3-15 兄妹
ブックマーク500人達成です。
ありがとうございました。
「え、家は兄上が継ぐものだと」
「俺は別にどちらでもいいんだぞ。
このまま王都に残って騎士として仕えるのもいいし、研究してみたいこともあるし」
「父上の後を継ぐのは兄上がふさわしいと思います。
俺には領主とか務まりませんよ」
「俺としては、シモンのほうが器として大きいと思うんだがな。
大器晩成ってやつだな。
それに、少々問題があってもアリサが上手くフォローしてくれるよ」
「アリサはそのうち嫁に行っちゃいますし」
「アリサはお嫁とかには行きませんの」
「アリサをどこかの嫁にとか、もう父上もあきらめてるよ。
そうじゃなきゃ今頃、縁談の話が山ときていて冒険者とかしてられないぞ」
「ですが、アリサは……」
いかん、まさかここでも俺が劣勢となるとは。
「アリサはシモンとって家族の誰もが考えてると思ってるんだが」
「アリサは妹ですし……」
「妹と言っても義理の妹だし、2人さえよければ特に問題はないぞ」
「え、義理の?」
「アリサとは従兄妹だろ?」
「「え!」」
「……もしかして2人とも覚えてないのか?!
あれは俺が8歳だったからシモン5歳でアリサは3歳か。
アリサは年齢的にちょっとなんだがあの頃から利発だったし覚えてるものかと」
「え、その頃の記憶は俺もそこそこありますけど、小さい頃からずっとアリサはいたはず」
「あー、従兄妹とは言ってもずっと同じ家で暮らしてたし、お前たち2人はずっといっしょだったな。
あの頃から、アリサはシモンのお嫁さんになるって言ってたぞ」
「「……」」
「すまんな、2人とも知ってるものだとばかり思ってた。
いきなりこんな衝撃的な話にするつもりとか思ってなかったよ」
「せっかくですので、詳しくお願いします」
「俺も8歳だから細かい記憶は適当であとから父上に聞き直したりしてないから、細かいところは適当になるぞ」
「はい」
「父上とアリサのお父さんとは兄弟だった。
そして母上とアリサのお母さんも姉妹だったはず。
そんなこともあって、どちらの家族もガダウェルのあの家でいっしょに暮らしてたんだ。
そんなある日、アリサの両親は事故で亡くなってしまったってことだ」
「そうだったんですか」
「アリサが正式に義妹なってるのか、従兄妹のままいっしょに暮らしてるのか手続き上のことはよく知らない。
もともと、俺達のことを兄様って呼んでたしな」
「ミカエル兄様……」
「アリサ、ごめんな。
いきなりこんな話になっちゃって。
俺が迂闊だったよ」
「問題ありませんの。
正直ショックなのはショックなのですが……
では、アリサとシモン兄様との結婚は何も問題ないと」
「というか、俺はそうなるとずっと思ってたぞ。
シモンがいらないっていうなら、アリサは俺が嫁にもらう」
「ごめんなさい。
ミカエル兄様のことも大好きですが、アリサはシモン兄様と」
「わかってるって。
アリサは小さい頃からずっとそう言ってたからな」
「ごめんなさいですの」
「いきなりこんな話になっちゃってすまない。
まぁ2人のことは2人で話し合うのが一番だな。
今日はこのくらいにしておこう」
次回で第3章完了となります。