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Episode3 キュ◯べえ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」リアル・アイアンマン「私が来た!(?)」

まあアイアンマン出ているし、同じヒーローですから魔法少女モノですね!()

彼女らの作戦はこうだ。


まず、FOXニュース出演によって狂乱状態となっているXにアカウントを作成する。3人それぞれの個人アカウントと同時に、これからの活動に備えた公式アカウントも作った。


その名は────"Liberty Girls"

(この名前はマーガレットの発案によって決められた。因みに後の調べによると、初出は4chanのQアノンスレである。)


メアリーの目論見通り、公式アカウントは何も投稿しなくても順調にフォロワー数を増やした。1時間で1万フォロワーを突破し、一時は機械的な凍結が危ぶまれたほどである。


ひとしきりフォロワー数の増加が落ち着いた頃、メアリーは初めての投稿を行った。


”私達は先日、故郷テキサス、そして祖国アメリカを侵略する脅威である怪人を撃退することができました。もちろんこれは日頃の積み重ねと、アメリカの強さがなし得た当然の帰結であると考えていますが、その一方でこれからもっと強く、邪悪で、危険な怪人が現れる可能性も否定できません。私達はより強くならなくてはならない…そこで、ある不思議な存在────仮に妖精と呼びましょう。彼が契約を持ちかけてきました。しかしながら問いただしたところ、彼の持ちかける契約はどうやら私達にとってかなり不都合なものであるようです。彼は私達の国を守ろうという愛国心に漬け込み、自己利益を追求し、居眠りジョーの手助けをしようとしたのです!私たちはこのような事態を間一髪で避けましたが、その一方で何かしらの契約を結び、新たな力を得ることは、未だ全てを解明できていない怪人と戦う上で必要でしょう。この契約を正当なものにするため、私達は弁護団を結成し、アメリカ式の契約というものを、傲慢不遜な妖精に叩き込む必要があると考えております。そこで皆様にお願いがあります。私達に力を貸してほしいのです。弁護士費用や、これから怪人と戦う上での装備の拡充などに使う力が必要なのです。寄付用口座の情報はあとで投稿します。皆様の尊い寄付を、お待ちしています。


追伸 もしこれを読み、この不当な契約に怒ることが出来る、愛国的で真っ当な弁護士の方がいらっしゃいましたら、メンションしてくださると幸いです。もちろん、私達は貴方がたに期待する素晴らしい働きに見合った報酬を払うでしょう。”


3人のスナップ写真とともに投稿されたこの投稿は瞬く間に拡散され、全世界を駆け巡った。


因みにこの投稿には、いくつかの嘘、若しくは情報操作スピンが含まれている。


まるでこの文章だと邪悪な妖精がか弱い少女を追い詰めているように見えるが、実際は真逆である。

それは、3人が集まって妖精と話し合ったときを見ればわかる。


「つまりね、光側の救世主であるトランプ大統領…現在も正当な大統領がトランプであることはさっき話したわね、彼をカムバックさせなきゃいけないのよ」

マーガレットはいつもの調子で、今日も真剣な顔で何処かから仕入れてきた陰謀論を語っている。いつもと違うのは、聞き手が包帯でぐるぐる巻きにされていることである。


なぜいつも飄々とした妖精が、今回に限って包帯まみれなのか。その話をするには、昨日に遡る必要がある。


メアリーは契約の話をするにあたって、まずはどういう契約を持ちかけてきたのか、妖精に対して”インタビュー”を行った。

「僕と契約して魔法少女になれば、一つ願い事を叶えるよ。その代わり魔法少女として怪人と戦ってほしいんだ。もちろん生身で戦えって意味じゃない。魔法を使って戦えるようにするし、身体能力も強化する。さっきの怪人みたいなある程度の回復能力も付与する。必要なら空を飛べるようにもするよ。」


一見、妖精側がまともなことを言っているように思える。しかしながら、メアリーが持つ天性の勘は、妖精が情報操作スピンを行っていることを見抜いていた。

「君たちは祖国を守りたいんだろう?」

「悪い条件ではないんだけど…なにか引っかかるわね。貴方、何かを隠しているでしょう?」

「言うべきことはちゃんと言っているよ」

その言葉を聞いた途端、メアリーはいきなり22口径のピストルを取り出し、耳を撃ち抜いた。

「ちょっと!いきなり何をするんだい!?」

「大丈夫よ。22口径だから。」


実のところ、メアリーはなにか具体的な理由があって妖精の耳を撃ち抜いたわけではない。なんとなく嫌な予感がした、という程度の理由である。(もちろん、なんとなく態度が不愉快だったという理由も多分に含まれている)

しかし、この予感は的中する。


「何が大丈夫なんだよ!…全く、これだから人間というのは度し難い生き物だな。」

その言葉を聞いた途端、メアリーは不敵に微笑みつつ口を開いた。

「ほら、やはり貴方、人間のこと嫌いでしょ。」

妖精は内心焦りを感じつつ、言い訳する。

「いや…そんなことは…」

「今ので確信したわ。本当の目的を吐くまで、”インタビュー”(強度の尋問)に付き合ってもらうわ。」


パトリオット・ストリート・パトロールでは不法移民や犯罪者を相手取るメアリーだが、彼らが一回の尋問で本当のことを言うことはない。だから、強度の尋問を何回も繰り返すことで、犯人を見つけ出す(或いは作り出す)のである。この技術は、当然この妖精相手にも使われた。(ちなみに、この場合の強度の尋問とは催眠術のようなもので、水やペンチ、電源装置などを用いることで相手が素直な気持ちになるよう仕向け、自発的に尋問に対し真実を答えるようにすることである。)


結局妖精は本当のことを言わなかったが、偶然の避けられない軽症の怪我をしてしまったために、心優しいメアリーによって包帯を巻かれているのである。


偶然とはいえ、怪我は恐ろしいものだ。妖精に多少ばかり怯えの表情が見えているのは、そういう理由である。


そういうわけで、か弱い少女を食い物にしていた悪しき"妖精"は、今や一人の少女の喫煙すら止められないほど衰弱しきっているのである。


さて、話を戻そう。Xのアルゴリズムと熱狂的な愛国者たちによって拡散されたこの投稿は、とある男の目にも入ることになった。


その男は投稿を見た瞬間、大笑いした。あまり笑うものだから、彼の息子は父親の植毛治療が無駄になるのではないかと心配したほどである。

その男の名は、イーロン・マスク。リアル・アイアンマンと呼ばれる、世界一の資産を持っている人物だ。


彼はすぐにメンションし、こう答えた。

「興味深い。非常に興味深い。地球外生命体との交渉か…次元間契約を専門にする弁護士が必要かもしれないな。これは我々の文明とその法的枠組みにとってのストレステストだ。最初の100万ドルは送ったと思ってくれ。話そう。スペースXの本社に来てほしい。」

そのメンションを見た時、三人は興奮を隠しきれなかった。

「強力な味方がついたわよ!これで怪人と、ディープ・ステートを袋叩きにできるわね!」

そう叫んだのは、もちろんマーガレットである。因みに彼女の中では既に「怪人はディープ・ステートが差し向けた地球侵略のための宇宙人」というのが事実になっている。

「嬉しいわね。ラッキーストライクが美味しくなるわ。」

エマはそう言うと、新しいラッキーストライクの箱を手早く開封し、新しいシガレットに火をつけた。

メアリーはロックグラスのバーボンを飲み干すと、早速パソコンに向き直り文面をしたため始めた。

「アメリカの正義のため、お力添え頂きありがとうございます。私どもも是非、一度お会いしてみたいと思っております。楽しみにしています!」


このスペシャルな会談はすぐにセッティングされた。場所はテキサスのスペースX本社。もちろんこの会談は、Xの「スペース」機能を始めとした様々なサービスで配信され、いくつかの愛国的なテレビ局も取材に来るようだ。


とは言えども、相手は気まぐれなポストでデイトレーダーを破産させる大富豪だ。メアリーは考えのすり合わせと、強固な支持を取り付けるため、会談の約束だけでは満足しなかった。

一般的にはこのような場合、直通の電話番号を交換し"ホットライン"を繋ぐ事が多い。しかしイーロンは電話を好まなかったし、メアリーはそれを理解していた。そしてメアリーは、もっと柔軟なやり方を考案した。


そう、XのDM機能を使うのである。さっそくイーロンのアカウントにDMを送ってみたところ、ものの数分で返信が来た。


この新しい"ホットライン"がなければ、イーロン・マスクの心変わりを防ぐことは出来なかったであろう…


一方その頃、妖精は耳の痛みに耐えながら考えていた。

「いくら粗暴と言えど、所詮後ろ盾のない少女に過ぎない。なんとか丸め込めるさ…」

既に少女たちのバックにはテクノリバタリアンの大富豪が存在することを、妖精は知らなかった。


なにげにこのエピソードまでが書くの大変でしたね。これ以降は割とスラスラ出てきます。AIの有料プランを契約して世界観を広げる話し相手してもらってるのもあるとは思いますが…

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