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おにぎりを四つも食べた俺はベンチで横になって昼寝を始めようとした。そう、ここでの昼寝は最高である。一本杉が風に吹かれてなびいてザワザワと葉が音を立て、俺がいるベンチに太陽の光が体全体に当たる。それらが程よく俺の心を癒してくる。俺がノンレム睡眠からレム睡眠に入りそうな感じになってきたタイミングで誰かに頭を叩かれた。しかも、頭の真上を叩かれたので凄く痛かった。くそっ!誰なんだよ!俺の睡眠の邪魔する奴は!


「いった!気持ちよく寝てたのになんだよ!」


「そんな所で寝てたら風邪を引くでしょ!隆也!」


「いや、五月だからしねーよ!つか、なんでお前がここにいるんだよ。」


「あんたが学校でて行ったところを見て追いかけたの!悪い?」


「逆ギレ....わざわざそんな理由でここにいるのかよ?大丈夫か?」


「大丈夫よ!」


「...キレッキレの返しありがとね。」


「うん、まぁね。それほどでも。」


「はぁ、疲れる.....で、本当の目的はなんだよ。」


「目的?」


「俺に話があるんだろ?何考えてるか知らねーが。」


「え......と....その......。」


「......なにもじもじしてんの?お前。」


突然として殴った人は本人は幼なじみでありクラスメイトの 波越楓なみこしかえでである。特徴としては黒髪のロングに奥二重といった、もう二次元のヒロイン!?的な顔だが、性格はいたって悪すぎる、特に俺に対しては。クラスの男女共に信頼は厚く、クラスの人気者でもあり、みんなの推薦によりクラスの学級委員長にも務めている。推薦は俺はした覚えはないが。部活はバレー部に入っており、しかもキャプテンときた。部からもクラスからもどんなけみんなからの信頼か厚いことか。なんだよ果てしないこの差。反対に俺はクラスから浮いている、友達もいない、部活は入ってないただの帰宅部.......。まぁ、いいかそんなことは。嫉妬しても意味ないしな。現実ってのはコミュ力がない奴は踏み倒される世界だもんな。前髪の髪の毛を手で払った行為をした後波越が急に話を終わらすかのように現実の話に戻した。


「そうだ、次の授業、体育よ。早く学校に戻ってくれる?あんたがサボったらこっちにまで迷惑かかるから。」


イラっ!ムカつく言い方よ。幼なじみでもそこまで強く言うか!?あと、胸張るな。嫌味ったらしくそこそこある胸を揺らすな。胸なしの女子全員を敵にまわしてるぞ?


「うるさい、分かったから、ちゃんと戻るから、心配しないでくださいね。楓さん。」


「もう!分かってないでしょ!この馬鹿隆也!」


「やめろ!寝ないと、次の授業に支障が出るんだよ!」


「そんなこと....あるわけ....ないでしょ!」


「男子誰も構ってくれないからって無闇やたらにおれにあたるのやめてもらいますか!!!」


「なんで、あんたなんか....!」


寝ようとする俺を邪魔する波越。俺は体を横になったと思えば波越に体を起こされ、また体を横になったと思えばまた波越に起こされる。そんな無限ループが続いていた。


「このやろう!俺は寝るんだ!」


「あんた....起きなさい!」


次の瞬間、波越に力一杯引かれたおれの体は勢いよく波越の体にぶつかった。


「いててて.....。大丈夫......か。」


俺は右手に何やら柔らかい感触を掴んでいると感じた。それはプリンを素手で触ったかのように柔らかった。......ん、柔らかい?.......まさか、この展開は.....。恐る恐る、俺は顔をあげた。すると、顔を真っ赤にして、俺を見ている波越と目があった。俺は無意識に女子を押し倒し、胸を揉んでる変態ではないか。二次元展開だとビンタされるのではと俺はすぐさまに体を後退させた。


「ごごご、ごめん!悪気はなかったから....その....許して....ひぃぃ!」


目をつぶって、許しを講じた。だが、いくらたってもお約束のビンタはこなかった。俺は目を恐る恐る開けた。そこにはまだ顔を真っ赤にしてこっちを見る波越の姿があった。


「....今度から....気をつけてね....。」


意外だった。本来の波越なら俺のことなんて御構い無しに顔を叩くと思ったのに。なんで?


「まさか、胸を揉まれてエロい気分になったのでは.....?」


「それはぜぇったいににゃい!」


いつもの波越でしたー!俺は波越からお約束のビンタを右頬でくらう。だが、俺はある言葉に疑問を感じた。


「にゃい?」


「..............にゃ.........にゃんでもにゃい!!!!!」



追い打ちで俺はビンタを左頬にくらった。そのあと、波越は謎の言葉を発した後、涙目をした真っ赤な顔のまま全力疾走で学校に帰っていった。にゃんでもない?誰のギャグだ。


「......なんだあれ?」


俺は一人ボソッとつぶやいた。両頰には波越がビンタした手がくっきり残っていた。





「おーし、全員揃ってるかー?」


俺が教室に帰るとなんと担任の林田先生がいた。げっ、みんなきちんと座ってるし、特に波越なんぞこっち向いてすげー怖い顔で睨んでおっしゃる。こえーよ!こえーよ!


「座れー、山城。全員に大事な連絡がある。」



「は、はい.....。」


俺は急いで自席に戻った。林田先生も若干キレてたな....。はぁ、今日はなんだかついてない。


「えー、なんだかんだあって転校生を朝に紹介するはずだったが、たった今することにするー。」


どんなけマイペースなんだあんた。


「マジかよ。」


「えー、誰だろ?」


「絶世の美女だったりして。」


「松◯みたいなイケメンかなー。」


「こんな田舎に転校してくる人いるの?」


先生の言葉によってクラスの中で急に、ざわざわと騒ぎ始めた。次、体育なのに大丈夫だろうか。そこが俺の一番心配ポイントだ。


「じゃ、はいってきてー。」


林田先生の掛け声とともに、教室のドアが空いた。

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