4-12 精神攻撃
「じゃ、俺は先に戻らせてもらうぞ」
鍛錬場へ向かう途中、兄上からの声が。
「今日はありがとうございました」
「ミカエル様、お供させてもらってよろしいでしょうか?」
ララウェルは兄上に声をかける。
「あー、俺の住まいを一度見ておくか」
「ありがとうございます」
兄上はララウェルさんを連れてゴアビレンス教会を立ち去っていった。
鍛錬場について、アリサとヒルダが俺に向かっていろいろ精神攻撃魔法を試してみることに。
「ヒルダさん、何か精神攻撃っぽい魔法とかあります?」
「混乱くらいしかできません」
「じゃ、それをお願いしますの。
アリサはまず魅了で」
ヒルダとアリサがそれぞれ魔法を試してみるが俺は特に何も変化ない様子。
「かかってないようですの。
じゃ、恐怖の呪文を数倍に拡張してみますの」
アリサが長い詠唱とともに恐怖の魔法を撃つと、俺は頭を思いっきり殴られたような痛みが。
「いて」
「おや、効いたのかな?」
「いや、これ精神攻撃じゃないだろ、なんか石でもぶつけられたような感じだぞ」
「あっ、恐怖の魔法は、物理ダメージに追加効果で恐怖の効果が魔法でしたの。
拡張してもそのくらいの痛みなら、物理耐性もそこそこしっかりしてるようですの」
「ひどいぞ」
「ごめんなさいなの。
とりあえず、精神攻撃耐性はしっかり効果がでているようですの」
「ありがとうございました」
俺は司祭にあらためて礼を言った。
「いろいろ大変でしょうが、がんばってください。
教会でできることなら、なんでもヒルダを通して言ってくだされば、最大限の協力をさせていただきます」
「ありがとうございます。
じゃ、ヒルダさんも、いったんうちに来ていただいて、今後のことを打ち合わせしましょう」
「はい、わかりました」
俺たち3人はゴアビレンス教会をあとにした。
帰る途中、アリサはいつものように俺の左腕を抱えてよりそって歩いていたが、ヒルダは俺の後を下がってついてきている。
「ヒルダさん、お兄様の右腕が空いているの」
「ですが、私はここで」
「理由はあとで話すけど、お兄様に出来る限りくっついていてほしいの。
これは重要なことですの」
「ヒルダ、そうしてくれ」
まぁ両腕ともに捕まられると、正直歩きにくいんだけどな。
「はい、わかりました」
恥ずかしそうにヒルダは俺の右腕をとる。そしてその右腕を無意識なんだろうか、自分の胸におしつけてくる。
ゆったりした僧衣を着てるからまったく気づかなかったが、この胸とってもでかいぞ。
「ヒルダさんは生まれはどちらなんですか?」
「私は教会に捨てられていた孤児ですので生まれとかまったくわからないんですよ」
「あ、ごめんなさい、変なこと聞いちゃって」
「いえ、教会の僧侶の半分くらいはそうなのでお気になさらず。
女の子はゴアビレンス教会にってのが貧しい家ではよくあることです」
お互いの境遇など3人でいろいろ話しながら、帰路につくのであった。
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