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妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第2章 不死の王
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2-8 浄化

 俺が見つけた剣を拾おうとすると。


「待つの!」

 アリサからの静止がはいった。


「600年も不死の王を封印していた剣なの。

 なにか妙な呪いがかかってるかもしれないの」


 アリサは長々とした詠唱を唱えつつ、剣をじっと見つめる。

 そして剣に触れた後、持ち上げようとしたが、そのまま元に戻した。


「特におかしな呪いはかかっていないと思うの。

 何か魔法効果があるようだけど詳しくはわからないの。

 おかしな効果はないみたいだから、触っても問題ないと思うの」


 大丈夫ってことなので、剣を拾って眺めてみる。

 600年前の剣だというのに錆びたところもなく、切れ味は良さそうだ。

 重さも長さも使いやすそうだ。


「これもらっていっちゃってもいいのかな?」


「持ち主だと主張する人もいないと思うから、早いもの勝ちだと思うの。

 文句が来たら、アリサが言い負かすから、問題ないの」


 そういうことならもらっておこう。

 一応これでも子孫なんだから所有権主張したっていいはずだよな。


「すみません、祠にはいったときから何か気持ち悪くて。

 背中がゾッとする感じというかなんというか、無性にここにいたくないって感じが」

 ライナが気分悪そうに言う。


「確かにそれは俺も感じる。

 なんだろう?」


「たぶん、これのせいなの」


 アリサが世界樹の表面の焦げた跡を指差す。


「ここに不死の王が600年間封印されていた影響で、すごい瘴気が残ってるの。

 封印が解けたことでその瘴気も吹き出してきたみたいなの。

 たぶん、さっきのアンデッドたちはこの瘴気に惹かれてきたのだと思うの」


「瘴気ですか。

 たしかに何か嫌なものを感じます。

 世界樹の活動がにぶいのも、その瘴気のせいかもしれませんね」


「焼け焦げてるけど世界樹は大丈夫なのか?」


「世界樹が本来の状態なら、このくらいの傷はその溢れるような生命力ですぐに治ってしまうはずです。

 それが、できないのはやはりなんらかの障害がここにあるのかと」


「これだけの瘴気となると、ちょっと荷が重いの。

 浄化するまでにアリサが闇堕ちしてしまいそうなの」


「世界樹が本来の状態なら、瘴気くらい浄化できるはずなのに……」


「んー、ちょっと待つの」


 アリサはそう言うと、焼け焦げた跡を調べ始めた。


「600年前の封印の一部がまだ生きていて、使えそうなの。

 これを使えば瘴気を抑えつつ、世界樹の活性化をできると思うの。

 おあつらえ向きのメンバが揃っているの。

 お兄様、ライナさん、協力してほしいの」


「わかった」「わかりました」


 「お兄様は正面に立って、その拾った剣を構えて、剣に向かって回復呪文を唱えるイメージで封印を浄化するように念を込めて」


 なんか難しい注文だな。こんな感じか?


 「ライナさんはお兄様の右に立って、お祖母様の姿をイメージしつつ、そのお祖母様がかけた精霊呪文に力を足すようにしていってください」


 「やってみます」


 そしてアリサは俺の左側に立つと、ゆっくりと詠唱を唱え始めた。

 やがて俺たち3人の体が白く輝いたかと思うと、その光は世界樹を覆っていった。

 ゆっくりと、だが確実に世界樹の傷は塞がっていった。


「世界樹が蘇りました」

 ライナの声が歓喜に震える。


「大成功みたいなの。

 世界樹が本来の力を出せるようになれば、その生命力をアンデッドたちは大嫌いなはずだから、森の中に居残っているアンデッドも逃げるか朽ちていくかすると思うの」


「ありがとうございます。

 お2人のおかげです」


「いや、ライナさんがいなかったら、こうは上手くいかなかったはずだから、お互い様ってやつだ」


「天の導きってことですの」


「エルフは精霊の気まぐれって呼んでますね。

 今回、私がこの森にくることになったのも、お祖母様の気まぐれで急に私に行っておいでって。

 もうずいぶん、精霊に近い存在になってきてますからね」


「エルフは天寿をまっとうすると、精霊になるんですの?」


「そう言われてますね」

 ライナの口調もずいぶん砕けてきた感じだ。

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