4-8 僧侶の戦い
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ありがとうございます。
4日後、兄上に伴われアリサと俺はゴアビレンス教会へ赴いた。
先日と同じく入り口で受付に用件を伝えると、教会の中央の祭壇近くまで案内された。
「ただいま、司祭様はじめ、僧侶の皆さまは儀礼の最中でございます。
もうまもなく終了しますので、申し訳ありませんがここに座ってお待ちください」
言われたとおりに近くの長椅子に腰掛けて儀礼の終わるのを待つ。
慎ましやかな儀礼はすぐに終了し、やさしげな、それでいて芯の強そうな老女がこちらへやってきた。
「ロレンス様、おまたせして申し訳ありません。
どうぞこちらへ」
どうやら、この老女が司祭のようだ。
司祭に案内され、階段を登ろうとした瞬間、
「お待ち下さい。
まことに無礼ながら、そちらの男性にお仕えしたく」
1人の僧侶がこちらへ駆けてきてひざまずいた。
「おやおや、これはこれは。
ロレンス様、このことは我がゴアビレンス教会では最優先事項ですので、こちらの僧侶の件を先に……」
司祭がそう言いかけるところへ、
「お待ち下さい。
私もそちらの男性にお仕えしたく」
もう1人の僧侶が現れ、先程の僧侶の横にひざまずいた。
「まぁこれは珍しいことが。
そなたたち、わかっているとは思いますが、1人の男性に仕えることができる僧侶はただ1人」
「「はい、承知しております」」
「では教義のとおり、武をもってその1人を選びなさい」
「「はい、わかりました」」
「まことに申し訳ありませんが、左様のこととあいなりました。
皆様方にはお手数ですがこの戦いを見守ってあげてくださいませ」
なんか予想もつかない展開になってきたぞ。
俺たちは目的地を変更され、教会裏の鍛錬場へ案内された。
「これから、神への祈りやらなんやらで少々時間がかかります。
ただ待っているのも退屈でしょうから、私から解説させていただきますね」
やさしげに司祭が語り始める。
専門家の解説付きというのは面白いかもしれない。
「ゴアビレンス教会では主に槍をもって戦うことを僧侶に教えております。
この戦いでは槍による戦いのみで勝負を決めます。
僧侶としての資質は他にもいろいろありますが、ゴアビレンス様は戦いの女神。
他の資質はこの勝負に一切関係ありません」
わかりやすいけど、脳筋有利なんだな。
「今回の2人ですが、先にあらわれたほう、やせっぽちで長髪の娘ですね。
こちらは、ゴアビレンス教会でも自慢の僧侶、教会に残ればやがて私の跡を継ぐことになるかもと期待しておりましたが、やはり殿方に仕える道を選びましたか。
あらゆることに優れておりますが、槍のほうはそれほどでもないのが欠点ではありますね」
なんか期待されてますね。
「後からあらわれたほう、豊満な癖っ毛の娘ですね。
こちらは修行中のヒヨッコ、まだまだ教えなければならないことがいろいろありますね。
ですが、槍のほうは得意な様子、なかなか面白い戦いになるでしょう」
得意種目と苦手種目か、不公平な気もするが、まぁそういう教義なんだからしかたないか。
「そろそろ戦いがはじまるようですよ」