流れ星になった猫たち
あ、流れ星だ❕
はやくお願いごとしないと・・・
人間はお空をみあげて何かを願います。
それは、たとえば健康だったり恋愛だったり何かしらの成功だったりさまざまだ。
僕らは流れ星に乗って願いをかなえるようにお星さまのボスに願う。
けっこうききめあるんだよ、だって信じる者は救われる、って言うじゃない?
バカにできないんだよ。
僕のしょうかいするね。
流れ星チロくん、9歳に地上から引っ越ししてきました。オス猫です。
夜中にぐあい悪くなって病院にも行けず天に旅だちました。
飼い主さんは1年もメソメソしてました。体もおかしくなってしまい
僕はさすがに心配になってボスに相談したんだ。飼い主さんを助けたいって。
そしたら一夜だけ会いにいっても言ってくれたんだ。
だから実行したのさ。
まずね、流れ星に乗って地上に舞い降りてリビングのソファで横になっているママの右耳に話しかけた。
「ママ、僕だよ。会いに来たよ」
僕は透明猫だからママには見えない。ママはびっくりしたように回りをきょろきょろしていた。だけど聞きまちがいかと思ったのか、また体をもとに戻した。だから僕は次に左耳に話しかけた。
「ほかの猫たちを可愛がってあげてね」
ママは今度は本当に起き上がってしまい、驚いたような顔をしていた。
家のなかはママしかいないのになぜ?みたいに。
で急に、ママは二階の寝室に上がりフトンに入った。僕は急いで追いかけたよ。
それで以前よくしていたようにママの体の上を横断してやった。胸や腹の上を遠慮なく、一緒に住んでた他の猫はしなかったけど僕はこれが好きだから。豆球でもみもみしながらスキンシップするのが。
ママはいよいよ仰天した。
フトンから起き上がって部屋中をうろついた。
「ママ、ここにいるよ」
懸命に叫んでも気づいてくれない。
声もママに届いていない。
だんだんパワーが薄れて行っていき、最後に僕はほかの猫の所に行き頼んだ。
僕のことで、ママやパパがこれ以上悲しまないで―
ママは家中を僕の名前を呼んで回った。
「幽霊でもいいから会いたいから、もう一度出てきて」
「チロ」と何度も僕の名前を呼ぶ。
僕はうれし涙を流しながら、お空に帰っていったんだ。
本当はママのそばにもう少しいたかったんだけどボスと約束したから。
僕のように流れ星になった猫は星の数ほどいるよ。たとえば事故や病気で早死にしてしまった命。天寿をまっとうして長生きできた猫は天国にいくよ、それでエンゼルの羽を天使からもらえる。僕の家族マイルケやマキコのように、20年近く生きたもの。ママやパパも思い残すことなくあきらめがついたみたい。
だから僕たちと別格。
僕らはね、短命で自分や周りが不幸だった分、人間に何かを与えなきゃならない。願い事かなえるようよう努力しているんだ、一日一善。だから、一日一回は流れ星に乗っている、エンゼルの羽みたく。ボスから与えられた義務というか任務、かっこいいだろ?
僕と同じように流れ星になったパパとママに引き取られた猫達がいる。ひとりは名前はニャーちゃん、一歳で地上から来た。不運な事故だったらしい。ママは狂わんばかりに悲しんで泣いてばかり。だからニャーちゃんは僕よりずっとチビだけれど僕より先輩。流れ星もちっこくて、あっという間に消える。あとお盆に行き倒れだったボン。ママが家につれてきて手当したりご飯食べさしたりした。でも盆明け病院行く前お空に召されてしまった。彼も中堅でがんばってるよ。
チャクラという名前の猫はママが入院してる間に召された。持病があって病院に通ってたけどまだまだ余命はあったはずだ。ママの方が重症だったのにチャクラが召されて急激に回復した。たぶんチャクラは流れ星に祈ったんだと思う。
ママの代わりに僕が病を背負いますからママを助けてください
チャクラは天国でかなりいい暮らしをしているらしい、ママを助けたんだからりっぱな猫なんだって。でも流れ星に乗るには彼は運動音痴だから無理だ。ソファに登ろうとジャンプして滑って落ちるくらいだから。それをママに見られて恥ずかしそうに隠れていたのを思い出す。マイルケとマキコはエンゼルの羽つけてお空を飛び回っているらしい。天のパトロール隊だって。今おうちにいる黒猫コンビ、ハマチやキキが助け合ってパパとママを守りますように、世界中の命あるもの、特に猫が幸せでありますようにと祈っている。そして流れ星に乗った命らが次々と確実に人びとの願いをかなえていく。
だから晴れてたら夜空を見上げてください。そして流れ星をさがしてください。ふだん、お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさん、仲のいい友だちやあまり仲の良くない友だちでも、困っている人や病気の人も助てあげれるなら流れ星はきっと君の願いをかなえてくれるでしょう。
必ずや、きっと。
まちがいなく!
現在はハマチとキキの黒々最強コンビと暮らしてます。
キキは熟女、ハマチは少年。
二人とも自称、血統書付きの野良らしいです。
補填ですが、マイルケとまきこは女の子。ニヤーちゃんを亡くして傷心の折、近所から連れ帰ったのがマイルケ。
駐車場でまっしぐらに走ってきたのが、まきこ、セカンドネームきまっぴー。
お店をオープンするきっかけになった猫。
マイルケとまきこは生前は不仲だったけど今は二人仲良く天のパトロールを励んでることでしょう。