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7-5 伝説の賢者アリサ

 晩餐会を終えてそのまま歓談していたところへ、執事のハインが父上のところへ報告にやってきた。


「指示のあった壁の盾ですが足場を組んで外そうとしたのですが、外せる見込みがありません。

 壁を壊すしかないようですが」


 どうやら、父上のほうですでに盾を外すように手配してくれていたようだ。


「しかたない。そのように手配しろ。

 壁の修繕はあとからで構わん」


 父上からそう指示が出た。


「ちょっと待つんですの。

 アリサが見てみますの」


 皆でそのまま玄関に移動することになった。

 アリサが止めるのも聞かずに正装のまま足場によじ登って盾を調べ始める。


「なんか少しだけ反応するんですの。

 お兄様にならちゃんと反応すると思うの」


 ということなので、アリサに変わって俺が行くことにした。

 いきなりアリサが俺めがけて飛び降りて来たので一瞬びびった。

 ちゃんと受け止めたよ、そりゃ。


 俺が足場に登って盾に触ってみると、盾がぼんやり光り始めた。

 そして、女性の姿が映し出されたのだ。


「新たなる勇者よ、わたしはアリサ。

 よくぞ、ここまで来てくれましたね。

 この盾は勇者シモンが残したもの。

 蛮族の地に広がる古のダンジョンの奥底より入手したものです。

 この盾は敵の魔法攻撃からあなたを守るのに役立つでしょう。

 わたしが細工して勇者の資格のあるものしか効果があらわれなくしてあります。

 この盾を使って、魔王との戦いに備えてください。

 新たなる勇者の無事をお祈りします」


 そう言い残すと女性の姿は消えた。

 今のが賢者アリサなのか。600年前に残したメッセージなんだろうな。

 どことなく、今のアリサに似たところがあったな。


 それにしても、今この場であの映像があらわれたからいいようなものの、俺が小さい頃にいたずらで触ってたりした時にあらわれたりしたら、すごく台無しだっただろうな。


 あらためて盾に触れると、壁から簡単に外すことができた。

 アリサの予想どおり、勇者以外に外すことができない仕様だったようだ。


「賢者アリサ様の言葉からして、その盾の効果は魔法攻撃に対する防御が優れていると思うの。

 たぶん、魔王は魔法攻撃も優れていると思うから大きな効果があると思うの」


 アリサの言うとおりだと思う。


「それにしても、こうしてあらためて示されると、シモンが勇者ってことが現実なんだなってあらためて思い知らされるな」


 父上がしみじみとつぶやく。

 そうだよな、いくらいろいろな話を聞いても、俺が勇者とか信じろって言うのが難しい話だからな。

 疑ってはいなかったと思うが、心から信じるってのは難しい話だろう。


「今の映像にしろ、盾にした細工にしろ、アリサの知らない技術がいっぱい使われてますの。

 いつか、すべて解き明かして見せますの」


 なにかアリサの探究心に火をつけてしまったようだ。

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