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妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第3章 王都への旅
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3-2 ウサギ

 初夏の日差しが旅の2人を照らす。


 王都への街道は整備され途中に多くの街や村を通っていくことになるが、2人はあえて、街道を避け山越えのルートを選んだ。

 

「暑すぎないし、このくらいの季節が旅には一番なの」


 アリサは半袖のミニのワンピースという、とても冒険者どころか、山道を行く旅人にすら見えない姿だ。

 まぁ俺も革鎧はカバンの中にしまいこみ、軽装だから剣さえなければあまり冒険者には見えないかもしれない。


 街を離れて自然の中を進むにつれて、アリサがどんどん輝いてきてるような気がする。

 どうしても街にいると人のしがらみの中で、自由に自分をすべて出すことができないのが、今自然の中で俺と2人しかいないことで、すべてを解放しきっていられるのがアリサを輝かせているのだろうか。


「ウサギさん発見!」


 アリサは詠唱もなく素早く魔法を放つ。

 小走りに駆けていって、ウサギの耳をつかんで満面の笑みで、


「晩御飯捕れたんですの」


 非常用の携帯食も用意してきたのだが、ここまで道中は捕まえた鳥や獣、そして山菜でまかなえてきている。


「血抜きだけ先にしちゃうんですの」


 アリサいわく、すぐに血抜きしておかないと、せっかくの肉が台無しになってしまうとのこと。


「それにしても、血抜きとか解体とかどこで覚えたんだ?」


「んー、花嫁修業?」


 いやいや、アリサはこれでも貴族のお嬢様だから。

 俺の知識の範囲内では普通の貴族のお嬢様はそんな花嫁修行してないはず。

 してないよね?


 アリサは手際よく短刀を使い、ウサギの血抜き作業を遂行していく。

 血抜き作業とあっさりいうけど実際のところは……よそう、結構グロいし。

 うーん、正直言って、俺こういうの苦手なんだよな。


「獣に限らず、動物も人間も体の構造をよく理解しておくと、戦うにせよ、治療するにせよとても役に立つんですの。

 そのためには解体とかとても勉強になるの。

 でも、なかなか機会がなかったんですの。

 近くに住んでた猟師さんに頼んで教えてもらいましたの」


 時々、家を抜け出していろいろなところに出入りしてたのは知っていたが、そんなこともしてたのか。


「おかげで動物の体の構造が理解できましたの。

 ですので、たいていの獣は1対1なら素手で倒せますの」


 クマを素手で倒す女の子って怖くない?


 そんなことを話してるうちに血抜き作業は終わったようで、もう少し先まで足を伸ばすことにした。

 と言っても急ぐ必要のない旅。

 少し行ったところで適当に開けた木陰があったので、このあたりで今日は1泊することにしましょうか。


「今夜はウサギ鍋にしようと思うの」


 アリサの料理はマジ最高。

 街道を選ばなかった理由の1つがこれ。

 好きなところで好きなように料理したいってのがアリサの要望。アリサの荷物の半分くらいを占めるのが料理道具だったりする。

 (残り半分は着替えです)


 用意のナベに魔法で水を湧かして、魔法で火をつける。

 魔法って本当に便利だよな。

 旅するにあたって、水の心配をしなくていいってのは本当に助かる。


「本当は骨を半日くらいかけて煮込むと美味しいダシがとれるの」


 さすがに旅の途中でそこまでは大変だね。


 ウサギ肉と山菜をしっかり煮込んだ料理。


「うーん、これは美味しい。

 いつか、本格的に煮込んだ料理も食べてみたいな」


「お兄様のためにいつも料理を作る毎日で幸せですの」


 本当にアリサって万能なんだから。


 ということで今夜はここで野宿。

 木陰で2人毛布を羽織っておやすみなさい。


 え、見張り?

 魔法で外敵に感知されないようにできるらしいです。

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