7-6 異変
俺たちは翌日、故郷のガダウェルを離れた。
今度ここに来るのは、魔王との戦いに何らかの区切りがついてからだろうな。
帰り道も好天に恵まれ順調。予定通り4日でマーケイン牧場へたどり着いた。
「シモンさんおかえりなさい。お早いお帰りで」
牧場主の妹のリダさんが俺たちを迎えてくれた。
フランクさんは留守のようだな。
「シモンさんは、以前メルドーラの街で冒険者をしていたんですよね」
「あー、そうだよ。
俺は結構長いこと、あの街で暮らしてたものだ」
「今、メルドーラの街が大変なようです。
なんでもダンジョンのモンスターが異常湧きして、ダンジョンの外にまで這い出てきているようで」
「なんだって!」
ダンジョンの異常湧きは数十年に一度くらいの確率で起こるらしい。
原因はつかめてないが、ダンジョンに新しい核が生まれてその影響で無数にモンスターが生まれ落ちるようである。
そしてその核を破壊するまで、異常湧きは収まらない。
本来は1つであるべきダンジョンの核が何らかの原因でもう1つできてしまうことによると言われているが確かではない。
そう、アリサが解説してくれた。
メルドーラの街の冒険者ギルドにはさんざんお世話になっている。
「知らないふりして行くわけにはいかないな。
皆、ちょっと手を貸してくれ」
「言われるまでもありませんの」
「まかせてください」
「私たちならすぐに解決できますよ」
3人とも即諾してくれた。
「リタさん、もうちょっと馬を貸してください」
「わたしからもお願いします。
兄も何か手伝えることがあればと、メルドーラに詰めているのです」
俺たちはメルドーラまで馬を跳ばした。
詳しい様子を聞くために冒険者ギルドに顔を出してみた。
冒険者ギルドは閑散としていた。
使える冒険者たちは皆、ダンジョンのほうへ向かっているのだろう。
だがこの街にいる冒険者たちは初心者が中心だ。
戦力的には不安がある。
ギルドには受付のサマンサがいてくれた。
「シモンさん。
いいところへ来てくれました」
「近くまで来てこっちの様子を聞いたものでな。
詳しい状況を教えてくれ」
ダンジョンの異常湧きが確認されたのは3日前。
発生直後に最深部に潜っていたパーティーは帰ってこれなかったようだ。
他にも確認されただけで、8名の犠牲者が出ているらしい。
ギルドマスター含めて腕に自信のある職員たちもダンジョンのほうへ向かっているようだ。
王都をはじめとした近隣の冒険者ギルドへ応援を依頼して、とりあえず現地のメンバではダンジョンから出てくるモンスターを退治して、街に被害が及ばないようにするという方針らしい。
昼夜交代で24時間体勢での仕事となり、そろそろ疲労も溜まっている頃とのこと。
「俺たちもさっそく向かうぞ」
「待つんですの」
アリサからストップがかかった。
「一度突入すれば、数時間はかかると思いますの。
準備をしっかり整えることが大事ですの」
確かにそのとおりだ。
「まずはしっかり食べてから行くんですの。
サマンサさん、物資の準備をお願いしたいですの」
アリサは必要物資をサマンサに指示した。
「まかせてください」
俺たちは、遅めの昼食を取りに隣の食堂へ向かうのであった。




