表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第3章 王都への旅
48/129

3-16 一緒に

 アリサと2人で部屋に戻る。


 俺もショックだけど、アリサのほうがショックは大きいに違いない。

 なんといっても、今まで実の両親と兄と思っていた人たちが、実は叔父・叔母・従兄だったんだから。


 俺がベッドに腰掛けると、アリサはいつもどおり俺の左側に黙って腰掛け、俺に体を預けてくる。


「お兄様、特にアリサはショックとかはないの。

 うーん、ショックはショックだけど、嬉しい気持ちのほうが大きいの」


「ムリしなくてもいいんだぞ」

 俺はアリサのほうをじっと見つめる。


「うーん、ムリなんてしてないの」

 アリサも俺のほうを見上げてそうつぶやいた。


 正直俺は混乱している。

 今までアリサのことは大事な妹としか思ってなかった。

 急にアリサをお嫁さんにって考えても……


 そりゃ、アリサのことは大好きさ。

 でも、その大好きってのはあくまで妹としての大好きであって……


 本当か?

 本当にアリサのことを女として見てなかったと言えるのか?


 アリサははっきりと意思表示してくれてる。

 そうずっと前から。


 どうするんだ、シモン!

 俺に今できることは、


「アリサ、聞いてほしい」

 今の俺の気持ちを正直にアリサに伝えることだけだ。


「アリサのことは大好きだ。

 でも、この大好きってのはあくまで妹として大好きってことだった」

 アリサは黙って俺の話を聞いている。 

 俺はゆっくりと続けた。


「アリサのことを1人の女性とまったく見てないかってことは今までも正直言ってあったと思う。

 アリサと触れあえばドキドキしてたし、アリサの裸とか見た時に性的な目で見てたと思う。

 そんな時に、アリサは妹だからって理性で押しとどめてただけかもしれない」

 俺、何しゃべってるんだろう。

 ちゃんと伝わってるんだろうか。

 いや、アリサなら変に曲解しないで俺の言いたいことをちゃんと聞き取ってくれるはず。


「だからといって、実の妹じゃありません、結婚も問題ありませんと言われても、はいわかりましたと素直に思えない自分がいるんだ。

 だから……」

 何を言っていいのか、わからなくなってきた。

 アリサは俺をじっと見つめてる。


「だから」

 俺はアリサを抱きしめて、そっと口づけした。


「今はこれくらいしかできない。

 でも待っててくれ。

 長い時間をかけて。

 アリサが待っててくれたら、きっと俺も」

 あー、もうなんだかわからないよ。


「嬉しいの……」

 アリサがとぎれとぎれにつぶやいた。


「お兄様のことが好きで好きでどうしようもなくて……」

 アリサの目が涙であふれてる。


「でも兄妹じゃどうしようもなくて……」

 アリサはもうこらえきれなくなって、涙をどんどん流し続けてる。


「結婚とか……できなくても……よかったの……お兄様と……いっしょにいられればそれで……」

 だんだんアリサも何言ってるんだかわからなくなってきてる。


「お兄様とずっと……一緒にいたいの……それだけでいいの……」


 もうアリサ、かわいすぎる。

 俺はアリサを抱きしめる手を強くした。


「一緒にいよう、ずっと」



第3章完了

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ