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妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第3章 王都への旅
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閑話 とある僧侶の夢

(ヒルダ、聞こえますか)


「むにゃむにゃ、聞こえませんよ」


(聞こえてるじゃないですか、それに夢の中でも寝てるんじゃありませんよ)


「あれ? これ夢なんですか」


(そうですよ。夢の中にお邪魔しました。

 私はナターシャ、わかりますか?)


「ナターシャ……もしや魔王討伐の聖女ナターシャ様?」


(死後、なんかそんなふうに呼ばれてるようですね。

 でも、私はただの僧侶。

 神の奇跡も何も起こせないごくありきたりの僧侶でしたよ)


「ナターシャ様、私に何か」


(神様じゃないから神託ってほどのものじゃないけど、申し送りみたいな感じですかね。

 私のときも、いきなりこうやって伝えられましたし)


「え?」


(魔王が行動を開始したようです)


「魔王が! 魔王は世界征服とかしようとしてるんでしょうか?」


(わかりません。

 私には魔王の心は読めませんし、未来を視る力はありませんから)


「魔王の侵攻に備えて何か準備をしたほうがいいのでしょうか」


(ムダだと思いますよ。

 私のときも誰も信じてくれませんでしたし)


「そうなんですか……」


(気がふれたとか、ほら吹きとか陰口叩かれたくなかったら、何も言わない方がいいと思いますよ)


「そうします」


(勇者も目覚めつつあります)


「勇者様が!」


(やがて勇者とヒルダが出会うときが……くるかもしれません)


「未確定情報なんですね」


(先程言ったとおり、未来を視る力はありませんので。

 でも、こうしてお告げのあった僧侶が勇者と出会えなかった先例はないようですよ)


「きっと天命なんですね」


(天の意思は私にもわかりません)


「出会ったら勇者様ってわかるものなんですか?」


(私の時はなんとなくそうなんじゃないかなって感じでわかりましたよ。

 教会の儀式でもそういうのがありますけど、そんなことしなくても、きっとあなたにもわかると思いますよ)


「どうして私に?

 もしかして私に特別の力が」


(あるんですか?)


「やっぱりないんですか……」


(私にもそんなものはありませんでしたよ)


「では、どうして私に?」


(んー、なんとなく昔の私に似た感じだったからかな)


「私じゃなきゃダメなんですか?」


(別に他の誰かでもいいですよ。

 その時はこの記憶はなかったことにさせてもらいます。

 そうすれば他の誰かが苦労して、あなたは気楽にすごしていけるかもしれませんね)


「……ずるいです。

 そんなふうに言われたら断れないじゃないですか」


(強いて言えば、そういう子だから、ヒルダを選んだっていうことですかね)


「わかりました。

 これも天からの試練と思ってすべてを受け入れます」


(そういえば、勇者は割とイケメンですよ)


「それがどうしたっていうんですか!」


(ブサメンのほうがよかったりした?)


「……いえ、イケメンがいいです」

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