたりまで街道沿いに進んで、ここから森に突入するの」
アリサは地図を指差しながらそう説明した。
「ここまでどのくらいだろう?」
「10日間とちょっとくらいで行けると思うの。
でも、途中に1ヶ所寄りたいところがあるの」
「寄りたいところってなんだ?」
「それはね……」