2-13 仲間を求めて
「どうするのがいいんだろう?」
「しばらくはお兄様のスキルアップを兼ねて、このまま冒険者を続けてればいいかと。
ただ、先々のことも考えておかなければならないとは思うの」
「具体的にはどんなことを?」
「あの魔王の残した魔力を見る限りでは、アリサ1人では太刀打ちできないの。
お兄様の力を思いっきり注いでもらって、アリサもレベルアップが必要ですの。
でも、それ以上に仲間が必要だと思うの。
いざ魔王と戦うとなったときに信頼できる仲間が」
「信頼できる仲間か。
どんな職の人がいいんだろう?」
「ある意味それはどうでもいいですの」
「どうでもいいってことはないだろう」
「アリサもお兄様も戦い方はある程度融通がきくと思うの。
それにお兄様の特殊能力があれば、新しい仲間も自然にどんどん育ってくれるの。
だから、選ぶ基準は性格とか相性とかそういうのを見ていけばいいと思うの」
「内面的なものが重要か」
「そしてこれはアリサの想像だけなんだけど、そういう仲間とはある程度運命的に出会えるんじゃないかなって思ってるの」
「運命的か。
ライナさんのように?」
「うん、ライナさんはその1人だと思うの。
前の勇者シモンの血を引くとかいう仲間と偶然出会ってそれで何も関係ないとかありえないと思うの」
「でも、その流れは他にいないよな。
確か残る2人は冒険途中で死んじゃったはずだし」
「ですの」
「そうなると、この街で冒険者してるより、広く世界を旅するほうがいいのかな?
新たな出会いを求めて」
「アリサもそれがいいと思いますの。
お兄様が素敵な女性と巡り合う旅ですの」
「おいおい、仲間って女性限定なのか?」
「アリサはそのほうがいいと思いますの。
学生の頃を思い出しても、これだけアリサがお兄様一筋と広言していたのにもかかわらず、言い寄ってくる男たちばかりでうんざりでしたの。
男性の仲間とか、またそういう日々となって、アリサの気が休まる日がありませんの」
「アリサは可愛いからしかたないよなぁ」
アリサが思いっきり照れて、もじもじしている。
「お兄様、それに考えて見てください。
アリサがこうやって、ベタベタくっついてる逆の右腕に、筋肉モリモリの男性が同じようにくっつくことになるんですの」
想像してみた……
「女性の仲間がいいです」
「ただ、女性の仲間ができてお兄様とベタベタしてると、アリサが激おこになるので、そのあたりは注意してほしいの」
めんどくさいやつだな。
まぁ、アリサはいろいろとちょろいから、あまり心配はしてないが一応聞いておくか。
「そんなときは、どうしたらいいんだ?」
「アリサをギュっとしてあげたり、いいこいいこしてあげたりしないとダメなの」
「ああ、こうすればいいんだな」
ギュっとした後に、いいこいいこしてやると、アリサは溶けてしまいそうになっている
「幸せですの」
「なぁ、俺が勇者で本当にいいんだと思う?」
「お兄様は昔からアリサにとって、勇者様でしたの」
俺が勇者とか不安なのは当然だが、アリサといっしょならなんとかなるんじゃないかなって気がする。
第2章完了
これで第2章完了となります。
第3章ですが、すでに執筆が少し進んでいますので、明日から開始する予定です。
引き続きおつきあいください。