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妹が最強すぎて冒険がぬるい  作者: 鳴嶋ゆん
第2章 不死の王
20/129

2-4 マーケイン牧場へ

 アドバイスにより行頭空白と3点リーダー(……)を全稿書き換えました。

 また、第2部分と第3部分の構成を変更し、それに応じて第3部分のタイトルを「妹との再開」から「妹アリサ」に変更しました。

(内容は変更ありません)

 もう少しいじるかもしれません。

 翌朝、マーケイン牧場へ出発。

 調べてみたがマーケイン牧場方面への乗合馬車は見つからなかったので徒歩での移動となった。

 およそ6時間の旅路。

 途中で昼食や休憩を考えると、到着は夕方になるであろう。


 一昨日のセクルア湖への移動と比べると、距離が長いこと以上に、気がかりが多いこともあり、アリサもあまりはしゃぐ感じではない。


「不死の王ってどんなんだと思う?」


「昨日見た古文書ではあまり記述がありませんでしたの。

 昔読んだ本では、数千年前から生きているとか書いてありましたけど、魔王の部下としての活動以外はあまり聞かれませんの」


「よくわからない存在なんだな。

 封印が解けたのが今回の事件だとしたら、その原因は何だと思う?」


「データ不足ですので想像しかできませんの」


 アリサの想像をまとめるとこんな感じだ。


1.年月が経ち封印が自然劣化した。


2.地震などの自然災害により封印が解けた。


3.不死の王が600年かけて自力で封印を破った。


4.何者かが不死の王の封印と知らずに解いてしまった。


5.何者かが不死の王の封印と知って解いた。


「古文書に書かれていたことだけではどんな封印かはわからないけど、そうそう簡単に解けるような封印ではないと思うの。

 そう考えると最後のが1番ありそうなの。

 そしてこれが1番怖いの」


「他のは最後のほど怖くないってこと?」


「今までの資料を見る限りでは、不死の王は自ら行動をとるような過去はないの。

 だから、勝手に封印が解けただけならどこかでおとなしくしててくれるかもしれないの。

 でも、何者かが不死の王を利用しようとしているとしたら別なの」


「今は森はどうなってると思う?」


「これも想像だけなんだけど、世界樹のある森って不死の王にとってあまり住みよい環境じゃないと思うの。

 だから、どこかへ立ち去ってるんじゃないかなって思うの」


「そうだといいんだがな。

 不死の王とのご対面だけは避けたいものだ」


「もし不死の王がいたら、逃げるしかないと思うの。

 こそこそ逃げ出すのが勝ちなの」


「とにかく、今回は封印の現状を確認するってことだけに主眼を置こう」


 あれこれ話してると時間の経つのも早い。

 夕方というには少し早い時間にマーケイン牧場に到着することができた。

 牧場のまわりは平穏そうで何より。


「こんにちはー。

 冒険者ギルドから依頼を受けて来ましたー。

 どなたかいらっしゃいますかー」


「はーい、少々お待ち下さい」

 奥の方から女性の声が聞こえた。


 現れたのは20代半ばの若い女性。

 兄妹ってだけ聞いてたから自分たちと同世代のイメージを勝手に想像してたけど、大外れでした。


「遠いところをわざわざありがとうございます。

 兄もまだ戻っておりませんし、食事までゆっくりしていてください。

 お部屋は別々のほうがいいです?」


「2人いっしょの部屋でお願いします」

 とアリサがすかさず答える。


 しばらくすると牧場主も帰ってきたようで夕食に呼ばれた。


「今回は少ない報酬なのに、こんな遠くまで来てもらってありがとうございます。

 私が牧場主のフランクで、こっちが妹のリタ。

 ウルフくらい自分たちでなんとかしたいんですが、荒事がどうも苦手で」

 フランクさんからの自己紹介を受けて、こちらも。


「冒険者ギルドからの依頼を受けて来たシモンで、こっちは妹のアリサです。

 駆け出しの冒険者ですが依頼はバッチリこなしますので、よろしくお願いします」


「お2人も兄妹なんですね。

 妹さん、こんな可愛らしいのに戦闘とかするんですか?」


「どちらかと言うと妹のほうが主戦力だったりしますが……」


「そ、そうなんですね」


「それで依頼についてなんですが、フォレストウルフの討伐の方は明日の午前中にでも片付けてしまえると思います。

 ただ、フォレストウルフが牧場付近に現れた理由が気になるんですよ」


「確かに、子供の頃から住んでますが、フォレストウルフが現れたなんて聞いたことがありません」


「森に何か異変が起こったと考えているんですが、フォレストウルフが現れた時期より少し前くらいに、何か心当たりはありませんか?」


「あれかな?」

 とリタさんのほうが何か思い当たることがあるようだ。

「夜中に大きな雷が落ちたような音が森の方からあったんですよ。

 窓を開けてみたんですが、雨も降ってなくて雷にしては変だなぁと。

 それから数日したら牧場にフォレストウルフがうろちょろし始めたと思います」


「それは気になりますね。

 明日の午後にでも森の調査もしたいと思ってるんですがご協力お願いします」


「森には立ち入るなと死んだ親父からも言われてるんですが、そういうことならしかたありませんね。

 食事と寝る場所くらいしか協力できませんが、それなら数日かかっても問題ありませんので、気兼ねなくどうぞ」


「お言葉に甘えます。

 まぁ明日の午後と、かかっても明後日くらいには調査を終えたいなと思ってますので」


「じゃ、そういうことでよろしくお願いします」


 夕食後、部屋でくつろいでいると、リタさんから声がかかった。


「お風呂湧いてますけど使われますか?」


「お風呂!」

 アリサの目がキラリと輝く。


「ご案内しますね、お風呂は離れにあるんです」


 リタさんの後を2人でついていく。


「暗いので足元に気をつけてくださいね」


 魔法灯は部屋にしかなく、手に持ったランタンの灯だけなので離れへの通路は真っ暗。


「私たちはもうお風呂終わりましたので、ごゆっくりどうぞ」

 そう言い残してリタさんは戻っていった。


「お兄様、お背中流しますの」


 んー、これだけ暗いならいいか。と思って油断したのが間違いだった。


 アリサのライトの魔法でお風呂は昼間のような明るさになったのであった。

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