プロローグ
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その日の王宮の広間は沢山の幸せと祝福の声に溢れていた。
華やかな音楽にあわせ、きらびやかに着飾った複数の男女が優雅に踊るホール。
城内はどこもかしこも磨きぬかれ、小さな蝋燭の光を何倍もの輝きにしていた。
その日は若き王が授かった姫のお披露目だったのだ。
産まれて半年も経たない姫も心なしかとても楽しそうに祝いを述べる者すべてに笑顔を向けていた。
若く聡明で美しい王。
その王に寄り添うのは、姫を抱いた美しい女王。
それはまるで一枚の絵画のような光景だった。
ふ
それをどこか目尻を緩め、眩しそうに見つめる男が一人いた。
艶やかな黒い肌、
筋肉のついた逞しい体は人より頭一つ抜いている身長のせいかしなやかな印象を与え、
漆黒の髪とつり目気味の凛々ふしい瞳は、意思と力の強さを静かに物語っていた。
名前はヴァルド・ヴェルン・グェルドル
この国の将軍の息子にして、実力で騎士団長にまで登りつめた青年である。
今、ヴァルドは 今日のお披露目会を含んだ舞踏会に相応しい華やかな飾り彫りの入った漆黒の鎧を着ていた。
肩から背中をおおう重厚な黒のマントは、パーティーの始まる前に幼なじみで親友である王からプレゼントされたものだ。
『ヴァルド、今日は私の娘の晴れの日なんだぞ。少しは君もオシャレをするべきだ!』
『おい……そんなことのためにオレを呼び出したのか?』
ヴァルドが静かに自分の疑問を問いかけると、目の前の友人は軽やかに笑い声をあげて、冗談だよ。
と、イタズラぽい視線を自分によこしながら背中を軽く数回たたいた。
王になった真面目な友人が、パーティーの警護を任された忙しい自分を知らないはずもない。ましてや、そんな忙しい最中にヴァルドをからかうために呼び出すなんてしないヤツだ。
『マントをプレゼントしようと思って呼び出したのは本当だよ?ほら、その鎧にぴったりだろう?』
そういいながら、ゆっくりと手に持っていたマントを広げて見せてくれる。
それは、親友には余り似合わない漆黒の艶やかなマント。
マントの内側はダークレッドで、いずれもベルベットのような生地になっていた。
正直、裁縫に興味もないヴァルドには何の生地かもわからない。
『それは、』