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非モテの俺が異世界でモテ男バイブルを実践したら、ヒロイン同士の修羅場で世界が崩壊の危機です  作者: namamochi


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第10話

 街の喧騒を離れ、教会の奥にあるいつもの場所で意識を沈める。

 視界が真っ白な閃光に包まれ、次に目を開けた時、そこは神の領域だった。


「お久ぶりです、女神さま」


「ほんっっと久しぶりね。暇なんだから、もっと頻繁に会いにきなさいよ」


 数年ぶりに見る女神さまは、最後に出会った時と一分の狂いもなく、変わらぬ姿で玉座にふんぞり返っていた。

 僕がこの世界に転生し、スキルを授かって以来の再会だ。


 それにしても、相変わらずその格好は凄まじい。露出度の高い薄布を纏っただけの姿は、前と変わらず痴女である。

 先ほど目撃したララさんの制服さえ霞んで見えるほどの、神域の痴女だ。


「うるさいわね!!誰が神域の痴女よ!!」


 しまった、つい本音が。女神の読心能力を忘れてた。

 僕は慌てて居住まいを正し、愛想笑いを浮かべる。


「今日来たのは、ちょっと女神さまに聞きたいことがあったんですよね」


「その前に、何か忘れてない?」


 女神様は頬を膨らませ、不満げに足を組み替えた。


 何か忘れてる…?

 あ、そうか。女性に会ったときは、まず変化を敏感に察知し、外見を褒めなきゃいけないんだった。

 これは「モテ男バイブル」の第一章一節に記された鉄則だ。


「そういや、少し髪型変えました?似合っていて良いと思いますよ」


「誰がそんな言葉求めたのよ!!そもそも、あんたさっきなにも変わっていなかったって思ってるじゃない!思ってもいないことを言うんじゃないわよ!!」


 やべ、心見れるんだった。

 モテ男バイブルが通用しない相手…。強敵である。


「貢物よ、貢物!ちゃんと持ってくるように言ったでしょうが」


 そういやそんなこと言われたっけ。完全に忘れてた。

 だが、ここで動揺するのは二流モテ男だ。一流モテ男の見本を見せよう。

 僕は即座に、芝居がかった仕草で胸に手を当てた。


「す、すみません…。女神さまの美しいお顔をはやく見たくて、浮かれてしまってすっかり失念してました」


 完璧だ。我ながら惚れ惚れするようなアドリブである。

 流石に女神さまもこれにはクラっときたのか、顔を真っ赤にしている。


「クラっとするか!!これは怒りよ!!」


「さすが女神さま。一筋縄ではいきませんね。まあ、次はちゃんと持ってくるので許してください」


 本心である。流石に毎回忘れるのは申し訳ないし、こまめな男はモテるとモテ男バイブルにも書いてあるのだ。


「私を口説いてどうするのよ、はぁ…。で、なによ聞きたいことって」


 ようやく話を聞く体勢になった女神様に、僕は長年の疑問をぶつけることにした。


「なんか僕、弱くありません?魔法も使えないし、身体能力も全然上がらないし。どうすれば強くなれるのか聞きたくて」


 そう。僕はとても弱い。

 自分なりに努力はしているのにである。ソニア姉と鍛錬もしているし、マリン姉から魔法を教えてもらおうとしたこともある。

 なのに、僕の身体は一向に成長の兆しを見せない。


「そういえば言ってなかったわね。あなたの身体能力は最低に設定しているわ。魔法も使えないでしょうね」


「え!?どうして!?」


「あなたのスキルが強すぎるのよ。そうしないとバランスが取れなかったの」


「スキルが強すぎる…?少し異性に好かれやすくなるだけなんじゃ?」


 そう疑問を口にすると、女神は真剣な表情でこう言った。


「今はまだその程度ね。でも、スキルは進化するの。特にあなたのスキルは最後まで進化すると非常に強力だわ。それこそ、世界を支配できるでしょうね」


 …え?世界を、支配?

 スキルの進化という現象自体は、この世界の住人なら誰もが知る常識だ。驚きはない。

 けど、僕のスキルはそんなに強いスキルだったの…?というか、そもそも世界を支配するなんて求めてないんだけど?


「最後まで進化すれば、よ」


「スキルの進化って、魔物を倒せばいいの?けど、その魔物を倒すことも全然できないんだよね」


「多くのスキルはそうね。でも、あなたのスキルは違うわ。特殊なの。条件は教えられないわよ」


 寝耳に水どころか、土砂降りの雨を食らった気分だ。

 しかし、これで僕の「弱さ」の正体が判明した。それだけでも、わざわざここまで足を運んだ価値はあった。


「まあ、あなたのスキルを最後まで進化できた人はいないけどね…」


 おっと。不安なことを聞いたなあ。でも、別に世界を支配するなんて考えてないから、最後まで進化させる必要なんてない。


「なにか、スキルを成長させるヒントだけでも教えてくれませんか…?足くらいなら舐めてあげますよ」


「なんで私があなたに足を舐められないといけないのよ…。私にだって選ぶ権利はあるわ」


 やれやれとした感じで返事をしてくる。足を舐めたいとは思わないけど、このままヒントを聞けないのも困る。

 しょうがない。プライドを捨てよう。


 足を舐めやすい体勢に変えようとするとーー。


「い、いらないわよ!ちょっと、やめて!いやあああああ」


「ほらほら、このままだと舐めちゃいますよ…?」


「わ、分かった。ヒントを教えるから、さっさと立ちなさい!」


 ほんと素直じゃないなあ。でも、とりあえず教えてくれるみたいなので、大人しくしておこう。


「女神を脅すなんてどんな神経してるのよ…。はあ…。いい?スキルが成長する条件は、スキルと関係がありそうな行動をすればいいの。戦闘系のスキルなら戦闘をすれば効率よく成長するし、非戦闘系のスキルでも、それと関連性の強い行動をしたら成長するわ。魔物を倒せばスキルが成長するっていうのは、多くのスキルが魔物と関係があるからよ。」


「なるほど?」


「そして、スキルの成長先は人によって変わるの。それはつまり、どんな行動でスキルを成長させたかが人によって変わるからなの。だから、同じスキルを持った人が同じ行動をすれば、当然同じスキルに進化するわ」


 なるほど…。つまり、僕のスキルは、魔物を倒すこととは無関係な方向で磨かなければならないということか。

 女性から好かれやすいスキルなのだから、やはり女性と仲良くなることが成長のトリガーなのだろうか。

 今でも十分仲の良い女性はいるけどなあ。女神、ソニア姉、マリン姉、リリ、ララさん…。


「なんでその中に私が入っているのよ…」


 女神様は頭を抱え、深いため息をついた。


「はぁ…。これ以上のヒントは与えられないわ。ところであなた、いろんな女性を手当たり次第に口説いてるけど、本気でハーレムを目指してるの?」


「え?もちろん。今のところうまくいってますよ」


「そのスキルでハーレム目指すのはやめた方がいいと思うけどね…。まあ、好きにしなさい」


 不穏なこと言うなあ。前世で0だったんだから、今世はハーレムを作ってようやくバランスが取れるはずだ(暴論)。


 聞きたいことは聞けたし、そろそろ帰ろうかと思っていると。


「ちょっと、何帰ろうとしてるのよ。暇なの。もう少しお話に付き合いなさい」


 やれやれ、ツンケンしているくせに、なんだかんだ女神様は僕のこと大好きだなぁ。


 時間はあったので、女神さまと少し雑談をして、帰ることにした。


 初めて追い出されなかったぞ。好感度上がってるな。

 とか思っていたらバレて追い出された。…理不尽。

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