雑魚ヒーラーだと言われおはらい箱にされた資源召喚士だったが、機転を利かして無双する。
俺は17歳、四角 不断という男だ。
物心がつく前から、資源召喚士と呼ばれるジョブを教会で鑑定され、それで食って生きている。
このジョブの資源召喚スキルとは、スキルレベルに比例した回復量のHPやスタミナを回復アイテムなどを召喚したりステータスアップのバフを付与させられるアイテムを召喚する、といったスキルだ。
といってもいくらスキルレベルを上げても、回復やバッファーの本職であるクレリックやプリーストに敵わない。だからか――
「A。俺らのパーティ。もうお前の回復量じゃ間に合わないんだわ、だからこの子と交代だから」
気弱そうなクレリックらしき女子の肩をリーダーは抱き寄せた。
俺をあざ笑うかのように彼女の腰で聖水の瓶が揺れていた。
「ついでに言うとA。お前が自分のコテハンを決めないせいで恥ずかしかったんだよね。Aって呼ぶのダサいしね。ああ、これでこのダサさから解放される! やったぜ!! じゃあねA君!」
◇◆◇
こうして俺はソロになった。
殺傷能力の疎い俺のジョブではギルドで討伐クエストの類などは受けられない。
討伐クエストは割が良いんだけどな。
日々の収入が減少してしまった。
これで美味いものを食べたり趣味の書物漁りに制限ができてしまった。
悲しいなぁ。
とはいえ全く収入がなくなっている訳ではない。まぁ収入が0になったらもう生きていけないしな。だからまだそんなに焦っているわけではない。
露店だ。資源召喚スキルで召喚したアイテムを売る。
俺が普段、メインで活動している領域である、キタイ村の野外側のゲート前でだ。
この村を通るか通り過ぎる相手がターゲットだ。
ゲート外で露店を開いているのは特にキタイ村に用事がない通りすがりの冒険者を客として狙っているからだ。
キタイ村に入るためには通行料が必要で、クエストの最中でちょっとした補給がしたくなった時にわざわざ入場料を払って中の店に入るのは煩雑というものだからな。
そんなわけで露店。HP回復ポーション、MP回復ポーション、ステータスバフのポーション、毒消し、痺れ治し……等々。概ね冒険者が欲しがりそうなものは取り揃えてある。
これだけそろえていればどんな客が来てもある程度は対応できるだろう。
ちなみに以前パーティーを組んでいた時代に露店証をとってあるのでこのエリアで露店を開いても誰かに怒られることはない。
ゲートと反対側の森の方から誰かかが来る。
「いらっしゃい♪ いらっしゃ……!?」
ボロボロの女冒険者だった。どうやら命からがらこの安全地帯まで逃げてきたらしい。弱弱しい呼吸をしている。
「大丈夫か!? とりあえずこれを食え!」
ここで取り出したのは資源召喚スキルで召喚した、特性のニンジンである。ポーションに加工する前のオーガニック(?)製品だ。加工前だけに、栄養素の抜け落ちが発生していない。戦闘中などでは手軽にすぐ接収できるポーションのような飲料のほうが重宝されるが今は非戦闘時。咀嚼に手間のかかる固形物を、死にそうな相手にポーションよりも優先して与えるのはどうかと思われるかもしれないが、栄養素だけ見るならこっちのほうが良いはずだ。
ニンジンの先を彼女の口元に運ぶ。
「くんくん……はむ……ちろちろ、はむ……ぺろぺろ」
栄養満点のニンジン。下処理はしてあるのですぐ食べられる。普通に畑でとれるものとは違って、俺の精魂が籠った特性のニンジン。まず風味から違う。彼女もその匂いを感じ取ったようだ。夢遊病にも似た朦朧とした状態でにんじんを食べている。
ほどなくして……彼女は体力と正気を取り戻した。
「この度は、瀕死の状態を助けていただき、ありがとうございました! あんなりっぱな…ニンジンを恵んでいただいて……」
なぜ顔を赤らめる?
「ところで、どうしてあんな死にかけだったんだ。何があったんだ? モンスターの大量発生の時期でもあるまいし」
「それはですね……」
要は、彼女が住んでいた村。ヒカン村が何者かによって呪いがかけられモンスターの温床になってしまったらしくて、それを取り戻すために彼女は一人身でモンスターと戦っていたらしい。
なんて無謀な……しかし、ふむ。
「力になれるかもしれない」
「本当ですか!? でもあなたは殺傷系の能力をお持ちでないようですが、どうやってモンスターと戦う気なのですか?」
「上手くいくかは分からんが、可能性はあるからな」
こうして俺と女冒険者はヒカン村に向かった。
◇◆◇
ヒカン村に行くとモンスターに荒らされている悲惨な村の姿と……
「あいつらなんでこんなところに……」
以前所属していたパーティーがなぜかモンスター掃討をしていた。劣勢だったが。
「うわああああああ! なんで、こいつら倒しても倒しても湧いてきやがる!! ギルドでやけに報酬が良いクエストだと思ったらこれかよ! いったいどうなってやがる! 回復急げ―!」
「MP切れで回復スキル使えません!!」
「詰んだああああああ、誰か助けてくれー」
哀れだなぁ。まぁアイツらならモンスターから逃げ切れるだろう。
女冒険者は心配そうな面持ちだ。
「それでどうするんですか?」
「下調べは済んでいる。後はこれを使うだけだ」
◇◆◇
以前所属していたパーティーの俺と入れ替わりで入ったクレリックが腰につけていた聖水。
あれは見るからに退魔効果の高い代物だと分かった。資源召喚士の特有の鑑定スキルだ。
使えそうな者だと分かったからにはやることは一つ、ラーニングだ。
クレリックが持っていた聖水を分析して再現する。
オリジナルよりは性能が下がるがそれでも高い退魔効果がある。
日ごろから商品になるものに鼻を利かせていたから成せた。
偶然だったがこんな展開になるとは……
これを事前に調べていたヒカン村の全ての霊脈にまく。
するとどうだろう、劇的なスピードで村が蘇った。
モンスターは残り残らず消滅した。
ヒカン村の呪いは解かれたのだ。
◇◆◇
「もうここには帰ってこれないかと思いました! ありがとう! ありがとう!」
「あれだけのモンスターをいったいどうって? すごいです!」
そんなに褒められる事をしたつもりはないのだが。
女冒険者が俺に聞く。
「あの私の村まで救ってもらってありがとうございます。あの。最後に一つ聞いても良いですか?」
?
「あなたの名前は?」
「そうだな。俺の名は……A」
まだハンドルネームは未定だった。
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