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妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第4章 王都にて
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4-13 方針

 部屋に戻ると、俺はベッドに腰掛けアリサは定位置の俺の左側に腰掛けた。

 そういえば、この部屋に来てもらっても特に腰掛けてもらう椅子とかないんだよな。


「お兄様の右側に腰掛けるといいの」


「はい、わかりました」


 今度は素直にヒルダは腰掛ける。


「これまではアリサと2人だったからなぁなぁで済ませてきた感じのこともあるけど、この際だからいろいろとはっきりさせておこうと思う」


 俺から話を切り出した。


「仲間として行動していくにあたって、その司令塔はアリサだ。

 すべてアリサの指示に従って行動してほしい」


「え……」

 ヒルダは戸惑った表情で俺の顔を見る。


「アリサは俺のためにならない指示をしない。

 少なくとも俺は今までそう信じてきてるし、これからもそう信じ続ける。

 いきなり、アリサをすべて信じろと言われても難しいだろうが、そう心掛けてくれ」


「わかりました。

 そう努めます」


「あと、さっきヒルダにも言ったことだが、行動していく上でどんなことがあって誰か1人の犠牲で全体が助かればいいとかいう考え方はやめてくれ。

 常に仲間全体が助かるためにどうすべきか、という考え方でいてほしい。

 俺からはそれだけだ」


「「わかりました(の)」」


「今後の方針の前に今までのことをヒルダさんに知っておいてもらいたいの」


 アリサはそう前置きすると、これまでのことを包み隠さずヒルダに伝えた。

 そこまで話す必要があるのか?ってくらいプライベートな内容まで。

 ほら、ヒルダがどう反応していいか困ってるし。


「ということですの」


「……わかりました」


「これで1点を除いてすべて話せたと思うの。

 仲間として気兼ねなくやっていくためにも隠し事とかはしない方向でいてほしいの。

 だから、ヒルダさんも今すぐにはムリかもしれないけど、何でも言ってほしいの」


「はい、そうします」


「では残る1点、お兄様の秘密の力について話しておくの。

 このことは、他はミカエル兄様しか知らないから内緒にしておいてほしいの。

 ララウェルさんにミカエル兄様が話すかどうかはミカエル兄様次第だけど、ヒルダさんからは教会の人にも話さないようにしてほしいの」


「はい、神に誓って」


「簡単に言うと、お兄様は近くにいる人の成長を早める力があるの。

 体験上、こうしてくっついていたほうがその力は大きく働くの。

 だから、ヒルダさんも、特に他の必要がないときは、極力くっついているようにしてほしいの」


「……はい。そんな力が……」


「信じられない力だけど、そうだってことはきっとすぐに実感すると思うの。

 あと、この際だからぶっちゃけて言うけど、男女の体の交わりでその効果は最大に大きいの。

 だから、お兄様はヒルダさんとも、さっさとすることしちゃうといいと思うの」


「……おい、アリサ……

 そういうことは時間をかけてゆっくりとだな」


「お兄様の時間をかけてはあてにならないの」


「それを言われると返しようがないんだが」


「お兄様にその気がないとは言わせないの。今日の帰り道にもヒルダさんのお胸の感触に鼻の下を伸ばしてたのはお見通しなの」


「わかりました。よろしくお願いします」

 俺とアリサの会話に割り込んで、ヒルダはきっぱりそう言った。


 え……わかっちゃったの?


「旅に出てからだといろいろ面倒なので王都にいるうちに済ませちゃうといいと思うの」


 強引に決定事項にされたようだ。

 その後、アリサの方から当面の予定として、


・アリサは王都にいるうちにこれからの旅に必要な知識を集めるために、あと10日間は必要であるとのこと。

・12日後にエルフ村を目指して旅立つこと。

・その間、俺とヒルダは王都近辺のダンジョンで修行を兼ねてコンビネーションを磨くこと、そしてその合間にやっちゃうこと。


 以上が伝えられて、今日の打ち合わせは終わりにすることになった。

 ヒルダは王都にいる間、夜は教会に戻ることに。

 実際問題、この部屋で3人寝泊まりするとなると、寝袋を使うしかないからな。


 夕食後、いつものようにベッドに腰掛けながらアリサと話す。


「あれでよかったのか?」


「あれってどれのこと?」


「ヒルダとのことだよ。

 強引にああいうふうに話を決めちゃったけど、アリサの気持ちとしてあれで構わないのか?」


「アリサがお兄様を独占したくないかって言われれば、否定したら嘘になるの。

 でも、そういうムリなことは言わないの」


「ヒルダは正直言って魅力的であるし、俺もたぶんそういう状況になれば、きっとしちゃうよ。

 でも、アリサがそれで悲しむなら俺はそうしたくないんだよ」


「お兄様はヒルダさんとしちゃったら、アリサへの愛情は減っちゃうんですの?」


「そんなことはあるもんか。

 なにがあろうとアリサへの愛情は増えることはあれ、減ることなんてあるわけがない」


「なら、それでいいですの。

 今以上にアリサのことを愛してくれるのなら、アリサは何も問題ないですの」


「それは約束する。

 何があってもアリサのことを一番愛すると。

 こんなふうに」


 アリサをベッドに押し倒しながら、そうつぶやく。


「それは愛ではないですの……ただの欲望ですの」


「じゃ、そっちのアリサへの欲望の方も減らさないように頑張るよ」

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