柒
ああ、こういう女の子と話しているとまるでラノベの世界に入ってる感じだな。なんだかそれはそれでなんか嬉しいな。そう思っていると熊野が俺に言った。
「空を見上げてどうしたの?」
「いや、約束ってなんだろうな〜って。」
「え?」
「お前と俺が小さい頃にした約束ってなんだろうなーって。」
「教えることはできないよ。」
「なんで?」
「理由はないけどね、だけどたっくんが本当に記憶を取り戻すまでは教えられないよ......。それが私たちの約束だもん....。」
「そんな大事な事か?」
「当たり前だよ。」
「そっか.....。」
一か八か聞いたがやっぱり教えてくれなかったな....。一体、約束ってなんだろうな。
「じゃ私も寝ころがろうかな?」
突然、熊野は体を横にした。
「いや、おかしいだろ。」
「そうかなー。私ね、今はたっくんと一緒にいたいからさ。」
いやいや、俺はお前と一緒に居たくないんだけど?熊野はなぜか俺の隣で草むらの上で寝転がった。つか、体育の授業はどうした。男子と女子の授業は全く違うぞ?早く体育の授業に戻れよ。先生に怒られるぞ?俺は熊野に体育の授業に戻れよと言おうしたら
「千夜ー!こんなところでサボっちゃダメでしょー。先生が探してるよー?」
遠くから違う女の子の声がした。あーあ、見つかっちったぞ熊野。
「うん!今行くー!」
すぐ寝転がったと思えば体を起こして立ち上がって、呼んでいる女の子の方を向いて叫んだ。本当に忙しい人だな。すると、呼んでいた女の子が俺の方を見て言った。
「あとね千夜ちゃん、そんな変態DKに近寄らない方がいいよー。」
おい、その発言やめろ。メンタルに凄く来る。DKってなんだよドンキーコングじゃねーよ!
「変態って......。ぷぷっ!」
熊野さん、友達の言ったことに便乗するなよ。
「もう少ししたら、そっちに行くから少しだけ待ってね。」
「もう、できるだけ早く来てね?」
「分かった。」
熊野がその呼んでいる女の子に返事をした後、俺の方を振り向いてこんなことを言った。
「たっくん、私はたっくんをずっと見守り続けるよ。私はもう、あんな思いはしたくない。たっくんを見捨てたりはしない。だから、たっくんのほうもゆっくりでいいから私との小さい頃の約束とかを思い出してね?」
その言葉と同時に風が強く吹いた。心の気持ちを表してるかのような風だった。
「あ......おん。」
つい返事をしてしまった。すると、熊野は後ろを向いて呼んでいる女の子へと駆け寄った。俺は熊野と話をしていたが全く彼女の事を何も思い出せない...。小さい頃俺はずっと入院してたせいで友達すらできなかったというのに....。そうとしているうちに体育の授業が終わりそうだったので複雑な思いで体を起こし集合しているクラスメイトの所へ駆け寄った。
「あいつ、最後何が言いたかったんだろう..........。」