表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オービタルエリス  作者: jukaito
第2章 マーズ・マン・ハンター

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/104

エピローグ~確実な一歩~

「本当にいいのか?」

 地下室のただっ広いスペースでダイチはエリスに問いかける。


「何度も言ってるでしょ」

 エリスはうんざりした顔で答える。


「遠慮はいらないって、さっさとかかってきなさいよ」


 ダイチとエリスは相対する。

 ただし、エリスは義手が砕け散ってしまったため、両腕は使えない。足技だけでダイチとスパーしようというのだ。


「今なら負ける気しない。そういう顔してるわね」

「ちょっと前なら足だけでも全然勝てる気がしなかった。でも、今の足だけのエリスなら負けないぜ」

「言ってくれるわね。だったら能力使ってあげましょうか?」

「あ~前言撤回だ。やっぱ勝てねえわ」

「弱気なこと言わないでよ、蹴りがいが無くなるわ」

「弱気っていうか現実なんだよな……ま、それでもやれるだけやってやるさ」


 エリスは構えるのを見て、ダイチも同じように構える。


「ハッ!」


 エリスはダイチの顔面めがけてハイキックを放つ。

 頭を首から蹴り落とすほどの勢いをもった凄まじいものだ。


 だが、ダイチはこれをかわした。

「へッ!」

 ダイチは思わず笑みをこぼす。


「調子に乗るんじゃないわよ!」


 エリスは声を荒げる。しかし、その顔はどこか嬉しげであった。

 嬉しいからこそ、次の蹴りが即座に飛んでくる。


「うわっちッ!」


 これを紙一重でかわす。

 危なかった。少し前だったらかわすどころか防御することさえ出来ずに、天井を仰ぐことになっていただろう。

 しかし、今は違う。

 理屈は分からないが、ヴァーランスを操縦してレージュを倒してから身体のキレが以前とは桁外れに良い。

 まるで身体にブースターがついたみたいに素早く、スムーズに動かせる。

 それが負ける気がしないと感じた根拠だ。


「おりゃあッ!」


 反撃に拳を突き出す。

 両腕が使えない今のエリスはこれを防御することが出来ない。

 それをエリスは後ろに飛んでこれをかわした。

 負ける気はしない。でも、簡単に勝てる相手ではないことを改めて思い知らされる。


「やるじゃねえか」

「そっちこそね。確かにこりゃ調子に乗るのがわかるわ」

「調子に乗ってるんじゃなくて自信をつけたって言ってくれよ」

「それを調子に乗ってるって言うのよ!」


 エリスは飛び蹴りをかましてくる。


「うおッ!」


 ダイチは腕で防御する。


「ぐう……」


 骨にヒビが入ったんじゃないかって思うぐらい、腕がズキズキする。


「よ、容赦ねえな……」

「こっちは足しかないんだから、軽く倒してもらわなくちゃ困るのよ」

「よく言うぜ。軽く倒させるつもりなんてねえだろ」

「当然」


 エリスはニヤリと笑う。


「さあ、かかってきなさいよ」

「おう!」


 ダイチはまた一歩踏みしめた気がする。

 道は険しく遠いものの、それは確実な一歩であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ