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Episode5 なろう系主人公「最強の仲間を集めなきゃ…」イーロン「もう集めておいた(アジト付き)」

やっとコートを着れる季節になりました。5000円で買った売れ残りの新品コートの出番です。

会談後、メアリーとイーロンのXを介した”ホットライン”はより活発になった。Q-Ballや怪人についての分析結果や、メディア対策などについても話されたが、やはり一番は弁護団の結成である。


イーロンの紹介によって、有力な候補に何人も会った。その中で特に優秀かつ手段を選ばない人物をリストに加え、交渉し、仲間に引き込んだ。

また、マーガレットも別口で動いている。インターネットのヘビーユーザーである彼女は、インフルエンサーとの繋がりも深いのだ。

「4chan仕込みの、とびきり強力なやつを連れてくるわよ」


そしてついに、”全米で最も優秀かつ、最も過激、そして最も愛国的なタスクフォース”が完成した。メアリーは自分たちの名前から最も重要な”リバティ”を取り、このチームに名前をつけた。


”リバティ・テーブル”


魔法少女たちの汎ゆる行動を無罪にし、敵対組織に敗訴の屈辱と多額の懲罰的賠償を背負わせ、連邦政府から無制限の免責と多額の予算を勝ち取り、”オルタナティブ・ファクト”を作り上げる、そしてなにより怪人どもに鉛玉を叩き込むための、完璧な組織である。

4人は言葉を交わさずともわかっていた。「このメンバーなら勝てる」


リバティ・テーブル────”全米で最も優秀かつ、最も過激、そして最も愛国的なタスクフォース”

その中核となるメンバーは以下の通りだ。


技術・研究部門(Technology Division)


イーロン・マスク (Elon Musk)


役職: 名誉共同議長 兼 最高技術顧問 (Honorary Co-Chair & Chief Technology Advisor)

人類の未来を火星に見据える、天才にして異端のビジョナリー。彼にとって、メアリーの戦いはアメリカ国内の政争ではなく、人類という種の存続可能性を試す壮大な「ベータテスト」である。物理法則を捻じ曲げる”怪人”の出現は、人類種に対する最大の試練であり、これを克服することは人類の存続可能性向上に対して大きく貢献すると考えている。世界一の資産から繰り出される潤沢な資金、SpaceXのロケット技術、TeslaのAI技術、Starlinkの検閲不可能かつ全世界で通信可能な通信網、そしてXという世論操作プラットフォームの全てを、ミッションの成功のために提供する究極のパトロン。


法務・渉外部門 (Legal & Lobbying Division)


マーカス・"ブルドッグ"・ストーン (Marcus "The Bulldog" Stone)

マーカス法律事務所総代表

役職: 最高法務責任者 (Chief Legal Officer)

紹介: 「法廷に正義はない。勝者と敗者がいるだけだ」を信条とする、全米一の勝率を誇る悪魔的法廷戦術家。高額な報酬で、数々の富豪やマフィアさえも無罪にしてきた経歴を持つ。相手を精神的に追い詰めて自滅させる尋問術は「ブルドッグの噛みつき」と恐れられる。リバティ・テーブルのあらゆる行動を「合法的」なものへと捻じ曲げ、敵対者を訴訟の泥沼に沈めるのが彼の仕事。メアリーの行動に一切の法的リスクが存在しないのは、この男が影で全てを処理しているからに他ならない。


ハリエット・"クイーンビー"・ヴァンダーソン (Harriet "The Queen Bee" Vanderson)

ハリエット・ヴァンダーソン・ストラテジーズCEO

役職: 最高ロビー活動責任者 (Chief Lobbying Officer)

紹介: ワシントンD.C.の政治と欲望を知り尽くした、Kストリートの影の女王。元ファッションモデルという華やかな経歴と、ターゲットの秘密を的確に収集する諜報能力を武器に、敵対するはずの民主党議員すら手玉に取る伝説のロビイスト。彼女が主催するパーティは、アメリカの政治を裏から動かす密談の場となる。リバティ・テーブルに超法規的権限と巨額の予算を与える法案を、議会で次々と可決させるためのキーパーソン。


広報・情報部門 (Propaganda & Intelligence Division)


ジャック・"ミーム・ウォーロード"・ポズナンスキ (Jack "The Meme Warlord" Poznanski)

インフルエンサー

役職: 最高広報戦略責任者 (Chief Propaganda Strategist)

紹介: インターネットの最も暗く、混沌とした領域から現れた、現代のデジタル扇動家。4chanの匿名掲示板で頭角を現し、今や数千万人の信者を抱えるインフルエンサーとなった。彼の作り出すミームやバイラルビデオは、単純なプロパガンダを超え、若者の心に直接響く強力な文化的兵器となる。メアリーを「聖女」に、敵を「悪魔」に描き出すことで、現実の認識そのものをハッキングする情報戦の天才。マーガレットとは4chanでコテハンを使い始めた頃からの”フレンド”


タッカー・カールソン (Tucker Carlson)

独立系ジャーナリスト

役職:専属ジャーナリスト (Exclusive Journalist)

紹介:大学で政治学を学んだ後メディア業界に入るものの、リベラルとの対立により既存メディアから追放され、逆に絶大な影響力を持つに至った、保守派言論界の孤高のカリスマ。彼は、リバティ・テーブルの活動に独占的に同行取材する権利を持つ、唯一のジャーナリストである。彼の番組は、テーブルの行動原理と正義を、知的かつ洗練された言葉で代弁する公式の声明発表の場となる。彼の眉をひそめた疑問形の語り口は、リベラル陣営の偽善を暴き、メアリーの行動を歴史的な必然であるかのように視聴者に確信させる力を持つ。



軍事・作戦部門 (Military & Operations Division)


リック・"ジェネラル"・スラッシャー (Rick "The General" Slasher)

パトリオット・ソリューションズCEO

役職: 最高作戦司令官 (Chief Operations Commander)

紹介: ネイビーシールズの中でも精鋭中の精鋭「チーム6」出身という経歴を持つ、生ける伝説。中東の砂漠で数々の修羅場をくぐり抜けてきた、百戦錬磨の戦術家。彼が率いるPMC「パトリオット・ソリューションズ」は、国家が手を汚せない非公式作戦を請け負う、影の米軍とも呼ばれる最強の戦闘集団。葉巻を燻らせながら、モニターに映る戦況を冷徹に分析し、常に最適解を導き出す。


オブザーバー部門(Observer Division)


ドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump)

トランプ・オーガナイゼーションCEO・「アプレンティス」司会・第45代アメリカ合衆国大統領

紹介:言わずとしれた第45代アメリカ合衆国大統領。彼こそが中国やウォール街、グローバリストやリベラル、そしてディープステートとの戦いを始めた最初のリーダーである。その魂はリバティ・ガールズに伝わり、今やムーブメントは新たな局面を迎えている。不当な刑事訴追などの影響と次の大統領選挙への出馬準備などから、彼はメインメンバーにはならなかったものの、背後からリバティ・テーブルを見守っている。


「まず、私達の呼びかけに応じて集まってくれた皆様に、深く御礼申し上げます。」

ニューヨーク某所の高級ホテルの会議室で、議長であるメアリーが口を開く。リバティ・テーブル初の顔合わせである。


「自己紹介から始めましょうか。それでは、まずは私から。名前をメアリー・ヴィクトリアと言います。アメリカの敵────えぇ、ここに居る聡明な皆さまならば、それが怪人だけでないことはご存知でしょう────と戦い、勝利を掴むことが、私の目標です。本日皆様にお集まりいただいた目的は、まさにそれとしか言いようがありません。」

全員がメアリーに拍手する。優等生的なコメントながら、確かなる決意と覚悟を感じさせるものだった。


「マーガレット・スミスよ!真実は教科書にあるのではなく、聖書と4chanにこそあるわ!怪人どもとディープステートどもを皆殺しにしてくれるわよ!」

ジャック・ポズナンスキが大きな拍手をする。他のメンバーは小さい拍手にとどまった。マーガレットがジャックにウインクする。


「…私はエマ・ウィンストン。二人がアメリカの敵と戦うなら、私も当然それを支える…それだけ。よろしく。」

ラッキーストライクをふかしながらエマが軽く自己紹介した。全員が拍手する。

「こう見えて、最初の怪人にとどめを刺したのはエマなのよ!」

マーガレットがフォローする。


「イーロン・マスクだ。人類の存続可能性を上げることが、私のビジョンだ。そしてそのためには”怪人”どもが行う物理法則の改変を解明することと、怪人の無力化が必要だと考える。それに一番近いのは…言うまでもなくリバティ・ガールズだ。そのためならば汎ゆるリソースを注ぎ込むつもりだ。よろしく。」

世界一の大富豪の自己紹介に、全員が”これは大きな仕事だ”という意識を新たにする。


その後は、集められたメンバーの自己紹介である。

「マーカス・ストーンだ。刑事・民事合わせて勝率は83.2%、残りは限りなく勝訴に近い”和解”だ。私がついた以上、リバティ・ガールズはなんでもできる…免責特権みたいなものだ。無罪が欲しいときはいつでも言ってくれ。それからQ-Ballについても聞いた。確かに契約は上手いが、所詮素人を騙しているだけのよくいる法律ゴロみたいなもんだ。”プロ”には勝てない、心配するな。」

マーカスが自信たっぷりに宣言した。その心強さに一同が安心する。


「ハリエット・ヴァンダーソンよ。マーカスが法廷で戦っている時、私は”法律”そのものを変えているわ。既に一般人に対して怪人との戦闘を禁じる法案提出が検討されているのは掴んでいる…心配無用よ、その法案を書くのはインクと紙の無駄遣いになるわ。都合の悪い法律があったら言ってちょうだい、必要なら煙草の警告表示をなくすことだって出来るわ。」

エマの目が少し輝いたように見えた。


「俺様がジャック・ポズナンスキだ!そこのマーガレットとは4chanのコテハン時代からフレンドだな。俺様は敵を”権威”から”笑い者”にしている…4chanのミームにされた偉い”先生”の顔を見たら、講義室で吹き出しちまうからな!えらーい大学教授サマも、心理学者サマも、CNNも、ジョー・バイデンも俺の敵じゃねえ。みんなミームになっちまうからな!よろしく頼むぜ!」

メアリーが「ブラボー!」と叫ぶ…他の者の反応は、書く必要がない。


「タッカー・カールソンです。既存のメディアから叩き出された…まあ、言ってしまえば”はぐれ者”ですね。しかし、一人の異端者が居るからと叩き出すメディアに、社会の木鐸としての矜持はあるのでしょうか?彼らが語る”多様性”とは、一人の保守派が存在するだけで崩れ去るものなのでしょうか?…私は、リバティ・ガールズこそ古き良きアメリカだと思います。彼女らの活動を伝え、古き良きアメリカを取り戻します。」

ジャックの後とは思えない、非常に優等生的な自己紹介である…ただしその裏に隠された”過激さ”に、そこにいる全員が気づいた。だからこそ独占してリバティ・ガールズを取材する権利が与えられたのだろう。


「リック・スラッシャーだ。中東の砂漠で戦ってきた…次は、アメリカの敵と戦う。それだけだ。」

短いながらも威圧感があり、覚悟を感じる自己紹介に、全員が拍手した。


自己紹介が終わったところで、メアリーが口を開く。

「ありがとうございます。自己紹介が終わったところで、顔合わせの席ながら喫緊の問題についてお伺いしたいと思います。”Q-Ballとの契約””CNNによる攻撃”そして”次なる怪人の脅威”です。」

マーカスが口を開く。

「まず”契約”についてだが、これは問題ない。Q-Ballは口が少し上手いだけの法律ゴロだ。私のチームがすぐに契約書を書き上げる。」

「ありがとうございます。しかし、相手は物理法則の改変が可能な存在です。契約に縛られる相手の何かしらの制約はあるようですが、契約を履行するでしょうか?」

メアリーが疑問を投げかける。それに答えるのはイーロンだ。

「問題ない。既にQ-Ballを殺す方法は見つけている。あとは脅すだけだ。」

「仕事の早さに感謝します。それでは、この問題は取り敢えず解決しそうですね。次に”CNNによる攻撃”ですが…」

ジャックが口を開く。

「問題ねえ、CNNのキャスターのコラ画像を流してやるさ。すぐに連中は笑いものだ。」

タッカーがそれに続ける。

「それだけでは不十分でしょう…そうですね、FOXに伝手があります。何かしらのカウンター・プログラムを考えます。」

「ありがとうございます。それでは最後に、”次なる怪人の脅威”ですね。現状前回の怪人から米国内での怪人出現情報はありませんが、これで終わりということはありえません。」

「既にウチの部隊は対怪人の戦術シミュレーションと訓練を積んでいる。この結果をフィードバックすれば、次の戦闘に役立つだろう。」


「ありがとうございます。それではこちらからの懸念は解決しましたが…逆に皆様からは何がありますか?」

しばしの沈黙の後、タッカーが口を開く。

「メアリー、貴女の言葉には力があると思います。貴女の瞳は、真実を見抜くでしょう。それは天性のものかもしれないですね。テレビは、そういう”本物”を愛します。」

彼はまず、メアリーの才能を称賛した。しかし、その目は笑っていない。テレビカメラのレンズのように、冷徹に彼女を分析している。

「だが、テレビは残酷なまでに視覚的なメディアです。君の”鎧”は、まだ君の魂の強さに追いついていないでしょう。」

タッカーは、メアリーのスーツに視線を送る。

「その既製品のスーツは、君を”有能なビジネスウーマン”に見せるでしょう。しかし、貴女はビジネスウーマンではないのです。貴女は”新しいリーダー”であり、”新時代の旗手”なのです。服装は、言葉よりも雄弁にそれを語らねばならないでしょう。」

彼は立ち上がり、部屋をゆっくりと歩きながら続ける。

「レーガンを思い出してほしいのです。サッチャーを。そして、トランプもそうでしょう。彼らはある時期から、ほとんど同じスタイルの服しか着なくなりました。なぜでしょうか? 彼らはファッションを捨て、ユニフォームを選んだのです。毎日同じ服を着ることで、「私はファッションのことなど考えていない。国家のことだけを考えている」という無言のメッセージを、国民に送り続けているのです。それは、リーダーとしての絶対的な信頼感と安定感を演出する、最も強力な視覚的シンボルです。」

その言葉に、ハリエット・ヴァンダーソンが深く頷く。

「タッカーの言う通りよ。ワシントンでは、見た目が実力と見なされるわ。隙のない服装は、隙のない精神の現れよ。」

タッカーは、メアリーの前に戻ると、具体的なビジョンを語り始めた。

「貴女に必要なのは、プレジデンシャル・ネイビーの、威厳のあるジャケット。純白の、硬い襟のシャツ。そして、貴女の燃えるような意志を象徴する、血のように赤いネクタイだ。スカートではない、大地にしっかりと立つためのトラウザーズ。装飾は、唯一無二のリーダーを示す金色のラペルピン、ただ一つ。それは、貴女が誰であるかを、一瞬で世界に知らしめるための”ユニフォーム”となるでしょう。」

メアリーは深く頷いた。

「間違いないわ…私の”ユニフォーム”を作らなくてはならないわね。」

その言葉を聞き、タッカーは初めて笑みを浮かべた。

「幸い、最高の職人を知っています。彼は歴代大統領のスーツを仕立ててきた男なのですが、今のワシントンの軟弱さにはうんざりしているようです。彼は、君のような『本物』のリーダーのために、その腕を振るいたがっているでしょう…明日、採寸に行きましょう。」

そうして、初めての顔合わせは幕を閉じた。


…かのように思われた。

「それでは、我々は移動する。ここは”仮拠点”に過ぎない。我々の”本拠点”へと向かうのだ。」

全員は困惑の表情を浮かべた…全てを知っている、メアリー以外は。


全員はイーロンによって手配されたプライベートジェットに乗り、テキサス州ダラス某所に位置する、近年建築された70階建て超高層ビル”パトリオット・プラザ”へと移動した。専用エレベーターに乗り込み、”本拠点”に到着した時、メンバーは圧倒され、驚愕と感嘆が混ざった表情を浮かべた。


そこに広がるのは、伝統的かつ贅沢ながら、機能的な空間だった。それこそがリバティ・テーブルの新しい”本拠点”なのだ。


実は、イーロンとリバティ・ガールズが会談を終えた時、既にイーロンの頭の中にはこの構想があった。リバティ・テーブルが最大限の力を発揮するためには、ホテルの一室や普通のオフィスビルでは不可能である…最大限に機能的かつ、対外的にもシンボルとなりうる…そしてなにより”敵”の干渉を防ぐ拠点が必要であると。

彼はすぐに、スペースXやテスラ、ボーリングカンパニーといった彼が所有する企業から精鋭のエンジニアを呼び出し、もう一つの”タスクフォース”を組織した。そして、命じたのである。

「顔合わせまでに、リバティ・ガールズとその後援組織が最大限の力を発揮できるオフィスを作れ。それが出来ないなら、自分のオフィスに戻って荷物をまとめ、IDカードを返却しろ。」

当然彼らの答えは”YES”であった。彼らは何度もイーロンの”無茶振り”を受け、それに応えてきた精鋭なのだから。


すぐにイーロンのチームはオフィスの候補を選定、場所はテキサスで不動産業を営む富豪が所有する”パトリオット・プラザ”に決定された。直ちにイーロンのチームはプライベートジェットでテキサスに向かうとともに、その機内でスターリンクを用いて富豪と交渉し、68階から70階のフロアを丸ごと借り上げることに成功した。


そして24時間体制の工事と、汎ゆる手続きを無視した強引な許認可によって、タスクフォースは見事にこのタスクを完遂してみせたのである。


あまりのスピード感に、彼自身このことをメアリー以外のリバティ・ガールズやリバティ・テーブルに伝え忘れていた。だから、サプライズという形にしたのである。


「このオフィスは”オペレーティング・システム”だ。基本的なインフラは整えられているが、そこに何を設置するかは各専門家に任せる。好きな”アプリケーション・ソフトウェア”を入れると良い。ようこそ、”オフィス・オブ・リバティ”へ!」

イーロンが伝える。しかし、あまりの急展開に、その言葉が聞こえているものは居なかった。


68階は、マスメディアや重要な”ゲスト”をもてなすフロアである。記者会見場や応接間、ネット配信用のスタジオが存在する。

言ってみれば、オフィス・オブ・リバティの”外の顔”である。部外者はここまでしか立ち入れない。


69階は、実務のためのフロアである。ここにはマーカスやハリエットたちのチームが働くオフィスや、ジャックの”スマホ牧場”、タッカーのスタジオが存在する。彼らの仕事の成果を最大化するための、機能的な空間である。


そして、70階…ここは”聖域”である。メアリー・マーガレット・エマの執務室・居住スペース、バー・ラウンジ、そして活動方針と、アメリカの未来を決める”会議室”がある。

ここに立ち入ることが出来るのは、今ここにいるリバティ・ガールズとリバティ・テーブル中核メンバーしか存在しない。この”聖域”から、アメリカの未来は決められるのである。


メンバーはひとしきりオフィスを見学し、必要な”アプリケーション”を導き出した後、バー・ラウンジに集まった。

マーガレットが冷蔵庫からIPAの小瓶を取り出し、全員に配る。全員に行き渡った時、メアリーが高らかに宣言した。

「ここが、私たちの城。そして、ここが、新しいアメリカが始まる場所です。新しいアメリカに、乾杯!」


リバティ・テーブルという巨大な歯車が、動き出した瞬間である。


その晩、執務室に戻ったエマは、ラッキーストライクをふかしながら、今日の出来事について考えていた。

メアリーが凄いとは思っていた。彼女は成績も良かったし、大人相手でも物怖じしない強さもあった。愛国者として、ただ意見を述べるだけにとどまらず、パトリオット・ストリート・パトロールのような行動に移しても居た。

但しそれは、あくまで”優等生”の域を出ないものであった。


しかし、今回は違う。黒を白に、白を黒に塗り替えてしまうような”怪物”たちが、メアリーに忠誠を誓い、その持てる能力を最大限発揮していた。もはやそれはメアリーが”優等生”という型に嵌まった存在ではなく、寧ろ型を作る側に移ったことを示していた。


何にせよ、メアリーが世界を変えたいなら、自分は喜んでそれを支えようと思った。

「…何をするにしても、私はただ支えるだけ。」

ダラスの摩天楼は、まだ煌々と光が灯っていた。

毎回好きなだけ書いているので、文字数がバラバラですね。実際何千文字が読みやすいんですかね?

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