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「ヘイ!パス!こっちにくれー!」「いけいけー!」


何事もなかったように5時間目の体育の授業が始まった....。俺は謎の転校生、熊野の乱入によりクラスでは完全に女たらし扱いされた。しかも波越に腹パンされて未だに気分が悪い。クラスメイトの視線は男子からは吐き気を呼び起こすような視線で、女子からは

「女たらしが近寄らないでね?」という意味の篭った目線が刺さる。はぁ、全く俺はなにもしてないのになんでこんな酷い仕打ちを受けないといけないのですか。しかも、今日はサッカーかよ...。友達もいねー俺なんかが入ってもタダの邪魔でしかならないよな。サッカーはすげーしたいが...。俺がそんなネガティブになっていると熊野が俺に気づいたのかこっちに来て俺に話しかけた。


「たっくん、どうしたの?」


「................。」


つい黙り込んでしまった。こいつ、俺がフリーならかまわずに来るのかよ....。もう、しんどい。


「たっくん?聞いてる?」


これは返事しないとまずいと思ったので俺は仕方なく返事をした。


「あ、ああ。」


「よかったー。死んでるのかと思った。」


おい、勝手に殺すな。俺はまだこんなにもピンピンではないがちゃんと生きてるぞ?


「あのー、なんですか?熊野さん?何の用ですかー?」


だるそうに俺から熊野に話しかける。


「たっくん、酷いよー!たっくんに会いに来たって言ったのに。もう!」


ほっぺたを膨らませて怒る熊野。可愛い。ちょっとドキッとしたじゃねーか。


「つか、なんで俺みたいな奴に会いに来たの?」


「約束を果たしに来たのだ!」


シャキーンとヒーローの登場のポーズをして俺の質問に答える。約束?はてなんのことか知らないけど、それでわざわざ会いに来たのかよ。俺は憂鬱そうにため息をついた。


「約束ってなんだよ。」


「約束は約束だよ、たっくん!」


「そんな強調されてもなー。」


「え?まさか....、覚えてないの?」


「そう....だけど....。」


まぁ、実際そうだしな。俺の小さい頃の記憶なんて病室の天井ぐらいのシミしか覚えてねーんだもん。


「う、嘘だよね.....。」


「いや、本当だから。」


「そんな〜。」


熊野はガッカリした顔をした。すると、ずっと立っていて疲れたのかわからないが俺の右隣へと座った。


「じゃ、あの時の約束をたっくんは忘れてるのかな....。」


「?なんだ?」


「あっ....ううん。何でもない。」


「あっ、そ。」


ここで会話が途切れてしたまった。何だが凄く気まずい.....。


「たっ、たっくん?」


熊野から話しかけてきた。


「ん?どうした?」


「改めてだけど....これから隆也のことを『たっくん』って呼んでもいい?」


「?なんで今更聞くんだ?」


最初に会った時に普通にたっくんって呼んでたよな、熊野。なんで改めてなんだ?わけ分かんねー。


「え、いや、その....。だ、だってたっくん、いろいろなことや約束のことを忘れてるでしょ?」


「まぁな。」


確かにそうだけども...。改めて名前を『たっくん』って呼ばれても全然違和感ねーんだよな。初めて会ったのに、いやニ回目か。一回目はあの痴漢事件の時だな。


「まぁ、俺に会いに来てくれるってのは凄く嬉しいな。」


「本当!?じゃ、記憶も...!!」


「戻らねーよ。そんなに早く戻るわけねーよ。まぁ、俺と少しでも縁があるって言うんだ。嬉しい他にないだろ?」


「そうだね。うん、ありがとう。」


「お礼は俺の方だよ。」


「う、うん。」


俺はその話が終わると足を組み、手を頭の後ろに回して空を見上げるように草むらの上で寝転んだ。


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