3-16 一緒に
アリサと2人で部屋に戻る。
俺もショックだけど、アリサのほうがショックは大きいに違いない。
なんといっても、今まで実の両親と兄と思っていた人たちが、実は叔父・叔母・従兄だったんだから。
俺がベッドに腰掛けると、アリサはいつもどおり俺の左側に黙って腰掛け、俺に体を預けてくる。
「お兄様、特にアリサはショックとかはないの。
うーん、ショックはショックだけど、嬉しい気持ちのほうが大きいの」
「ムリしなくてもいいんだぞ」
俺はアリサのほうをじっと見つめる。
「うーん、ムリなんてしてないの」
アリサも俺のほうを見上げてそうつぶやいた。
正直俺は混乱している。
今までアリサのことは大事な妹としか思ってなかった。
急にアリサをお嫁さんにって考えても……
そりゃ、アリサのことは大好きさ。
でも、その大好きってのはあくまで妹としての大好きであって……
本当か?
本当にアリサのことを女として見てなかったと言えるのか?
アリサははっきりと意思表示してくれてる。
そうずっと前から。
どうするんだ、シモン!
俺に今できることは、
「アリサ、聞いてほしい」
今の俺の気持ちを正直にアリサに伝えることだけだ。
「アリサのことは大好きだ。
でも、この大好きってのはあくまで妹として大好きってことだった」
アリサは黙って俺の話を聞いている。
俺はゆっくりと続けた。
「アリサのことを1人の女性とまったく見てないかってことは今までも正直言ってあったと思う。
アリサと触れあえばドキドキしてたし、アリサの裸とか見た時に性的な目で見てたと思う。
そんな時に、アリサは妹だからって理性で押しとどめてただけかもしれない」
俺、何しゃべってるんだろう。
ちゃんと伝わってるんだろうか。
いや、アリサなら変に曲解しないで俺の言いたいことをちゃんと聞き取ってくれるはず。
「だからといって、実の妹じゃありません、結婚も問題ありませんと言われても、はいわかりましたと素直に思えない自分がいるんだ。
だから……」
何を言っていいのか、わからなくなってきた。
アリサは俺をじっと見つめてる。
「だから」
俺はアリサを抱きしめて、そっと口づけした。
「今はこれくらいしかできない。
でも待っててくれ。
長い時間をかけて。
アリサが待っててくれたら、きっと俺も」
あー、もうなんだかわからないよ。
「嬉しいの……」
アリサがとぎれとぎれにつぶやいた。
「お兄様のことが好きで好きでどうしようもなくて……」
アリサの目が涙であふれてる。
「でも兄妹じゃどうしようもなくて……」
アリサはもうこらえきれなくなって、涙をどんどん流し続けてる。
「結婚とか……できなくても……よかったの……お兄様と……いっしょにいられればそれで……」
だんだんアリサも何言ってるんだかわからなくなってきてる。
「お兄様とずっと……一緒にいたいの……それだけでいいの……」
もうアリサ、かわいすぎる。
俺はアリサを抱きしめる手を強くした。
「一緒にいよう、ずっと」
第3章完了