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第二十八話 魔道具店メリッサ


「やっぱり人通りが多いねぇー」


「そう?いつもこのくらいだと思うけど」


「初めてこの都市に来た時よりは慣れたけど……やっぱりちょっと緊張しちゃうなぁー」


「まあ、時期に慣れるわよ」


「そうだといいなぁ〜」


現在時刻は午前九時を過ぎた頃……イルマとセラの二人は、とある冒険者パーティーとの決闘を終えてから一夜明け、メルトア内の主要な地区の一つである北地区内の通りを歩いていた。


「そういえばセラ、今日はどこに行くの?」


「魔道具店よ」


「魔道具店かぁ……確か、前に一緒に来た時は行ってなかったよね?」


「ええ。魔道具って結構値が張ったりする物なんかもあるから……もし行くんならもう少しお互いに金銭に余裕ができてからがいいと思ったのよね」


「なるほど……(確かに今なら……)」


二人は初依頼の報酬と護衛依頼の報酬に加えて港町エレイムでの活躍によって頂いた御礼金もあるので、それなりには金銭に余裕ができていたのだ。


「私の行きつけのいい場所があるのよっ!今日はそこに連れて行ってあげる」


「どんなお店なの?」


「ふふふ、それは行ってからのお楽しみっ!絶対に気にいると思うわ!」


「そっかぁ……(魔道具のお店かぁ……魔法が使えないあたしでも扱えるような道具があるといいなぁ〜)」


イルマはセラに連れられて、とある魔道具店を目指して進む……


……………


………


「この先をちょっと行ったらもうすぐよ」


「ここを通るの?」


「そうよ」


セラは足を止めてとある場所を指差す……そこは建物と建物の間にある狭い道で、いわゆる裏道とよばれるものだ。


「じゃあ行くわよ」


「う、うん」


二人はその裏道を歩いて進んでいく…………


「(ちょっと薄暗いなぁ……)」


イルマは歩きながら辺りを流し見る……今は日中で陽が昇っているはずだがこの通りは少し薄暗く、真横の壁には所々に蜘蛛の巣が張っていた。


「(ほんとにこの先にお店があるのかな〜)」


イルマがそんな事を考えているとセラが……


「店長さん、すごい格好してるからたぶん驚くわよ」


「すごい格好?」


「ええ。私も初めて行った時は驚いたもの」


「どんな感じなの?」


「それはね…………っと言ってるうちに、着いたわね!」


「…………ここが、魔道具店?」


二人はとある店の前で足を止める。


「……魔道具店、メリッサ?」


イルマが店の入り口の上に設置された看板を見て呟く。


「そう。ここが今回の目的地、魔道具店メリッサよっ!」


北地区の通りにある狭い裏道の先にその店はあった。辺りに他の店などはなく、人通りも全くなかった。


「ほんとにこんな場所にお店があるなんて……」


「ふふ、ここはいわゆる裏店舗ってやつよ。……早く入りましょ?」


「うん」


イルマとセラの二人は魔道具店メリッサなる店に入っていく。


「…………何だか、ここ……」


「新商品が入るって言ってたから楽しみだわ」


店の中は外同様に薄暗く、そして灯りの色が桃色だからだろうか……何やら怪しい雰囲気に包まれていた。


「あら、セラちゃんじゃない?いらっしゃい」


「メリッサさんっ!……お久しぶりです!」


「うふふふふ、前に来たばかりじゃない」


そう喋るのは一人の年齢不詳の女性だ。紫色の長い髪に髪色と同じ紫色の綺麗な瞳をしている。


「こ、この人が店長さん?」


イルマは何やら顔を赤らめその女性を見ている……何故ならその女性の装いがかなり目を引くものだったからだ。着ている衣服は女性の大きな胸を強調した極薄のドレスで、その下にある下着が丸見えになっていてかなり色っぽい格好だ。


「あら?隣の子はお友達?」


「そうです!」


「へぇ〜」


魔道具店の店長であるメリッサはニヤリと笑みを浮かべると、コツコツと自身の履いているハイヒールで音を立てながら歩き、イルマに近づく。


「うふふ、可愛い子ね」


メリッサはいやらしい笑みを浮かべながらイルマをじーっと見ている。


「あ、あの……」


イルマはメリッサから視線をずらして顔を赤くしている。


「ん?どこを見ているの?」


「そ、その……(このお姉さんエッチすぎるよぉ……視線に困る……)」


イルマが困ってもじもじしているとセラが……


「メリッサさん、確か今日は新商品が入るんですよね?」


「ん〜?……ええ、入ってるわよ」


「じゃあ、見させてもらいますね。イルマ、いこ?」


「う、うんっ!」


セラはイルマの手を引いて店の奥の方へと向かった。


「あらら……行っちゃった」


メリッサは少し残念そうに二人の行った方を見ている。


「セラ、助かったよ……」


「ふふ、メリッサさんエロすぎるから見る場所に困るよね」


「うん……何であんな格好してるんだろ?」


「多分趣味でしょ。私、初めて会った時娼婦かと思ったもの」


「あたしもここに一人で来てたら、多分同じこと思ってたよ」


二人は店の奥まで来ると、店内に置かれている魔道具の数々を順に見ていく。


「色んなのがあるねぇ……」


「ここはちょっと高い物もあったりするけど、品揃えは完璧よ。ここにくれば欲しいものは大抵はあるわ」


イルマは置かれている商品を色々と見ていて、とある物に目が留まる。


「この杖……すっごく綺麗だなぁ……」


青色の魔石を埋め込んだ魔術師専用の長杖をイルマはぼーっと眺めている。


「ねぇセラ?」


「ん〜?」


「そういえば気になってたんだけど……セラって杖を使ったりしないの?」


「杖?」


「うん。昨日の決闘で戦ってた相手の魔術師は杖を持ってたじゃん……だから……」


「あー、杖ねぇ〜。私には必要ないわ。だって私、素手派だもの。杖なんか持ってても邪魔なだけよ」


「そっかぁ〜、なるほど」


「まあ、昨日やったみたくぶっ叩くぐらいにはあってもいいかもしれないけどね」


セラは昨日の決闘で敵の魔術師の杖を使ってその魔術師をたくさんぶっ叩いたのを思い返す。


「なるほど、近接武器として使用する分にはいいってことか」


「まあそんなとこね。…………ねぇイルマ、話変わるんだけど……」


「ん?」


セラは自身の目の前にある商品を眺めながらイルマに質問する。


「イルマって処女?」


「…………え?今なんて?」


「イルマって処女?」


「…………えッ!?な、何……何でそんなこと今聞くの!?」


「とっても大事なことだからよっ!で、処女なの?」


「し、知らないよッ!!て、ていうか……処女って何!?」


「いや、絶対意味分かってるでしょ?」


「だ、だから知らないってっ!!何よ、その……処女って……」


「まあいいわ、その反応からするに処女でしょうし」


「何でそんなこと聞いてくるの!?」


「だから大事なことだからよ」


「…………じゃ、じゃあ……セラはしょ、処女なの?」


「ええそうよ。当たり前でしょ」


「そう、なんだ…………あ、あたしも……一緒……」


「それは知ってる」


イルマはセラの突然の予想外な質問にかなり焦っていて興奮気味だ。


「そ、それで……何でそんなこと聞いてきたの、今?」


「これを見てほしいのよ」


「ん?……何、これ?」


「いやいや、見ての通りよ……アレよアレ」


「え……?」


二人の見る先にあるのは……まあ、簡単にいうとアレだ。内側に入れて振動で快楽を感じられる……大人のおもちゃというやつだ。


「ねぇセラ、この棒みたいなの何に使うの?」


「えッ!?イルマ、知らないの?」


「うん」


セラは予想外の事態にかなり驚いていて、イルマは棒のような何かを不思議そうな顔をして眺めている。


「そうかー、知らないか(イルマって、指派なんだぁ―)」


セラは何かを理解したようだ。


「ねぇ、これって何に使うやつなの?」


「あー、えっとね……」


セラはイルマに耳打ちでこの棒のような何かの使い方を詳しく説明していくと、段々とイルマの顔が赤くなっていき……


「な、何でッ!?何でこんなのがあるのよッ!!!」


イルマは大きな声でそんな事を言い放った。


「ちょっと、店内では静かにしないと」


「だ、だって……おかしいよ、ここは魔道具のお店でしょ?なのに、何でこんなのが置いてあるの……?」


「だってそりゃあ……ここは魔道具とエッチな道具を取り扱うお店だから……」


「え?」


「だから置いてあるのは当たり前よ」


「セラ……あたし、そんなの聞いてないんだけど……?」


「あら、言ってなかったかしら?」


「言ってないよッ!!そんなこと」


セラは何やらとぼけていて、イルマはセラから聞かされた事実に少し怒っているようだ。


「そんなに怒らないでよ……ほら、これ」


「何これ?」


セラは棒のような大人のおもちゃの隣に置いてある透明な液体の入った入れ物をイルマに手渡す。


「もしもこれを買うんなら、絶対にこれも買わなきゃダメよ。聞いた話によるとこれをつけないと痛くて使えないらしいのよね」


「セ、セラ……あのね……」


イルマは何となく手渡された物の使い方を察して……


「あたしッ!!買わないからッ!!!」


「それは知ってるわ。だって、処女の人が使うのは……やっぱり危ないっていうし……」


「じゃあ、何で聞いたの?」


「一応。何となく」


「…………(セラって、こんな人だっけ……?)」


イルマは怒りを通り越して呆れた様子だ。


「ねぇイルマ、今日は新商品が入ってるのよっ!早く見に行きましょ?」


「…………」


セラはイルマの手を引いて新商品が置かれている場所へと移動する。


「これよコレッ!ずっと欲しかったのよ」


「これは何?」


「見ての通り、簡単なコスプレ衣装よ」


そこには二種類の衣装があった。一つはサキュバスタイプ、もう一つはエルフものだった。


「欲しかったのよっ!このエルフの付け耳」


セラはそう言うとエルフの付け耳を両耳に付ける。


「どう、これ?めっちゃエロくない?エルフって、エルフってだけでエロいからさ、この店にこれが入るって分かった時からずーっと欲しかったんだよねっ!この付け耳」


セラはとても嬉しそうに付け耳を指でつついている。


「よかったね……」


「ええ、最高よっ!」


イルマは呆れた顔でセラを見ている。


「よしっ!次はあっちよ!アレも欲しかったのよね」


そう言うとセラはまたイルマの手を引いて移動していく。


「(次は、魔道具だといいな……)」


イルマはセラに手を引かれながらそんな事を考えて……しばらくの間セラの買い物に付き合うのだった。


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