大学生と高校生
俺は晴れて好きな人と付き合えることになった。
そして今日はカフェに来ているんだけど―
「せおくん!今日は可愛いお友達と一緒なんだね」
「おい、成音。まさか年下に手ぇ出したのか?
そんなに年下が良いなら今度かわいい子紹介してやるよ」
「ちょっと!そんなんじゃないから黙ってて!」
ここは俺が通っている大学の近くにあるから、やっぱり知っている人にもよく合うわけで…
「ご、ごめんね葵珀君。ここ、大学近いから俺の知ってる人多くて…」
「いえ、大学まで押しかけったのは俺なので。こちらこそすいませんでした。」
俺の彼氏、森川葵珀君は高校2年生だ。
今日は俺の通っている大学でオープンスクールが行われるから、折角なら来てみないかと誘ってみた。
その後、葵珀君はまだ作業が残ってる俺と一緒に帰るためにこのカフェで待っててくれた。
こういった気遣いが出来るのが葵珀君の良いところで、そういう面に惹かれたんだけど、ここまで申し訳なさそうにされるとこっちまで申し訳なくなってしまう。
「そ、それよりさ!どうだったかな、オープンスクール。やっぱり高校と大学だと雰囲気とか変わるよね」
「そうですね。やっぱり大学生のみなさんは大人っぽく見えましたし、何より…」
そこまで言って、彼は気まずそうにしてしまう。
何かあったかな、と思っていると
「成音さんと俺じゃ、全然釣り合わないなって、思ってしまって」
その言葉に、少し過剰に反応してしまう。
無理もない。俺にも覚えがある。
初めて実際にオープンスクールで大学に行ったとき、すごく大人っぽい大学生ばかりで数年後には自分もこんなふうになれるのかと不安に思ったことがあった。
きっと葵珀君も自分の慣れない環境に俺が馴染んでいるように見えて、少し遠い存在に感じてしまったのかもしれない。
そう考えた俺は、葵珀君に声を投げかけた。
「大丈夫だよ」
それを聞いた葵珀君は、少し驚いたように目を丸くしてこっちを見ていた。