俺の気持ち
「大丈夫だよ」
葵珀君を安心させたくて、そして俺の気持ちをちゃんと知っていてもらいたくて思わず言ってしまった。
けれど、何としてでもこれだけは知ってほしいから、俺は頑張って話を続ける。
「俺もね、不安になることがあるよ。
というより、不安すぎて告白するつもりなんかなかったんだ。」
葵珀君はじっと俺の話を聞いてくれている。
「きっと、大学生と高校生じゃ価値観とかも違うでしょ。それに話とか趣味とかも合わないかもしれないから、葵珀君は高校生と話してる方が俺なんかといるより絶対楽しいだろうなって思ってたんだ。」
だから気持ちを打ち明けるつもりなんてなかったんだけど
「それでも、葵珀君は俺を好きだって言ってくれたから、俺もその気持ちに答えたい。
俺も葵珀君が好きだから、もう遠慮しなくていいんだって思えたから。」
やっぱり自分の気持ちを打ち明けるって、難しいし恥ずかしい。けど、それを最初にやってくれたのは葵珀君だ。だからこそ、次からは俺が出来るようになりたいと思っている。
「俺も年の差とか、不安なことたくさんあるけど、葵珀君となら乗り越えられると思ってるよ。
だから、これからも不安とかあったら遠慮なくいってほしいし、あんまり気を使いすぎないでほしいな」
流石にもう恥ずかしすぎておかしくなりそうだったから、さっき運ばれてきたコーヒーに口をつけた。
その間に今度は葵珀君が口を開いた。
「やっぱり成音さんは大人ですね」
「全然そんなことないと思うけど」
やっぱり高校生からすると大学生というだけで大人に見えるのだろうか。
少し寂しいけれど、まだまだ時間はあるのだからゆっくり距離を縮めていけたらいいなと思った。
「葵珀君」
「はい?」
「俺はきっと、君が思ってるより大人じゃないよ」
そう。大学生だから大人なイメージが強いかもしれない。けれど、俺だってまだまだ子供っぽい部分も多いし、大人げない態度や行動で失敗もする。
もしかしたら葵珀君にもそんな一面があるかもしれない。
だから、これからそういった面をお互い受け入れていけるようになればいいなと思った。