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第十五話 エレイムへ……


「待ったぁ?」


「いや、今きたとこだよ」


現在時刻は朝方……イルマとセラの二人は昨日の約束通りに冒険者ギルド前に来ていた。


「行こっか?」


「うん!」


二人は冒険者ギルドの中へと入っていく……


「「お姉さーん!!」」


「おやっ!これはお二人さん、おはようございます!」


二人は受付のお姉さんと軽い挨拶を交わす。


「依頼者の方はもう来てるの?」


セラが辺りをキョロキョロしながら尋ねた。


「はい。今お連れします」


そう言うと受付のお姉さんが依頼者を連れてきた。


「こちらの方になります」


「は、初めまして!!きょ、今日は何卒、よろしくお願いしますっ!」


少し緊張したように喋るのは桃色の髪を背に届くまで伸ばした可愛らしい女性だ。


「「はい、お願いします!」」


イルマとセラも軽く会釈をして挨拶をした。


「で、ではっ!早速ですが行きましょうっ!」


依頼者の女性は二人に声を掛けてギルドの入り口へと歩いて行った。


「緊張してるのかな?」


「たぶんそうでしょ」


二人もその後を追う。


……………


………


その後、三人はギルドを出て目的のエレイムに向かうべく、都市の外にある街道付近で出発の準備をしていた。


「デッカぃ鳥ーっ!!」


イルマの目前には今回の物資を運ぶ為の巨大な運搬専門の鳥獣がいた。


「かなり大きな種ね」


「はい。この子は――私のお友達なんですっ!」


そう言うと商人の女性は鳥獣に抱きつく、鳥獣も何やら嬉しそうだ。


「あたしも、もふもふしたーいっ!」


イルマも鳥獣に抱きつこうとする――しかし、鳥獣が急に物凄い雄叫びを上げ拒絶した。


「ひゃぃっ!?」


イルマは鳥獣の予想外の反応に驚いて腰を抜かす。


「あっ!すいません!この子、私にしか懐いてなくて……他の人が触れようとするといつもこうなっちゃうんです!」


商人の女性が申し訳なさそうに謝っている……


「うぅ……」


鳥獣は物凄い剣幕でイルマを睨みつけている……それを見てイルマはちょっと怯えていた。


「怖い顔ね……(私に対して今みたいな態度を取ったりなんてしたら、殺しちゃうかも……)」


セラは少し不機嫌そうに鳥獣を見ている。


「……ではっ!行きましょうか」


そう言って商人の女性は荷馬車に入って椅子に座り、鳥獣の手綱を握る。


「私たちも行きましょ?」


「うん……」


二人も荷馬車に乗って……いよいよ海沿いにある港町エレイムへと出発するのであった。


……………


………


「結構速いねぇ〜!」


「そう?私の牙獣の方がぜんぜん速いわよ」


都市を出て数時間……三人は順調に目的地に向けて進んでいた。


「お二方っ!この調子なら、夜までには着きそうですよ!今日はよく風が吹いてる、この子の調子も絶好調ですよ!」


商人の女性は後方の荷馬車の中に座る二人に声を掛けた。


「だってセラ、今日中には依頼達成できそうだね」


「まあ、順調に行けばね」


「それにしても、風が気持ちいねぇ〜!」


イルマは荷馬車から軽く上半身を覗かせて、風に当たっている……赤色の長髪が風に揺られてなびいている。


「危ないわよっ!(全く、子供なんだから!)」


セラは微笑みながらイルマを注意する。


「……ん?」


「どうしたの、イルマ?」


イルマの前方……遠目の先に何かが見える。


「何だろ……あれ?」


「どれどれ……」


セラも荷馬車から顔を覗かせて確認する。


「……何も見えないわよ」


「近づいてきてる……」


セラには未だ見えないようだが、イルマには徐々にはっきりと見えはじめていた。


「あれはっ!」


イルマはこちらに近づいてきているのが何か、はっきりと理解した。群れだ、牙獣の群れ……だが、ただの群れではない。牙獣の背に人が乗っている、数からして六十〜七十匹程の大群がこちらに迫ってきていた。


「セラ!あれは多分、受付嬢さんが言ってた盗賊だよっ!」


「盗賊ッ?……そうなの?私にはまだ何か判別はつかないけど……すごい数の何がこっちに近づいて来てるのは分かるわ」


徐々に徐々に盗賊の群れは二人の乗る荷馬車へと近づいて来ている。


「桃のお姉さんっ!!盗賊がこっちに向かって来ています!」


「桃っ!?……は、はい!何か凄い数が近づいて来てるのは私にも見えます。あれが噂の盗賊なんですね?」


「はい!恐らく――」


イルマは商人の女性に注意を促している。


「二人とも捕まっててくださいっ!スピードを上げます!」


そう言うと商人の女性は、手綱を使って荷馬車を引いている鳥獣に指示を出し、スピードを上げていく……しかし、盗賊の使役する牙獣もかなりの速さで、みるみるうちに距離を詰められていく。


「……ッたく!遅いわねッ!(このままじゃ追いつかれるわ……仕方ない)」


セラは荷馬車から上半身を軽く覗かせて、こちらに向かって近づいて来ている盗賊の群れに対して指先を向ける――そして。


「死ねッ!」


直後ッ!セラの指先から一筋の雷線が放たれる!放たれた雷線は一直線に飛んでいって牙獣の背に乗る盗賊の一人に見事命中し首から上を消し飛ばす。


「ひぇッ!?何だっ!?」


頭部を吹き飛ばされた者の隣を走っていた盗賊の一人が素っ頓狂な声を上げ、頭を吹き飛ばされた者は首から大量の血をまき散らしながら、牙獣の背から崩れ落ちた。


「命中ーッ!どんどん逝かせてあげるっ!」


「セラっ!?」


セラは満面の笑みで次なる的を見据えていて、イルマはセラの突然の攻撃にちょっと驚いていた。


「死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇぇーッ!!」


セラが自身の指先から超速の雷線を四連射ッ!四発とも一直線にこちらに迫る盗賊の群れに飛んでいき――


ドバァンッ!ドバァンッ!ドバァンッ!ドバァンッ!


四発とも正確に牙獣の背に乗る盗賊の頭部に命中し、まるでトマトが破裂したように頭が吹き飛ぶ。


「「――ッ!?」」


頭部が吹き飛んだ者達の近くにいた他の盗賊のメンバーが突然の出来事に、言葉にならない叫び声を上げている。頭が吹き飛んだ四人は首から血を噴きながら牙獣の背から崩れ落ちていった……


「しゃあッ!!全弾命中っ!」


セラは軽いガッツポーズをして喜んでいる。


「セラ……」


そんなセラを見てイルマも楽しそうに笑っている。セラが喜んでいるのでイルマも嬉しいのだ。


「ねぇねぇ、見た見たっ?全弾的に当たったわっ!」


「ふふ、もうっ!セラったら!」


「……何、あの子達……悪人とはいえ人を殺してるのに、何であんなに楽しそうなの?」


そんな二人を商人の女性は遠目に見ていて……ちょっとした恐怖を感じていた。


「おいッ!!お前ら!鳥獣を狙え、荷馬車を止めろ!」


一人の盗賊がそう言って、他の盗賊達が鳥獣へと迫っていた……気づけばかなり近くまで来ていて、もう振り切るのは無理そうだ。


「お姉さんっ!荷馬車を止めて!鳥獣が殺られたら面倒だわ!」


セラが商人の女性に荷馬車を止めるよう促す。


「で、でも……」


「いいからっ!早く止めろッ!!」


「は、はいっ!」


セラに怒鳴られて商人の女性は鳥獣の手綱を引き、荷馬車を止めた。


「セラっ!」


「分かってる!」


イルマとセラの二人は荷馬車が止まると同時に、颯爽と外に飛び出した!


「よくも俺の部下を殺ってくれたなッ!!」


そう言い放つのは大柄な五十代ぐらいの人相の悪そうな男だ。


「囲まれちゃってるねっ!」


「そうね!」


盗賊達は牙獣から降り、荷馬車を囲むように佇んでいる……逃げ道を封じているようだ。


「お前らッ!!覚悟しろよ!俺の部下を殺しておいて、ただで済むと思うなよ!!」


おそらく盗賊達のリーダーだろう、かなり怒っているようだ。


「あんた達、乗り物から降りてるけど……それじゃあすぐに逃げらんないわよっ?」


「はぁ!?……逃げる?」


盗賊のリーダーは予想外のセラの発言に唖然としている。


「だって……そうでしょ?貴方達、これから全員死ぬんだから……どうせ死ぬなら牙獣から降りずに少しでも生存する確率を上げるべきじゃないっ?すぐ逃げれるようにッ!!」


セラは辺りを見渡しながら、盗賊達に最善の行動を促す。


「お、お前ッ!舐めてんのかッ!!」


「舐めてなんかないわよ、あんた〜今の状況が理解できないの?まあ、仕方ないか!見るからに頭悪そうだし……バカだから野盗なんてやってんだろ〜?低脳で学が無いからどこにも雇ってもらえず、誰からも相手にされない……哀れな男だね!」


セラは笑みを浮かべて嘲笑っている。


「て、てめぇッ!!この状況でよく言えるなっ!おい!お前らっ!!あの銀髪女だけは殺すな!じっくりと時間をかけて嬲り殺してやるからなぁッ!!」


「ねぇイルマ、でかい声で喚いてるあの男だけは殺さないでね!自分が今置かれている状況にすら気づけないバカッ!!だから、後で私自ら教育してあげる!」


「うん。分かったよ!」


セラはニヤニヤした顔で、野盗のリーダーを尻目に見て――大きな声でイルマに告げる。


「お前ら!!殺っちまえぇぇぇぇーッ!!!」


「セラ!来るよ」


「ええ、実力の差ってやつを教えてやるッ!!」


「桃のお姉さんは隠れてて、全部終わるまで!」


「はいっ!」


盗賊達が二人に向かって突っ込んで行き――イルマとセラは応戦するように身構えて、商人の女性は荷馬車に身を潜め……今、盗賊達と二人の戦闘が始まった……




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