08
表紙には載らないにしてもランキング上位には違いなく。
更新スピードの早さもあって。
アクセス数は伸びていた。
レビューを頂いたりして、喜んだりすることもあれば、感想欄にはちらちらと否定的な内容も混じってくる。
『なんだこれ? 評価高いのに? 即ブラバでした』
『おもしろいって聞いたけど、全然じゃん』
『1話読んだけど2話の前書きで終わった』
『面白いとおすすめされたから読もうとしたけど、読む気も失せる』
『めちゃくちゃ気持ち悪い。この主人公、ゲーム知識とったら長所が何一つ見当たらない薄っぺらいキャラ。ハーレムタグも付けない規約違反を放置するくらいの作者の作品だからかキャラ達から気持ち悪さが滲み出て、作者の趣味思考言動がリンクしてると考えるとこの主人公が創作されたのも納得だな』
『もう読まないあほくさ』
などと、ネガティブな感想にガリゴリ精神を削られても。
それでもポイントがおれの背中を押す。
ポイントはまさに蒸気機関車の石炭! 徹夜明けの仕事のエナドリ! おれに翼をくれる!
1月24日。
累計でPV500万アクセスを突破し、総合ポイントは3万ポイントを突破した。
だが、仕事は忙しさを増し、毎朝のハンバーガーが体重を増加させ、プロット修正をかける通勤電車では眠ることもなく。
そろそろ、限界がきていたのだ……。
1日のポイントがだいたい600で、月18000ポイント。それでも表紙に届かないランキングの厳しい現実。
辛うじて指がキーボードを叩くのは、そのポイントがおれの心を激しく揺さぶるから。
そのポイントの向こうにいる読者の皆さんが待っていてくれると信じられるから!
さらには……。
「あれ、この感想の、NAGURIマジ、って人、ひょっとして……」
感想欄からクリックして、その人の自分ページへ。
「やっぱり! 『大都会の少年騎士』のNAGURIマジ先生じゃん! 読んでくれてんのか! うっわ、めっちゃ嬉しいやん! マジでかーっ!」
それは書籍化、コミカライズまで達成している大作家からの感想だったのだ! 素人作家にはたまらないご褒美である! たとえそれが登場した敵モンスターへの応援だったとしても、だ!
「うおおっ、書いてて、よかったなぁ……」
擦り切れていた心に、水が与えられたように、ほろりと涙が出る。
物語は完結へと進みつつあった……。