ピパロン王国警備隊 第19話 パニック電話は幸せの声
〇最初の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「はい、こちらピパロン王国警備隊です。」
「もしもし、生姜醤油ラーメン3人前大盛りで。」
トーマ隊長「は?」
「いや〜、高速道路のパーキングで食べた生姜醤油ラーメンが予想外の大ヒット!また生姜醤油ラーメンが食べたくなってね。」
トーマ隊長「ああ、越後川口SAの生姜醤油ラーメンね。食べる前は全く期待してないけど、食べるとコレが美味しいんですよね。」
「そう!と、いうわけで、3人前大盛りよろしく!」
トーマ隊長「あ、いや、だから、こちらはピパロン王国警備隊ですが・・・」
「え?生姜醤油ラーメンで有名な青繁食堂さんじゃないの?000-11-2222番でしょ?」
トーマ隊長「いえ、111-22-3333ですが・・・」
「ええっ!じゃあ最初に言ってよ!全く、サービス悪いな!すぐラーメンが届かなかったらお前のせいだからな!」
ガチャ!
トーマ隊長「ええっ!最初にピパロン王国警備隊ですって言ったじゃないか~、なんで俺が怒られるんだ・・・」
〇次の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「はい、こちらピパロン王国警備隊です。」
「あの、大変です!私の大事なヒロちゃんがいなくなったのです!」
トーマ隊長「ええ!子供が行方不明ということですね。状況を教えて下さい。」
「はい、私がキッチンで可愛いヒロちゃんのお昼ご飯を準備していると、突然、ヒロちゃんの鳴き声がして、慌ててお庭に行った時には、ヒロちゃんの姿が見えなくなってしまっていて・・・」
トーマ隊長「うーん、ヒロちゃんは何歳ですか?」
「1歳と5ヶ月です。まだ1人で外に出たことなんかないのに。私、家の周囲を一生懸命探したんです。でもどこにもいなくて。ああ、今頃、怖い目にあっていないかしら?わたし、不安で。」
トーマ隊長「そうですね、その年齢では1人で遠くへは行けないですね。これは誘拐事件の可能性も。」
「ええ!なんて恐ろしいことを!どうしましょう・・・」
トーマ隊長「大丈夫です!このトーマ隊長が必ず探し出してみせますよ。ヒロちゃんの特徴を教えてください。」
「はい、口が大きくて、丈夫な歯が生えています。」
トーマ隊長「ほう、1歳にしてはすごいですね。」
「あと、背中には固いブツブツがいっぱいあります。」
トーマ隊長「皮膚炎とか発疹とかでしょうか?」
「いえ、生まれつきです。」
トーマ隊長「生まれつき?」
「はい。好きな食べ物はカエル、ヘビ、ミミズ・・・」
トーマ隊長「・・・お子様ではないのですか?」
「はあ、子供のように大事にしているワニの子供です。」
トーマ隊長「ええっ!それは大変だ~」
「今頃、おなかを空かして変なもの食べてないかしら・・・」
トーマ隊長「ひゃ~、市民が危ない!早く捕まえないと!」
「乱暴なことはしないで下さいね、あの子、ああ見えて臆病なの。」
トーマ隊長「・・・はい、かならず見つけ出します。」
〇3番目の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「また電話かよ~、ワニ探しで忙しいのに!なんでこんな時ルミ隊員はパトロールなんかいってるんだよ~。
はい、こちらピパロン王国警備隊です。」
ルミ隊員「あ、トーマ隊長ですか。ちょっと大変なことがあるんです!」
トーマ隊長「今は忙しいからまたあとで!(ガチャッ)」
プルルルル、プルルルル
ルミ隊員「切らない出下さい!本当に大変なんです!」
トーマ隊長「わかったよ。ちょっとだけな。」
ルミ隊員「パトロール中にラーメンの出前の人と出前を頼んだ人が揉めていて・・・青繁食堂って知ってますか?」
トーマ隊長「ああ、生姜醤油ラーメンで有名な青繁食堂ね。」
ルミ隊員「出前の人が「ラーメンはワニに食べられたからない」と言っているらしいんです。」
トーマ隊長「な、なんだって?!」
ルミ隊員「あまりに下手な嘘なので、頼んだ人が怒ってしまって、お前が食べに違いない!って。ワニが街中にいるわけないし、ワニがラーメン食べるなんてきいたことないし・・・」
トーマ隊長「あわわわわ・・・」
ルミ隊員「今度は出前の人が怒ってしまって、早くワニを捕まえろって、私に詰め寄るんです。トーマ隊長からも、ワニなんかいるわけないって、説得してもらえないですか?」
トーマ隊長「大変だ!そのワニは本物だゾ~」
ルミ隊員「まさか?!」
トーマ隊長「さっき、ワニが逃げたと連絡があったのだ。早く捕まえないと、市民が危ない!」
ルミ隊員「わかりました!すぐにワニを探します!」
トーマ隊長「あ、あと、くれぐれもワニを怖い目に合わせないようにな。」
ルミ隊員「???、はい・・・」
トーマ隊長「ちなみに、出前の中身はなんだった?」
ルミ隊員「生姜醤油ラーメン大盛り3人前です。」
トーマ隊長「やっぱり!いや、こっちの話しだ。頼んだぞ!」
ガチャッ!
トーマ隊長「なんだかややこしくなってきたぞ。ふう~」
〇4番目の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「また電話かよ~
はい、ピパロン王国警備隊です。」
「あのさ、さっき生姜醤油ラーメン大盛り3杯の出前を頼んだけと、お宅の配達員がワニに食べられた!とか嘘をつくんだよ。」
トーマ隊長「あ、いや、それは・・・」
「大至急、生姜醤油ラーメン大盛り3杯持ってきてくれよ!さっき来た警備隊の隊員もワニがいるとかいってるし。そんな訳ないだろ。」
トーマ隊長「いや、本当にワニはいるんですよ!まだ傍にいるかもしれないので十分気を付けください。あと、ここは青繁食堂じゃない!警備隊です!」
「え、本当なの?じゃあ、早く捕まえろよ。ゆっくりラーメンも食べられないじゃないか!」
ブチッ!ツーツーツー・・・
トーマ隊長「なんなんだ、コイツは・・・お前がワニに食べられればいいんだ・・・青繁食堂はきらいだ・・・ブツブツブツ・・・」
〇5番目の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「・・・はい、なんでしょう?」
「聞いてください!ヒロちゃん、帰ってきたんです!」
トーマ隊長「ええっ!」
「本当に、もう、嬉しくて、安心しました。色々と相談に乗って頂いてありがとうございます。」
トーマ隊長「・・・はあ・・・」
「なんか、強烈な生姜の匂いがするんです。何か変なものを食べたのではと心配です。」
トーマ隊長「生姜醤油ラーメンの大盛りを3杯も食べたんですよ。」
「まさか、ワニがラーメンを食べるわけないじゃないですか。あなたも面白いお方ですねえ、オホホホ。生姜醤油ラーメンがお好きなのですか?」
トーマ隊長「本当に生姜醤油ラーメンを食べたんですよ!それと生姜醤油ラーメンは大嫌いです!・・・失礼しました。無事で良かったですね。」
「ええ、本当に。もう、1人でお外に行かないよう気を付けます。」
トーマ隊長「それはこちらからもお願いします。では。」
ガチャ、ツーツーツー
トーマ隊長「今日は酷い電話ばかりだ・・・
なんかついてない日だ。疲れた~」
〇最後の電話
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「ウヒャー、もう電話は出ないぞ。でないっ!」
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「でないぞ!」
プルルルル、プルルルル
トーマ隊長「・・・ピンボンパンポーン♪
本日の営業は終了しました。明日、また、掛け直してください。」
ルナ隊長「あら、トーマ隊長ですか?ルナです。」
トーマ隊長「ル、ルナ隊長!?」
ルナ隊長「近くまで来たので、ルミちゃんとランチしようかと思って。」
トーマ隊長「ルミ隊員はパトロール中です。」
ルナ隊長「あら、そうですか。近くに生姜醤油ラーメンで有名な青繁食堂があるのでルミちゃんと行こうかと思ってたのですが・・・トーマ隊長、ご一緒に行きませんか?」
トーマ隊長「ええっ!青繁食堂の生姜醤油ラーメン!」
ルナ隊長「あら、お嫌いですか?」
トーマ隊長「いえ、大好きです!行きましょう!」
ルナ隊長「よかった!では、青繁食堂で!」
トーマ隊長「はい!なんかきょうはとてもいい日と思えてきました!」
ルナ隊長「???」
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